「ネット炎上に参加する人たちの正体」「ネット炎上参加者への対応時に注意すること」について、デジタルリスクの専門家としてまとめてみました。
日々、ネット炎上の分析を行っているレピュ研調べでは、2017年4月から10月までの平均炎上数は88件となっています。しかし、2017年5月のネット利用者1101人を対象に行ったアンケートでは「1ヶ月以内に炎上を見たことがない」方が862人(78.3%)という結果になりました。また、2017年2月から3月に文化庁が行ったアンケートでは、炎上を拡散(参加)する人はわずか2.8%であることがわかりました。
ほぼ毎日のようにどこかで起きているネット炎上ですが、炎上に参加している人は2.8%しかいません。今回は、数少ない炎上参加者である人たちがどんな行動や心理で、炎上に参加しているのか解説しています。どんな人が炎上に参加しているか知りたい方や、炎上参加者の行動や心理を知りたい方は必見です。炎上参加者のことを知り、ネット炎上から身を守りましょう!
読み終わるまで | 約1分50秒 |
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記事で学べること | 1.炎上参加者の3つの行動 2.炎上参加者の4つの心理 3.万が一炎上したときの3つの対応法 |
ネット炎上に参加する人たちとは?
ネット炎上は見つけるのが非常に困難
月88件も起きているネット炎上ですが、炎上の火種を見つけるのは非常に困難であることが分かっています。困難な理由は次の3つです。
- 炎上の定義が定まっていない
- 何が炎上するかわからない
- ネット上にある情報が多すぎる
ネット炎上にすばやく反応している人は、掲示板や、SNSの情報、ネットニュースなど日々チェックしている人であると推測できます。また、日々チェックしているだけでは炎上を見つけるのは非常に難しいことから、よく炎上に参加している人は意図的に炎上を検索していることが考えられます。
炎上に関する情報を常に集めている
SNSでは、最新の炎上について、まとめた投稿をくり返すアカウントや、炎上の火種となる情報を見つけるのが得意な人がいます。ネット炎上に参加する人たちは「ネット炎上について興味がある」属性で繋がり合っている可能性が高いといえるでしょう。
ネット炎上に参加する3パターンの行動
ネット炎上に参加する人たちは、3つの行動パターンがあり、特徴的であることが分かっています。
行動1:感想や意見を述べる
炎上事件に対して、感想や意見を述べる行動をとる人です。感想や意見が批判的なものであっても、攻撃したいと思っているわけではなく、自分の意見や考え方を主張したいと考えている人です。
行動2:攻撃的・挑発的対応をする
ネット炎上事例対して、挑発的対応をしたり、むやみやたら誹謗中傷をしたりする人です。感想や意見を述べる人とは明らかに違い、批判的な言葉をぶつけたり、圧力的な物言いだったりする人です。
行動3:無言で共有する
意見や感想など、とくに発言することなく、ただ該当の炎上事件の情報をありのまま拡散・共有する人です。
ネット炎上に参加する4つの感情的理由
ネット炎上に参加する人たちは、行動理論とは別に、感情的理由にもとづいて炎上に参加することが分かっています。
理由1:優越感・正義感
「ルールやマナーを破った人には、制裁を与えないといけない」という考えから、炎上に参加するひとがいます。事件の犯人や、事故を起こした企業がターゲットのときに多くみられます。「犯人の個人情報を拡散する」「企業の内部情報を晒し上げる」などといった行きすぎた制裁行動になることがあります。
しかし、こうした正義感は「個人情報から犯人の詳細が特定できた」「企業内部情報の告発から事故原因が分かった」など良い結果を生むこともあり、行きすぎた行動には賛否両論となっています。
理由2:失望感・軽蔑心
「間違っていることを指摘したい」という考えから、炎上に参加するひとがいます。例えば評論家が、間違った情報をネットに書いたとき、指摘意見が殺到するといった具合です。マニアックな知識が必要とされる分野での指摘から炎上するケースが多く見られます。
「あの有名で著名な評論家が、なぜこんな間違ったことを言っているんだ」といった失望や「この評論家は、わたしの好きなジャンルを知ったかぶりした」といった軽蔑から、意見を述べる傾向にあります。また、情報の指摘をするだけでなく、間違ったことをした人物に対し、人格否定をするなどの行きすぎた行動をすることもあります。
理由3:嫉妬心・劣等感
「なぜわたしはダメで、あの人は良いのだろう」といった疑問が、嫉妬心や劣等感にかわり、炎上に参加するひとがいます。炎上するターゲット(成功者や有名人など)と、自分を比較して嫉妬心や劣等感を抱くため、不幸になってほしいと願ったり、イメージが下がってほしいと感じたりすることから、炎上に参加してしまう傾向にあります。
理由4:好奇心
「なんだか面白そうだから」といった好奇心からくる、ストレス発散を目的にして炎上に参加するひとがいます。ネット上の発言は匿名性が高く、発言の責任を問われにくいことも、ストレス発散の行為を助長している要因です。
「炎上している状況を楽しむ」「炎上を通じて一体感を感じられる」などといった、情報を共有することでストレス発散をしている人もいる可能性があります。
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ネット炎上したあと注意したいの3つの対応
対応1:謝罪の時期や表現方法に注意する
炎上したあとの謝罪時期や表現方法には、十分な注意が必要です。ユーザーと炎上当事者との間に発生する「謝罪期待値」に違いが生まれやすいためです。
例えば、大きな不祥事を起こした企業が炎上したとき、謝罪方法は企業によって異なります。ユーザーは謝罪会見で社長の陳謝を「期待」していたにも関わらず、公式サイトで謝罪文を出すだけの対応だったとき、ユーザーとの「謝罪期待値」のズレは起こります。場合によっては「反省をしていない」「ふざけた対応だ」などと、2次炎上を引き起こすきっかけになりかねません。
炎上が起きてしまったときは、どのタイミングで謝罪が必要なのか、見極めることが重要です。また、メール・公式サイト・電話・直接謝罪・SNS上で謝罪・会見謝罪など、最適な表現方法は何なのか、しっかりと知っておくことが大切です。
対応2:火種の原因に対する認識ポイントの違いに注意する
炎上を謝罪するときに最も重要なのが、火種となった事柄がなぜ炎上したのかを、しっかりと理解し謝罪することです。
例えば、飲食店で炎上が起きたとき、炎上の原因が「料理がメニューのイメージ画像と異なっていたこと」だったのにも関わらず、飲食店が謝罪した内容が「従業員の言葉遣いが悪かったこと」だった場合、火種の認識に違いがあることになります。場合によってはユーザーから「話し合いにならない」「おちょくってるのか」などと、謝罪内容が新たな火種として炎上する可能性があります。
なんとなく原因を理解した上で謝罪をしてしまうと、さらに大きな問題へ発展してしまいます。ユーザーが何に対して問題視しているのかを理解した上で、謝罪をすることが大切です。
謝罪の認識ポイントの違いで2次炎上してしまった事例を、こちらの記事で紹介しています。合わせてお読みください。
対応3:炎上原因となった問題の改善策を述べる
今後企業の問題(炎上の火種となるもの)をなくし、再発防止をするためにも、改善策を伝えることが重要です。
例えば、顧客情報の漏えいでネット炎上した企業があれば、今後二度と個人情報が漏えいしないように「どのように対策措置をとっていくか明確にする」ことが重要になります。もし「炎上を起こしてしまって申し訳ございませんでした」などと、改善策をユーザーに伝えずに謝罪を終わらせてしまうと、同じことがまた起きるかもしれない企業といったレッテルが貼られ、イメージが低下してしまう恐れがあります。
改善策は「二度と問題が起こらないように、どこまで考えているのか」がユーザーに伝わる大事な部分です。伝え方や策の内容も合わせて重要になるので、深く考えて発表するのが良いでしょう。
レピュ研ができること
炎上に参加する人は、3つの行動パターンと、4つの感情理由があることを知っていただけたと思います。ネット炎上参加者への対応は、謝罪の時期や表現方法を知り、万が一に備えて対策できるようにしておくことが重要ですね。
レピュ研では、毎月の炎上レポートや、炎上発生のメカニズムなど、ネット炎上に関する情報を専門的にご紹介しています。「炎上リスクを防ぎたい」「どんなことをすると炎上になってしまうのか」など、炎上の知識をつけておきたい方は、他の記事も合わせてご覧ください。