炎上事例をもとに、原因と対策について紹介します。今回は事件とは無関係な個人が、人間違いにより大きな損害をうけたケースを解説します。
2017年10月17日、匿名掲示板に「Googleに人生を破壊された」と題した日記が投稿されました。その日記はタイトルのインパクトと、あまりに悲惨な内容から、たちまち話題となったのです。
無関係な他人の炎上に巻き込まれてしまった
日記の内容は、投稿者Aさんが体験した悲惨な出来事の内容でした。Aさんの働く職場で、Aさんと似たような名前の別人が事件を起こしてしまいました。あまりにも名前が似ていたため「Aさんがあの事件の犯人?」などと、会社内で誤解しまう人も多くいたようです。
ただ、今回の誤解は会社内だけでなく、Aさんの知らないところで、ネットの掲示板に書き込まれていたのです。掲示板では、Aさんを誹謗中傷するだけではなく、個人情報まで書かれていました。Aさんの実名が、掲示板に書き込まれていたことにより、Aさんの名前をGoogle検索すると1ページ目のTOPに、誹謗中傷がかかれた掲示板が出てきてしまったそうです。掲示板の内容をみたであろう会社の人達から、Aさんは不当な扱いをされてしまいました。
Googleの検索結果に残り続ける誹謗中傷
事態を重くみたAさんは、掲示板に書かれた個人情報を、弁護士を通じて削除してもらいました。しかし、いつまでたってもGoogleの検索結果がかわりません。掲示板には、もうAさんの名前は書かれていないにも関わらず、GoogleでAさんの名前を検索すると、誹謗中傷されている掲示板が1ページ目のTOPに出てきてしまうのです。Aさんはあらゆる方法で、Googleの検索結果を変えようと試みましたが、どれも失敗に終わっています。「Googleに人生を破壊された」と題した日記は、壁にぶつかったAさんの助けを求める声だったのかもしれません。
Aさんがとった5つの対策方法
対策1:冤罪書き込みした本人を特定
弁護士に依頼し、冤罪書き込みをした人を特定しようと試みましたが、すでに該当の書き込みから3ヶ月以上たっていることから、弁護士に難しいと伝えられたそうです。
対策2: 掲示板に書かれた自分の名前を削除してもらう
弁護士に依頼し、掲示板に書かれた個人情報と名前などを削除してもらったようです。弁護士への掲示板の削除依頼の相場は相談料も含めると20万~30万ほどです。Aさんは「高額な費用がかかり悲しかった」などと発言していました。
対策3:Googleに古いコンテンツの削除依頼
掲示板からAさんの個人情報を削除したにも関わらす、Googleの検索結果は変わりませんでした。Googleでは、古いコンテンツのキャッシュがGoogle検索上に残っていると、更新されたサイトのページを反映することなく、昔のページの記憶を表示してしまうことがあります。Googleではインターネット上にある、古いコンテンツを削除依頼するフォームがあります。ただAさんの場合は、効果がなかったようです。
対策4:Googleに更新したサイトを反映してもらう
新しく更新したWebサイトページをGoogleの検索エンジンに見てもらい、Googleの検索結果に更新したWebサイトページの内容を表示してもらうように依頼をしました。その依頼はここから行えます。Googleではインターネット上にある全てのWebサイトの内容を機械的に分析しGoogleの検索結果に反映しています。しかし、日々たくさんの人がWebサイトを更新しているため、全てのWebサイトをすぐにGoogleが検索結果に反映することはできません。そこで、Googleに更新したWebサイトのURLを申請することで、Googleの検索エンジンに見つかりやすくすることができます。この申請を行うことで、普通よりは早く検索結果に反映されます。この方法もAさんの場合は、効果はなかったようです。
対策5:Googleに検索結果からの削除をお願いする
Googleでは、違法性のあるWebサイトに関して、申請すると削除してもらえることがあります。その申請はここから行えます。しかし、Googleの主張は「ご要望のあったような形で特定のキーワードに対する検索結果を変更することはしない方針」であり、削除依頼の申請は行えたとしても、削除されることは難しいと言えるでしょう。Aさんの場合も、削除対応は行われませんでした。
1年以上たってもGoogleの検索結果はかわらない
Aさんは、掲示板からAさんの名前を削除したあと、Googleの検索結果から無くなることを1年以上待ち続けました。しかし一向にGoogleの検索結果はかわらないそうです。弁護士に依頼をし、高額な金額を払って個人名を削除しても検索結果から無くならなければ意味がありません。Aさんの記事内では、同じようにGoogle検索結果に悩まされている人が多くおり「検索結果が3年以上消えない人もいる」などと発言していました。
自分のことが書き込まれていたときは
削除できる方法を知っておく
レピュ研では、ネットで人気のある掲示板で、誹謗中傷や風評被害が書き込まれてしまったときの削除方法をまとめています。削除申請の方法や、投稿者特定の方法まで専門家の立場から詳しく解説しています。今書かれていなくても、今後のために知っておくことや、すぐに確認できるようにしておくことが大切です。
投稿者特定は3ヶ月以内に行う
投稿者特定をするときに、期間を開けず素早く行動をとることはとても重要です。投稿者特定(名前や住所を特定するため)に必要なIPアドレスに保管される期間があるためです。IPアドレスの保管期間は、短いと3ヶ月ほどと言われいます。IPアドレスの保管期間が過ぎてしまうと、だれがどのIPアドレスを使って投稿をしたのかを調べることができなくなり、実質的に投稿者特定ができなくなります。
DMCAは風評被害・誹謗中傷を削除できない
Aさんの記事の中に「DMCAを使って、掲示板を削除するのは?」などと書いてありましたが、DMCAを使って風評被害・誹謗中傷の削除はできません。DMCAは、ネット上にある著作権を侵害するコンテンツを削除できる法であり、風評被害・誹謗中傷を削除しようとすると、DMCAの悪用となってしまいます。
DMCAについてこちらの記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。
Google検索結果が削除できないときは
ネガティブサイトを押し下げる逆SEO対策
逆SEO対策とは、検索結果の1ページ目に表示されてしまうネガティブなサイトを、他のサイトを上位に表示させることで、ネガティブサイトを1ページ目から押し下げる対策のことです。個人の場合は、SNSなどで本名ページを作ったり、本名でブログをはじめたりすることで、ネガティブサイトを下げることができるでしょう。
個人としてできること
安易な書き込みはしない
もしかしたら、Aさんの誹謗中傷を書き込んだ人は「軽い気持ちで書き込んだ」のかもしれません。しかし、結果的には事件と無関係なAさんを苦しめてしまうことになってしまいました。今回は、Aさんの対処が遅れてしまったため、冤罪を掲示板に書き込みした犯人の特定はできませんでした。しかし、冤罪書き込みから名誉棄損で訴えられることがあります。その場合損害賠償を請求されている人もいます。安易な誹謗中傷などの書き込みをするのはやめましょう。
インターネットの情報をうのみにしない
インターネット上に書いてある情報をすぐうのみにするのではく、情報の信憑性を確かめることが必要です。信用できる研究機関や、国が出している情報以外は「この情報は信用して大丈夫かな?」と、一度確かめてみるのも1つの手です。今回の事件のように、冤罪でネット風評被害に苦しんでいる人がいます。インターネットを使う1人1人が、ネットリテラシーを高めていく必要があるのではないでしょうか。
レピュ研では、日々起きているネット炎上について独自な目線で分析を行っています。ぜひ他の炎上事例記事もごらんください。