【2022年7月】企業炎上調査分析レポート

本レポートはレピュ研を運営する株式会社ジールコミュニケーションズが、独自の調査から「企業の炎上」として判別した事例の分析内容です。先月特に目立っていた炎上事例とその発生要因を解説し、月間を通してどのような傾向、トレンドが見られるのか解説しています。企業におけるWeb・SNS、及びレピュテーショナルリスクの管理、評価、対策等に活用していただくことを目的として毎月発表しております。

2022年7月の炎上件数の推移

ジールコミュニケーションズの独自調査・判定より、2022年7月の炎上件数は23件となりました。炎上タイプの内訳は下グラフの通りです。

6月にピークを迎えた炎上発生件数ですが、7月に入りだいぶ落ち着いた印象があります。特に、7月は政治的なニュースの衝撃が大きかったため、そのインパクトによって、普段であれば物議を醸すような情報発信であってもかき消されてしまったという理由が挙げられます。

キャンペーンの告知方法が悪質だとして炎上

ある飲食チェーン店のキャンペーン告知内容と実際サービスが違ったとして物議を醸しています。

問題となった飲食店は、全国展開をおこなっている著名な店舗です。2022年7月中旬、店舗を訪れた客が写真付きの告発投稿をおこなったことから、炎上に発展する事態となりました。キャンペーンは以下のような内容でした。

告発ツイートとともに投稿された画像には、問題となったキャンペーンのポスターが写されていました。そこには「7月××まで」という記載があり、あたかも現在開催中で7月×日にキャンペーンが終了するかのような文言でした。この告発ツイートに反応したのが、SNS上の「同じような意見を持ったユーザー」または店舗経営の経験者など「知識をもったユーザー」です。このキャンペーンが法的にどのように違反をしており、どれくらい悪質であるかという意見がSNS上に一気に拡散されることとなりました。

この事態を受けた、店舗の運営企業は翌日に謝罪文を公表し、返金の対応を行うことを表明しました。

試される企業としての「姿勢」

今回の炎上事例では、多角的な視点から企業としての「姿勢」にフォーカスが当てられた結果、企業のレピュテーションが著しく低下する結果となりました。一体、どのような視点から企業としてNGのジャッジが下されてしまったのでしょうか?

ビジネス的視点による運営体制の否定

当企業のSNS炎上はこれだけではありません。なんと、前月の6月にも同じく景品表示法違反の疑いで炎上を発生させているのです。その際には、公式HPに以下のような謝罪文と詳細な改善案を公表しています。

■再発防止のための対策
 ・消費者庁への改善案を提出し、順次以下の対応を実施しております。
 ・経営陣、広告に関連する部署の全従業員に対し、景品表示法に関する研修を実施しております。

 ◆コンプライアンス意識の向上と日常業務への反映を徹底
 ・ 経営陣を含めたコンプライアンス教育の実施によるコンプライアンス意識の向上(景品表示法など関係する法令についての教育を徹底)
 ・経営陣による、社内への継続的なコンプライアンスに関する情報発信を実施することにより、全社一丸となったコンプライアンス意識の醸成と、各自の業務への反映を徹底

実際の公式HPより引用・抜粋

ところが、舌の根も乾かぬうちに同様の炎上を起こしたことから、ユーザー視点で「以前誓約したことを、すぐに反故していまうようなビジネス的に信用のおけない企業だ」と見なされてしまったのです。当然、運営店舗数の多い企業なこともあり、公表した改善案をすぐさま完璧に実行することは厳しいことではありますが、ユーザーの体感的に「言ったことが護れないような人たちが運営している店舗」であることに違いは無かったのでしょう。

情緒的視点による謝罪文への批判

当炎上においては、発生からわずか翌日で運営企業は公式謝罪文を公表したことで、炎上に対する迅速な対応力・組織力を垣間見ることが出来ました。しかしながら、この謝罪文に対してSNSやネット上では「ある要素が欠けている」として、かえって企業のレピュテーションを下げてしまう結果となりました。実際に公表された謝罪文は以下のような内容です。

平素は、弊社が運営する○○店舗をご利用いただき、誠にありがとうございます。

この度、○○で7月△日より開催いたします下記キャンペーンの告知物を、本来キャンペーン日開始前に掲出しておりました。
本件につきまして、お客さまへの対応に万全を期すため、対象告知物の入れ替え状況の調査対象期間をキャンペーンの数日前から前日の閉店間際までに拡大し、継続的に徹底した調査を実施しておりました。その結果、今般閉店前の翌日準備のため、使用していない座席に掲出した事例等があり、新たに追加となった店舗などがございましたので、添付対象店舗リストの通りお知らせいたします。また、引き続き、追加もしくは掲出時間などが判明した店舗につきましては、随時お知らせさせていただきます。

実際の公式HPより引用・抜粋

一見すると、

  • どのような問題があったのか
  • どのような対策をおこなっているのか

といった必要要素が盛り込まれており、謝罪文として十分に機能しているかのようにみえます。しかし、今回SNS上のユーザーが注目したのは、企業としての義務ではなく、多数の店舗や従業員を守る立場にあるという企業としての姿勢でした。公表された謝罪文に対して、SNSやネット上のユーザーからは以下のような意見が相次ぎました。

「結局、店舗が勝手にやったことって言うんですよね。」
「まるで店舗だけが悪者かのような書き方だな。」
「なんだか心がないなぁ…。」

このようなユーザーの意見から推察されるのは「要件を満たしたビジネス的謝罪文だけではユーザーの心は動かない」ということです。IBMコーポレーションとMorning Consult社による共同調査によると、企業活動に影響がありブランド好感度を高める要素として、労働者の将来投資が企業の好感度を高めると答えたユーザーが77%、従業員に対する投資がが76%と高い割合を占めています。つまり、自社の社員を大事にしている企業ほど好感度が高いということになります。

IBMコーポレーション& Morning Consult社 Special report 『Companies with purpse:The future of business』より引用・抜粋
https://www.ibm.com/blogs/think/jp-ja/global-purpose-study/

また、昨今の新型肺炎流行の影響に際して、自社の従業員が最優先という姿勢をみせた企業に対しては、好感度が高まっている傾向が世間的な流れとしては存在します。これは、SNSのユーザーに対しても同じことが言えるでしょう。

SNS時代に入り、情報に対して目の肥えたユーザーたちは様々なフィルターを通して企業の正当性をジャッジするようになりました。3月の炎上レポートでも、企業として自ら「正しい」主張をおこなうことに対するユーザーの期待値があがっていると取り上げましたね。今回の問題においては、謝罪文に企業としてのビジネス的な要素のみを盛り込んだことが、レピュテーションを落とす原因となりました。今後は、定量的な観念でのリスク対策と同時に「情緒的なリスク対策」の必要性もさらに高まっていくでしょう。

コミュニケーション的視点によるTPOへの批判

運営企業は様々なSNS公式アカウントを用いて、PRやファンコミュニティを構築しており、広報活動に力を入れていると見受けられます。特に活発に情報発信をおこなっていたTwitterでは、炎上発生前までは連日のように投稿をおこなうなど、積極的なPRをおこなっていました。

ところが、今回の炎上に際して公式SNSアカウントに謝罪文を掲載しませんでした。推測として、当運営企業は、SNSアカウントをあくまでフランクな情報提供の場と認識しており、ビジネスライクな謝罪文などの文書類は公式HPに掲載することが妥当であると考えたのかもしれません。

しかし、今回炎上の発端となった現場は「SNS」です。ということは、企業を批判するのも、そして許すのも主にSNSで情報収集をしているユーザーということになります。せっかく迅速に対応し、かつ改善案を詳細に記した謝罪文であっても、批判をおこなっている対象に届かなければ意味がありません。このように、情報公開はタイミングだけでなく、情報を受け取るターゲットを見定めて公表するフィールドを選定する必要があると言えるでしょう。

店舗の不衛生な環境が従業員に告発されて炎上

ある飲食店の従業員がTwitter上で告発した内容に、批判の声が高まっています。

炎上したのは全国チェーン展開をおこなっている、誰もが知るような飲食店です。7月下旬、Twitter上にて当該店舗の従業員同士によるメッセージのスクリーンショットが内部告発として掲載されました。内容は、以下の画像の通りです。

そして、告発内容はなんと炎上事例を取り扱うインフルエンサーに、投稿のスクリーンショットを掲載される形で告発されてしまいました。当該企業は瞬く間に炎上し、Twitterにおける当該企業名の投稿数はわずか2日の内に通常時の約90倍まで膨れ上がることとなりました。さらに、当該店舗のGoogleマップが「ナメクジG店」といたずらで書き換えられる、Googleの検索候補に「なめくじ」「閉店」「炎上」と表示されるなど、深刻なサジェスト汚染が発生することとなりました。

運営企業は謝罪文を公表しましたが、従業員に対する誹謗中傷ツイートの増加や、無関係の同業他社にクレームが入るなど、現在も炎上による弊害は続いています。

社内の上申体制とSNSガイドライン

今回の問題は、もちろん不衛生な環境を放置した店舗と企業側に根本的な責任があります。しかし、本質の問題は企業姿勢だったとしても、今回のようにレピュテーションを落とさずに環境を是正できる道があったのではないでしょうか?今回の問題は、

  • 企業で働く従業員にとって、不正を上申できる制度が整っていなかったこと。
  • 従業員に対するSNS利用ルールを策定し、改善のための意見は必ず規定の上申ルートで申告するようにしなかった。

この2つが、SNSリテラシーとしての焦点になると考えられます。

そもそも、どうしてこのような内部告発が頻発しているのでしょうか?それは、企業における告発=情報漏洩に対する認識がアップデートされていないからです。

SNSが台頭する以前は、従業員が所属しているコミュニティがリアルでかつ限定されていたため、企業に対する不正を言いふらしたとしても、それは所属コミュニティ以外にはあまり広まらないことがほとんどでした。しかしSNS時代となり一人が複数のアカウントを所持し、多くのコミュニティに所属するようになると、従業員は抱えている不満のはけ口としてSNSを選択するようになります。結果として、複数のコミュニティに内部情報がばらまかれることとなり、炎上に繋がっていくことが推測されます。

7月の炎上【傾向と分析】

7月は政治的にインパクトの強いニュースが飛び込んできたこともあり、普段であれば炎上に発展するような事例も、大きな衝撃に隠されて大事にならなかったという印象にあります。ですが、SNSで取り沙汰された情報は半永久的に残ります(デジタルタトゥー)。今後、何らかの機会で注目を浴びた際に、過去に起こった炎上の成り損ないが掘り出されて、新しい炎上の燃料となってしまう可能性もあるので注意が必要です。

また、今月は飲食関連の炎上が多く見られた月でもありました。炎上事例にてSNSユーザーの企業に対する期待値が上がっているとお話しましたが、特に食品関連に関する商品・サービスは「企業が社会課題の解決に取り組んでいるか」という目線が、ユーザーに意識されている傾向にあります。一般社団法人経済広報センターが発表した『第25回 生活者の”企業感”に関する調査報告書』によると、調査対象者の約74%が「社会課題の解決に取り組む企業を意識して購入している」と回答しています。

一般社団法人経済広報センター『第25回 生活者の”企業感”に関する調査報告書』 より引用・抜粋
https://www.kkc.or.jp/release/detail.php?page=1&year=2021&id=175

このように、企業の正当性や社会貢献度が好感度に直結するようになるとともに、SNS上で発信される情報で企業の正当性を判断しようとするユーザーが増えています。SNSで情報発信を行っている企業、特に食品や日用品など生活と密接するものである場合、注意してSNSの動向を把握する必要があると言えるでしょう。

事例の分析で、炎上リスクのノウハウを蓄積

ジールコミュニケーションズが開催している無料のオンラインセミナーでは、今回ご紹介した炎上事例の他にも、様々な事例をさらに深掘りする形で解説しております。セミナー中の炎上事例解説では、データに基づいた炎上トレンドや、具体的に注意すべき投稿内容についてお伝えしております。

ぜひ、弊社セミナーにご参加の上、今後のSNSリスク対策にお役立ていただければ幸いです。

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