ネット炎上事例として判別したものを毎月リサーチ後分析し、レポートとして配信していきます。
弊社が独自に設定した条件にて情報を算出し、カテゴリー別の件数推移と、特徴的な炎上について解説を行います。
6月炎上リサーチレポート
2018年5月のネット炎上件数は83件でした。2018年5月で一番多かった炎上はエンタメ関係で36件あり、2ヶ月連続で炎上カテゴリートップです。芸能人やテレビ関係者の不適切書き込みや行動がSNS上で話題となり、炎上につながっています。また、CMに不適切な表現が含まれているとし、CM制作会社ではなく、出演したタレントに批判が集中する炎上事例も数件発生していました。
今月ピックアップした炎上は大手飲料品メーカーKがSNS不適切投稿で炎上した事例です。人気商品と合わせて配信したイラストが、ユーザーを不快にさせたとして炎上してしまいました。
女性客をバカにしているとして飲料品メーカーが炎上
2018年4月終わりから5月にかけて、大手飲料品メーカーKはSNSで人気商品の告知をしていました。告知内容は、自社製品を飲んでくれている女性を4つのタイプに分類して、イラストで表現するといったものでした。
新生活にはなれましたか?弊社商品を飲んでいそうな女子をイラストで描いてみました!わたしの周りにこんな女子いるかも…と思ったら拡散してください!
・モデル気取り自尊心高め女子
・ロリもどき自己愛沼女子
・仕切りたがり空回り女子
・ともだち依存系女子
※ すべてイラストで表現/一部レピュ研が内容を変更しています。
大手飲料品メーカーKは投稿目的として、「人気商品により一層の親しみを感じてもらうため」としていましたが、告知内容を見たユーザーからは
「人気商品を飲んでいる女性をこんなふうに見ていたのですね。最低」
「完全に女性客をバカにしている」
「イメージが完全に壊れた瞬間に立ち会った。ガッカリです」
などと、批難が殺到して炎上してしまいました。
炎上した3つの原因
原因1:ブランドイメージに合わなかったため
今回のSNS告知内容が、人気商品のブランドイメージに合わなかったため炎上してしまいました。
大手飲料品メーカーKの商品は、昔から多くの人に人気で、「この商品と言ったら◯◯だよね」といったポジティブなブランドイメージが定着している商品だったと言えます。今回のイラストを使った広告では、ユーザーから「イメージと違う」と言った声があがっています。もともと定着していた商品のブランドイメージと、告知内容がかけ離れてしまった点に、ユーザーが不信感を抱いたことが原因と言えるでしょう。
原因2:ユーザーを自虐ネタとして取り扱ったため
告知文と一緒に使ったイラストレーションが、いつも商品を購入していただけるユーザーをネタにした内容だったため炎上してしまいました。ユーザーからは
「大手飲料品メーカーKは消費者をこんなふうに見ていたのですね」
「ユーザーをバカにしているとしか思えない。もう買いません」
「女性蔑視とか以前に、顧客を適当に扱いすぎ。宣伝okを出した責任者頭おかしい」
などと、ユーザーを大切に扱っていないと思われてしまった点が原因で、批判が殺到しました。
原因3:公式サイトのガイドラインに自ら反していたため
自社公式サイトのルールに、自社が違反している点に批判が集まり、炎上してしまいました。
大手飲料品メーカーKは、公式サイト内の「公式アカウントコミュニティ・ガイドライン」にて次を削除事項と定めています
円滑な運営を妨害、または他人に迷惑をかける行為
他のユーザーが不愉快になる表現(卑猥・暴力的・残虐な表現、差別的な表現など)
他、公式アカウント運営にあたり、管理者が不適切と判断した発言・作品
この削除事項を見たユーザーからは
「自社で決めたルールも守れていないのか」
「どういう表現が差別的な表現に該当するのか聞いてみたいわ」
「管理者が不適切と判断していない作品だったというわけですね」
などと、公式サイトの自社が定めたルールに対して守れていない点に多くの指摘が入る異例の炎上となりました。
企業ができる炎上対策とは
今回の炎上事例で特に注目すべき点は、企業公式アカウントのコミュニティ・ガイドライン策定をしていたのにも関わらず炎上したことです。
公式アカウントのコミュニティ・ガイドラインとは、企業がSNS公式アカウントなどを運営していく上で、運営目的や禁止・削除投稿の基準設定・ユーザーへの対応方法等を示す大まかな指針のことをいいます。目的の1つにはネット炎上を防ぐ役割も含まれているのが一般的であり、炎上させないためにガイドラインを導入する企業は多いです。
今回の炎上事例では、コミュニティ・ガイドラインに厳しい決まりがあったのにも関わらず炎上してしまった、珍しい事例と言えるでしょう。すでに炎上しないためのルールがあるからと油断せずに、ガイドラインの見直しや時代の変化に合わせた柔軟な対応が必要ですね。
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