炎上事例をもとに、原因と対策について解説します。今回は、SNSでの批判的な書き込みが原因で炎上してしまった飲食店のケースをご紹介します。
今回SNSに書かれた批判的な書き込みは、賛同した人たちによって多く拡散してしまいました。飲食店のイメージは下がり、ボイコットを進める発言もあります。同じような炎上にならないためにも原因と対策について知っていきましょう!
人気ツイッタラーのカキコミでお店が炎上?
あるツイッタラー(ツイッターを使用している人の名称)のAさんがSNSで
「○○店には二度と行きません!!」
と、飲食店の接客について問題点を書き込んだことから、事は始まりました。Aさんは若い男女にとても支持されており、人気なツイッタラーと言える方でした。書き込まれた飲食店の問題点は、またたく間にリツイート(シェア)され、Aさんを支持している人たちからは
「さすがにひどすぎる!Aさんかわいそう」
「私もこのお店にはいきません!」
とAさんに同調した飲食店への怒りの声が多く寄せられました。また、
「このお店は前から、接客ひどいし、味もまずいよね」
「こんなお店潰れてしまえばいいのに!」
など、飲食店への誹謗中傷も多く書き込まれ、炎上状態になってしまいました。
「犯人が逆転?」第2の炎上が起きてしまった
お店はすぐに「お詫びとお知らせ」を公式サイトに公開し、事態はおさまったと思われました。しかし、ネット炎上事例を専門的に情報収集しているブロガーが、今回の事件についてお店側に落ち度はなかったという内容の記事をブログに載せたのです。またブロガーは「事件の詳細情報をお店側から直接仕入れた」などと言っており、記事には信用性があるとしていました。
ブログの内容を見た人たちは、Aさんが発信した情報と、ブログの内容があまりにも違っていたため「故意に炎上を起こしたのではないか」とAさんを叩き始め、第2の炎上が起きたのです。困ったAさんは、飲食店の本社に抗議文を送りました。すると飲食店の本社は、Aさんが書き込んだ内容があっていたことを認め、ブロガーが調べた情報は間違っていたという内容の謝罪文を公式サイトに公表しました。炎上は人気ツイッタラーが、飲食店の本社から直接届いた謝罪文をSNSに掲載したところで終わっています。
第2の炎上が起きた2つの原因とは
今回の炎上は、2回もお店側が謝罪をしている点が大きな特徴だと考えられます。その原因は、従業員の配慮ない接客対応と、炎上発生後の情報共有方法が大きく関わっています。原因となった経緯を2つ解説していきます。
原因1:従業員による接客ミス
炎上になった飲食店には、食事をするときにルールがありました。しかし、Aさんは従業員から一部のルールしか説明をされていませんでした。ルールの説明をされていないAさんは、メニューがなかなか運ばれてこない事と、やっと運ばれてきたメニューが思っていたものと違うことで、不満を覚えてしまったのかもしれません。お客様を席に通した時点で、サービスは始まっています。例えば、お店が混んでいて、お客様をお待たせするようであれば「申し訳ございません」などと、一言声をかけるなど配慮が必要だったのかもしれませんね。
原因2:従業員による情報共有ミス
ネット炎上を独自に調べているブロガーに、従業員が間違った内容の情報を伝えてしまったことで、第2の炎上が起きてしまいました。ブロガーは、飲食店に直接電話をかけ従業員に当日の詳細を尋ねたところ、
「商品提供に時間がかかることは事前に伝えていた」「提供した商品も説明していた通りのもので、問題はなかった」
などと、Aさんが言っていた内容とは真逆のことを話したそうです。ブロガーは、その事実を嘘偽りなくブログに載せたのです。
しかし、電話を受けた従業員が話した内容は嘘であったことが本社からの謝罪文でわかったのです。実際にはAさんが来店した当日、お食事をするときのルール説明を全ての来店客に伝えることはできていませんでした。ブロガーの電話取材に対応した従業員は、お店のマニュアル通りに話しをしていたのです。
ブロガーがお店に電話をかけたとき、すでにお店側には炎上している事実を知っていたそうです。そうであれば不用意な発言は控えるように、従業員に徹底した情報共有が必要だったのではないでしょうか。
ご指摘をいただいたときの2つの心得
エンドユーザーからご指摘をいただいたときの対応に問題があると、ネット炎上につながる原因が高いといえます。時代とともに対応方法が変わるご指摘ですが、風評被害対策の専門家として、有効的な策を2つまとめてみました。
心得1:お客様をクレーマーにしない
主観的にお客様を判断して、クレーマー扱いしてしまってはいけません。「こっちは誠実に対応したつもりなのに、なんてわがままな客なんだ」などと、ご指摘をくれたお客様を主観で判断してしまいがちですが、ご指摘の理由の多くは「自分が思っていた期待と違っていたため」なのです。サービスに対して期待をしていたのに、裏切られたら嫌な気持ちになって当然ですよね。相手が求めていた期待を、はるかに下回っていたとき、ご指摘は生まれてしまいます。「なぜ期待にそうことができなかったのか」お客様の立場に立って、原因をとことん追求することが大切です。またお客様からのさまざまなご指摘にすぐ対応できるよう、ご指摘対応のマニュアルを準備しておくことが問題解決への近道ではないでしょうか。
心得2:お客様の話をしっかりと聞く
些細なご指摘ほど、真剣で誠実な対応をこころがけることです。基本的なことですが、なかなか継続して行うことは難しいです。ご指摘につながってしまった原因のストレスを全て話してもらい耳を傾け、目と心をもって聴く姿勢の傾聴こそ、早期解決へのカギです。自分が聞きたいことを聞くのではなく、相手が話したいこと、こちらに伝えたいことを受容的・共感的な態度で聴くことが重要です。
例えば友人に、仕事でイライラする原因を全部話したときに、しっかりと聴いてくれて誠実な対応をしてくれたら、イライラもどこかへ吹っ飛びますよね。小さな注意程度のご指摘だけでなく、万が一激怒している人へも、傾聴をこころがけることで、大きな問題にならずに済むかもしれません。
企業として対応すべきことは
従業員の徹底した教育
業務マニュアルだけではなく、問題発生時のガイドラインを作成し、定期的な見直しや更新を行ったり、従業員へ教え込んだりすることこそ、炎上を防ぐための予防策です。
今回の炎上原因は、従業員のお客様への対応が大きく関わっていると伝えてきました。しかし従業員の中には、アルバイトとして初めて社会に出て仕事をすることを知った若者も多く、一方的に非難することはできません。ご指摘をいただいたときのマニュアルや、問題発生時のガイドライン作成は、少しでも炎上のリスクを減らすために、企業が努力する点だと思います。またお金や時間の問題で、従業員への教育を疎かにすることがないように、徹底した指導をすることを忘れてはいけませんね。
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