「炎上が発生するメカニズム」と「ネット炎上の原因」について解説します。
日本全体の80.9%(2017年時点)を占めるネット利用者は、ソーシャルメディアの普及によって情報を見るだけでなく発信するようになりました。この急速な変化に知識が追い付いていないことも炎上が多発している原因と考えられます。本記事ではネット炎上の中でも法人が巻き込まれるタイプの炎上事例に絞ってご紹介します。
「炎上についてしっかり理解したい」「炎上が起こる原因を知りたい」という方は、ぜひ一緒にネット炎上について学んでいきましょう!
読み終わるまで | 約2分50秒 |
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記事で学べること | 1.炎上発生までのメカニズム 2.毎月のネット炎上発生数と原因 3.炎上の予防策・対応策 |
目次
ネット炎上とは?
ネット炎上とは「SNSやブログ・掲示板などのコメント機能から、個人や企業に対し批判的な言葉が集中すること」を指します。ネット炎上の標的となる原因にはさまざまありますが、今回は法人から発生する炎上の種類についてご紹介します。レピュ研では法人炎上のメカニズムについて4種類のパターンがあると想定しています。
- パターン1 企業が不祥事・事故を起こした
- パターン2 企業の従業員が事件・事故を起こした
- パターン3 企業が倫理・モラルに反することをした
- パターン4 企業が発信した情報が賛否両論あるものだった
世間一般ではネット炎上に明確な定義はありません。批判的な言葉が集中し収拾がつかなくなっている状態であると言えますが、具体的な数値化や定義概念は統一化されていないのが現状です。レピュ研では、毎月炎上件数を調査する上で、独自の炎上定義に基いて件数を調査しています。
炎上のメカニズムの4パターンとは
パターン1:企業が不祥事・事故を起こした
企業が不祥事や事故を起こしたことに対してネット上で憶測や批判的な意見が飛び交い炎上します。企業側に非があることが多い為、事後の対応や謝罪方法が炎上の規模を大きく左右します。
2019年3月にはチケット販売サイトの不祥事が原因となった炎上が2件発生しました。個人情報の漏洩というシステムの不具合が発生したことが原因となりましたが、その後の対応方法にも問題があり炎上しました。
パターン2:企業の従業員が事件・事故を起こした
企業に所属する従業員が事件や事故を起こし、勤務先が特定されたことで企業名とともにネット上で批判され炎上します。企業は監督・管理責任を問われ批判されてしまうことが多く、場合によっては閉店や倒産に追い込まれることもあります。
2019年初旬は飲食店の店員が勤務中に不適切な動画を撮影し、炎上する事例が多発しました。ちょっとした悪ふざけのつもりで友達同士で撮った動画が、何万人にも拡散されて数億円の損害が出てしまったケースもあります。
パターン3 企業が倫理・モラルに反することをした
企業として発信した情報が差別的である、不適切である、不快であるなどの理由で批判が集まり炎上するタイプです。SNSや広告、サービスや商品の内容など要因はさまざまですが、上記2つの炎上タイプと違い防ぐことのできる炎上です。企業として発信する情報には最新の注意を払わなければならないと同時に、個人としての言動も企業としての意見、情報だと捉えられる可能性についても理解しておく必要があります。
このパターンの炎上でとても多いのが広告が原因で炎上する事例です。ジェンダー差別、人種差別、犯罪を助長するもの、過度な性的などの炎上事例が多くなっています。テレビCMだけでなく、Web上で公開されるPR動画や広告記事増えたことも炎上が頻発する原因といえます。
パターン4 企業が発信した情報が賛否両論あるものだった
法に触れたり、モラルに反することはしていなくても企業に対して賛否両論が集まり、ネット上での議論がヒートアップすることで炎上につながることがあります。どんなものが火種となるかわからないため最も予防するのが難しい炎上パターンです。批判的な意見に対し、第三者または企業が過剰反応することで拡散しさらに炎上が大きくなっています。
2019年4月にはある会社で編集者として働く人がTwitterに投稿した内容が炎上しました。当初、編集者のツイート内容が「失礼なのでは?」と炎上しましたがその意見に反発する人が増え、賛否両論が集まる結果になりました。
ネット炎上が起きるまでのメカニズム
ネット炎上の発生原因やフローはさまざまですが多くの場合以下のようなメカニズムで発生します。徐々に広まっていく様子は「炎上」という名の通り火おこしの仕組みに似ています。
1.きっかけとなる事柄の発生(火種)
原因となる事件の発生、情報の発信などは炎上の「火種」となります。この「火種」の段階では炎上とは言えず、批判的な意見もそこまで多くないこともあるため早期に「火種」を発見して対応すれば炎上を最小限に抑えることができます。
2.情報の拡散・特定(油)
「火種」となった事柄を目にした人たちが、そのことについて様々な意見を抱きその情報を拡散・転載しはじめます。その後はSNSやブログでだけではなく、掲示板や口コミサイトなどに書き込まれ、詳細情報の特定も始まります。企業炎上の場合は、企業役員の名前や内部事情が掲載されたり、個人炎上の場合は、勤め先や住所、本名などが特定されたりすることがあります。「火」に「油」が注がれ炎上に勢いがついた状態です。
3.ニュースサイトやテレビ報道によるさらなる拡散(木炭)
火に油が注がれて盛り上がってしまった炎上は、注目度が上がりニュースサイトやテレビ報道に取り上げられることもあります。こうなってしまうと普段ネットの情報をあまり見ないような人の目にも触れ、さらに批判的な意見が集中してしまうのです。火に木炭をくべて大きく燃え上がっているような状態で、ここまで燃え広がると鎮火が難しくなるだけでなく、ニュースサイトに記事が残り続けたり、世間の記憶からもなかなか消えなかったりと長く尾を引くことになってしまうでしょう。
ネット炎上はどれくらい起きている?
レピュ研では、日々炎上件数を測定し、月ごとにレポートとしてまとめています。炎上事例をカテゴリーごとに分類し分析すると、法人関係の炎上が毎月10~20件起きていることが分かっています。知らない方も多いかもしれませんが、2、3日に1回は法人が原因の炎上が発生しているのです。
78%の人が炎上を見たことがない
レピュ研が、2017年5月に行った「インターネット検索行動調査」では「1ヶ月以内にSNS上で、どのくらい炎上を見たことがありますか?」という質問に78.3%の人が炎上を見たことないと答えています。
これだけたくさんの炎上が発生しているのも関わらずこのような結果になったのは、そもそも「炎上」という言葉について深く認知していないということが考えられます。「炎上が頻発に起こっているなんて思いもしない」という人が多い結果、炎上なんて自分とは関係がないと思っている人も多いかもしれません。しかしそういった危機意識の低さが、誰もが炎上してしまう可能性を高めてしまっているのです。
炎上を拡散する人はわずか2.8%
2017年3月に文科省が発表したデータでは、炎上を拡散する人はわずか2.8%であり、SNSをやっている人の大半は、拡散をしないことがわかりました。
しかし、レピュ研が炎上事例としてあげている中にも、ネガティブな情報が何万件と拡散(シェア)されてしまった事例がいくつもあります。このことから、炎上と知らずに拡散してしまうパターンや、拡散したものがいつの間にか炎上していたパターンが多くあると考えられます。拡散する人が少ないというデータが発表されていても、油断してはけません。(2)
炎上させないための対策方法3つ
炎上事例を多く知る
炎上事例を数多く知ることで、SNSを使っているときにやってはいけない発言や、炎上リスクのある投稿をさけることができるようになるはずです。炎上にはトレンドがあり、直近で起こった炎上に関連した内容は特に炎上のリスクが高まるため、日ごろから炎上事例をチェックすることはとても効果的です。
レピュ研では、日々の炎上件数を測定し、毎月炎上レポートを作っています。炎上のカテゴリー別件数や、その月に起きた特徴的な炎上事例をご紹介しています。また、定期的に「SNS炎上の今」をピックアップし、記事として書き起こしています。ぜひそちらもご活用ください!
炎上予防のためのセミナーを受ける
ネット炎上は、日々起きており、いつ自分が炎上の当事者になってもおかしくないリスクがあります。レピュ研では、ネットでのマナーやモラルを守るための正しい意識を付けてもらうためのセミナーや、炎上対策のためのセミナーを随時開催しています。炎上リスクセミナーの詳しい開催時期や内容については、お気軽にご連絡ください。
ネット監視システムを導入
SNSの炎上を避けるためにはネット上に書き込まれるネガティブ、危険な情報見つけ出し、炎上する前に対策することも効果的です。24時間ネット監視システムを使うと、自社に関する情報をいち早く見つけることができます。炎上になりそうなネガティブ情報に対して適切なコメントや謝罪対応などを行うことで、炎上が燃え広がる前に鎮火することができるのです。レピュ研では、ネット監視システムのサービスもご提供していますので是非ご相談ください。
【効果的なSNS監視のためのガイドブック】をダウンロードする
もしも炎上が起きてしまったら?
専門家に相談しよう
「このような炎上には、多分この対応方法で大丈夫だろう」などと、あいまいな知識でネット上の問題を解決するのは危険です。正しい対応ができなかったために、二次被害が発生してしまう炎上事例も珍しくありません。まずは、豊富な知識を持った専門家に相談するのが良いでしょう。
レピュ研では、豊富な炎上事例分析をもとに、日々対策方法やリスク回避方法を情報発信しています。「炎上が起きてしまいそう…」「これってもしかして炎上してる?」など少しでも不安に思ったら、ぜひお気軽にご相談ください。
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(1)総務省「スマートフォン等の急速な普及と端末市場の変化」
(2)文科省「平成 28 年度「国語に関する世論調査」の結果の概要」