2016年から2017年上半期にかけて、個人のツイッターによる炎上問題が、多くメディアに取り上げられています。今回はツイッターによる炎上問題の中でも、個人のなにげない投稿が意図しない炎上をしてしまった例を2つご紹介します。
悪気ない投稿が炎上につながる2つの事例
2つの炎上事例は、どちらの当事者も、どこにでもいるような一般の方です。有名であり、ファンがたくさんいるような人ではありません。なぜ、このような個人のSNS炎上は起きてしまうのか、経緯とともにお伝えいたします。
モラルのないSNS投稿についての相談が炎上
新聞の人生相談記事に載っていた「モラルのないSNS投稿についての相談」が原因でネット炎上した事例です。2017年5月某日にとあるツイッターユーザーが、「今日の人生案内」という言葉と共に、新聞の人生相談記事の写真を投稿されました。人生相談記事の内容は、SNSの投稿をめぐる夫婦間のトラブルについてでした。
「父親の逝去について、旦那がSNSに投稿したことが許せません」
「今後、旦那とどう接していけばいいのでしょう。」
旦那さんは日ごろからSNSを頻繁に更新しており、該当の投稿も日常の何気ない投稿をしたつもりだったようです。人生相談記事をみたツイッターユーザーたちは、
「旦那のモラルがなさすぎる!」
「全てのイベントがネタだと思ってるんだろうな節度がなさすぎ」
など、怒りの声が多く上がり、炎上してしまいました。また、テレビメディアで議題として取り上げられるなど、かなり注目されていました。
今回の炎上は、新聞記事の内容であり、個人を特定できる情報がなかったため、旦那さんが炎上のターゲットになることはありませんでした。しかし、もしSNS上で、この投稿が直接発見されていたら、旦那さんが炎上のターゲットになっていたかもしれません。
流産報告の投稿をしたツイッターユーザーが炎上
ツイッターユーザーが流産報告の投稿を、笑顔のプリクラとともに投稿したところ、批判意見がよせられ炎上した事例です。流産報告の投稿をしたツイッターユーザーは、親近の仲間だけに投稿したと思っていました。しかし、その投稿内容は不特定多数の人に見られ、拡散されてしまいました。該当の投稿はすぐに削除しましたが、削除する前に投稿内容がキャプチャー画像として保存されたことで、削除した後にも画像とともに情報は拡散し、多くの人の目に触れてしまいました。さらに、拡散された内容は、ニュースサイトやまとめサイトに掲載されてしまい、顔写真や名前などの個人情報が、ネット上に半永久的に残ってしまっています。
炎上なってしまう 2つの原因
上記に挙げた事例は、どちらも何気ない投稿が炎上してしまったものでした。そこで、気づかないうちに炎上につながる投稿をしてしまう原因について2つ考えていきます。
原因1:「人から見られている」という意識の欠落
不特定多数の人が見ていることを忘れ、友達や仲間同士に向けたプライベートな内容を投稿してしまう人がいます。手軽に投稿できるSNSに慣れてしまうと、メールやグループチャットのように友達や仲間同士だけのコミュニティだと無意識に感じてしまっているのではないでしょうか。また、友達同士では許せる冗談的な内容でも、多くの人が不快に思もう投稿は炎上になる可能性があります。SNSは、オープンな環境であることや、世界中の人から見られている認識を忘れてはいけません。
原因2:投稿のみが目的の「モラル麻痺」
自分が楽しむためにやっていたSNSが、いつのまにかSNSに投稿することだけが目的になった考え方に変化し、SNSユーザーにモラルのない行動をさせてしまうことがあります。モラルが麻痺してしまったSNSユーザーは、モラルのない行動をしても、自分がモラルのない行動をしていることを分かっていません。そのため、自分自身が炎上の当事者になるまで気づかないことがほとんどです。さらにSNSを使うひとが増えていく中、モラルの麻痺は、炎上の火種の1つとして要注意です。
SNSのモラル麻痺について、4つの炎上事例を元に詳しく解説している記事がありますので、合わせてお読みください。
炎上は「面白いかどうか」で決まる
有名でない個人の投稿が、想像を超える拡散を引き起こしてしまう原因は、共感性が高い内容や面白い内容であれば、どんな内容でも拡散されてしまうからです。総務省の2016年度のある調査では、次のようにまとめられています。
他人の投稿を知人と共有する情報の「拡散」(Facebookの「いいね!」機能やTwitterのリツイート機能等を利用して情報を広めること)は、SNS利用者の5割以上が実施しており、約17%はほぼ毎日実施している。(1)
多くの人が「情報を拡散すること」を特に意識せず行っています。そして興味深いのが、拡散しようと思う内容です。
同調査で、拡散する内容の基準について尋ねたところ「内容に共感したかどうか」が46.2%で最も多く、「内容が面白いかどうか」が40.4%でこれに続く。これに対し、「情報の信憑性が高いかどうか」は23.5%と相対的に低い(1)
投稿の内容に共感し、面白ければ拡散されることがわかります。また、拡散内容の信ぴょう性を重視してい人が低いことも注目する点と言えるでしょう。
この調査結果から、投稿内容が面白く共感できれば、他人に教えたくなる人が多いことが考えられます。また、情報内容の真意について深く考えているいる人は少なく、共感や面白いと思われれば拡散されます。投稿内容によっては、だれでも炎上の当事者になってしまう可能性があるのです。SNSを使用していることは、多くのリスクと隣り合わせでいることを忘れてはいけません。
個人として対応すべきこと
ネットリテラシーの認識と見直し
ネットリテラシーとは「インターネットを使う上で、マナーやモラルを守って正しく使うための基本的な意識」とレピュ研では定めています。スマートフォンやSNSの急速な普及で、多くの人が使い方に慣れないまま、便利なネット社会になってしまったことが、SNS炎上が多発する原因の1つだと考えます。自分の過去のSNS投稿を見直して、使い慣れていないときに問題となるような投稿をしていないか見直すことも、リスク回避の手段ではないでしょうか。
「わたしなら大丈夫」をなくす
多発している炎上事例の多くは、若い世代よりも40~50代のSNSに慣れていない層が多いことが、2017年に起きている多くの炎上事例の特徴です。若い世代のように、周りにSNS利用者が多く、使い方ややってはいけないことを常に情報共有し合える環境であれば、炎上の火種になるような投稿も無くなっていくのかもしれません。SNSの正しい使い方やタブーな表現は、時代とともにコロコロと変化していきます。ふとした油断が大きな間違いにならないように、正しい知識を更新していくことがSNSには大切です。
レピュ研ではネットリテラシーの基礎と、最新の炎上事例を学ぶセミナーを開催し、多くの企業様にネット炎上の予防策をお伝えしています。毎月更新している炎上リサーチレポートから、意外性のある炎上や、予想できないような炎上まで、いろいろな炎上事例と対策法をセミナーではご紹介しています。開催時期やセミナーの詳しい内容などは、お気軽にご相談下さいね。
■炎上が起こるのメカニズムについて詳しく解説しています。
>ネット炎上のメカニズムと2017年炎上事例5パターン
■SNSで炎上してしまった対処とは?
>SNS炎上の流れと炎上したあとの3つの対策方法
■炎上に参加する人たちの正体を詳しく分析しています。
>炎上に参加する人たちの正体とは?行動パターンと心理
出典(1)総務省 SNSでの情報拡散の状況