インターネットの普及にともない、SNSやブログ、掲示板などが流行し、個人が公の場所で意見が言える機会が増えてきました。その中で、問題視されていることがネット風評被害です。ネット風評被害とは、企業や個人などが、SNSやブログ、掲示板などに書かれてしまった根拠のないネガティブな内容から経済的な被害を受けてしまうことです。さらに、一度風評被害にあってしまうと、ネットにネガティブな情報が残り続け、信頼やイメージを回復することはとても難しいのが現状です。
ネット風評被害の解決策として、ネガティブな投稿を削除してしまうのが1番早いと考えがちですが、それは大きな間違いです。ネガティブな投稿を無理に削除しようとする行為自体が「事実の隠ぺいだ」とみなされてしまい、多くの人にネガティブなイメージを持たれてしまうことがあります。
今回は、DMCAというデジタルコンテンツ著作権法を使い、ネガティブ情報を削除したことで炎上になってしまった企業についてまとめました。
目次
本来の目的と異なるDMCA使用による炎上
とある企業A社のことを批判するようなブログが、ネット上から突然消える事態が起きました。真相は、A社がDMCAを使いネット上からブログを削除していたのです。A社は、ブログ内で使われていた社長の顔写真に対し「著作権の侵害だ」などとDMCAを使い、ネット上からブログを削除しました。A社が行ったことに違法性はありません。しかし多くの人は「A社は都合の悪い情報を、DMCAを悪用して隠ぺいした!」と感じてしまったようです。
DMCA(デジタルミレニアム著作権法)とは
DMCA(デジタルミレニアム著作権法)とは、著作権を守るために作られた米国の法律です。DMCAに違反しているコンテンツ(著作権違反をしているコンテンツ)をGoogleやTwitterなどに申告すれば、丸ごと削除できるのです。例えば、Cさんが撮影した写真が、他人であるDさんのブログに許可なく掲載されていたとしましょう。写真にはCさんに著作権があるため、CさんはDMCAを使うことで、Dさんのブログ記事の写真だけでなく、写真が使われている記事全てを削除することができるといった具合です。
DMCAは著作権違反にすばやく対応できる
インターネットの世界では、著作権などあってないようなものでした。「ネット上の情報に著作権違反が起きていないか毎日1つずつ確認する」なんてことはできないためです。DMCAが作られる前までは、著作権に反しているコンテンツを1つ1つ削除申削除するためには多くの行程が必要でした。コンテンツ配信者に削除許可をとり、コンテンツを表示しているプロバイダーに削除申請するなどして段階を踏まないと削除することは難しく、ほぼ困難に等しいものだったのです。
しかしDMCAができたことで、著作権に反しているコンテンツを削除することが早く、楽にできるようになりました。DMCAの最大の利点は早さです。DMCAでは、違法コンテンツ発信者の許可を取らずに該当コンテンツを削除することができ、面倒だった段階を踏まずとも著作権に反しているコンテンツを削除することがきるようになったのです。
DMCAの問題点
DMCAは手軽に著作権違反を申請できる一方で、日々の申請量がとても多く、本当に著作権違反をしているコンテンツなのか細かなチェックを行えていないのが問題です。ときには、違法性のないコンテンツも間違って削除されてしまう問題がおきています。また、DMCAはコンテンツ発信者の許可を取らずに削除申請されたコンテンツを削除してしまうため、コンテンツ発信者は削除されたことに気づくことができないときがあります。さらに違法性のないコンテンツを間違って削除したとしても、削除した側であるプロバイダ・サービスが罪に問われることはないのです。
A社が炎上した3つの特徴的理由
理由1:DMCAの脆弱性を使ったため
DMCAは、著作権を侵害されたときに、該当コンテンツをすばやく削除するために作られた法です。ただ、今回A社の目的は「著作権侵害を無くすこと」ではなく「著作権侵害が一部含まれる、A社に対して批判的なブログを削除すること」だった可能性があります。A社の見解はあくまで「著作権侵害を無くすため」にDMCAを使ったと公表していますが、ネット上の多くの人は「批判的な意見が書かれたブログを隠ぺいしようとしているのではないか」などと思ったようです。
理由2:特定のブログのみ削除したため
A社の社長写真が無許可に使われているコンテンツは、今回削除された記事以外にも多くありました。しかし今回は、それらコンテンツがすべて削除されたわけではなく「A社に対して批判的なブログ」のみが削除されたため、多くの人は「A社は都合の悪い情報だけを削除している」と思われてしまったようです。
理由3:DMCAに知見のある会社の行動だったため
A社はITに力を入れている企業でした。そのためA社のファンユーザーたちは「DMCAの使い方や本来の目的を深く理解している企業」と思っていたようです。批判的なブログがDMCAによって削除されたとき、ファンユーザーたちは「A社は使い方や目的から、メリットデメリットまでDMCAのすべてを知っているはずなのに、どうしてこんなことしたの?」などと、失望と怒りを感じてしまったようです。
削除したあとに目立ってしまった
最初にA社が問題視していた「A社に対して批判的なブログの内容」よりも「そのブログを削除したA社の行動」が目立ってしまい、批判的な意見が集まってしまいました。A社のイメージは大きくダウンしたと言えるでしょう。さらに「そこまでして隠ぺいしたい事実だったのか」とブログの内容も再注目されてしまい、TwitterやFacebookなどで拡散されてしまいます。A社にとっては踏んだり蹴ったりの状態になってしまいました。
あいまいな知識で解決しようとしない
「多分この方法が正しいと思う」などと、あいまいな知識でネット上の問題を解決するのはよくありません。今回のDMCA騒動で一番注目されたのは「DMCAの悪用」という点でした。万が一悪質な使い方をしようと思っていなくても「知りませんでした」「悪質だとは思っていませんでした」などの回答は通らないのがネットの世界です。レピュ研では、ネット問題におけるさまざまな解決方法を、正しい知識で情報発信しています。もし、批判的なブログや、掲示板・口コミで悩んでいるときは1人で解決しようとせずに、レピュ研までお気軽にご連絡下さいね。
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