【2021年10月】企業炎上動向調査レポート

レピュ研を運営する株式会社ジールコミュニケーションズが、独自の調査により「ネット炎上」として判別したデータをもとに作成したレポートです。先月特に目立っていた炎上事例とその発生要因を解説し、月間を通してどのような傾向、トレンドが見られるのか分析しています。
企業におけるWeb・SNS、及びレピュテーショナルリスクの管理、評価、対策等に活用していただくことを目的として毎月発表している調査レポートです。

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商品のデザイン盗用が告発され炎上

ある服飾メーカーの発表した新商品がデザインの盗用だとして、SNS上で批判の声が上がり炎上しました。当該企業は公式のTwitterアカウントを運営しており、日常的に自社製品の紹介ツイートを写真付きで投稿していました。しかし、その商品画像をみたデザイナーやクリエイター層のユーザーが、既存のデザインと酷似していることに気が付き、デザインの著作元に連絡。連絡を受けた著作元のデザイナーが企業を告発する形でデザインの盗用が公になり、急速に拡散される事態となりました。その後、当該企業は公式HPにて以下のような謝罪・釈明文を発表しました。

  • 外部専門家を交えて検証を行った結果、問題の商品は”既存デザインの影響を受けて”作成されたものと判断
  • 今後は知的財産の専門家を交えて調査を実施していく予定
  • 問題の商品は販売停止
  • 問題の商品を購入した消費者には返金対応をおこなう
  • 権利元のデザイナーには”誠実に対応”をおこなう

この謝罪内容も含めて、炎上は収束するどころか大炎上にまで発展する事態となりました。

デザインの盗用・酷似から発生する炎上にみられる特徴

既存デザインに酷似が告発され炎上する事例は、9月の炎上レポートでも解説いたしましたように頻発しています。このケースの炎上事例にみられる特徴として、「各SNSクラスター同士の結びつきが強く、団結した際の影響や拡散力が強い」ことと「組織内で知的財産に関する認識統一が出来ていない」という2点が挙げられます。

各SNSクラスター同士が団結した際の影響力が強い

SNS上における各ファンやクラスタ同士の結びつきが強固なため、問題提起的な投稿がされると爆発的に拡散される傾向にあることは過去の炎上レポートからもお分かりいただけるかと思います。今回の事例では拡散力に加えて、公式SNSの過去ツイートを掘り出し 当該企業の問題を洗い出そうとする団結力も強い傾向として見られました。結果的に当該企業の別商品でもデザインの盗用が発見・告発されることとなり、告発された商品は販売中止となりました。返金対応等、企業が負うこととなった損害額は増大する結果となってしまいました。

社内・組織内での知的財産に関する認識統一が出来ていない

このように、デザインの盗用による事例のみならず、組織内のSNS担当・企画/商品開発担当・コンプライアンス管理等は様々なケースにおいて知的財産に関する知識が求められます。情報発信をおこなうSNS担当者であれば、発信する情報が著作権や肖像権に触れていないかどうか。企画・商品開発担当者であれば、デザインした成果物が、世の中に発表されている他商品やデザインに過度に類似していないかどうかについて事前に確認する必要性があります。さらに、知的財産を侵したことで炎上してしまった事例をSNS教育で学んでさえいれば、商品をSNSで発表する前に炎上の危険性に気づくとともに、炎上回避は十分可能だったと言えるでしょう。

このような事例は、SNSでの商品発表のみではありません。アニメやドラマの画像や動画を公式アカウントで無断投稿してしまった場合など、企業のレピュテーションに直結する可能性が高くなります。昨今ではSNS、特に公式SNSで得られる情報が企業のイメージや印象に直結する傾向があることを考えると、無断掲載や投稿によって「この企業は知的財産を守らないコンプライアンスに甘い組織なんだ」という印象をユーザーに与えかねません。

企業の社会貢献活動が逆に反感を買ってしまった

昨今において社会貢献活動は、消費者にとってのブランドイメージを高める1つの手段でもあります。アライドアーキテクツ株式会社調べの統計データによると、54%ものSNSユーザーが社会貢献活動をおこなう企業に好感を持つとされています。

「アライドアーキテクツ株式会社調べ」《 新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う外出自粛に関するアンケートご協力のお願い 》


当該企業のHP上でも、企業としての積極的な社会貢献への姿勢が綴られており、今回の炎上が発生するまでは社会貢献としてもブランドイメージ戦略としても好調だったことを窺い知ることができます。 ところが、炎上が発生した途端に企業へのイメージはひっくり返ることとなりました。炎上発生後に企業HPをみたユーザーからは以下のような意見が相次ぎました。

・パクリ企業のくせに社会貢献活動を啓蒙していて矛盾を感じる
・偽善者という印象しか抱けない
・社会貢献活動を行う前にやることがあったのでは?
・社会貢献をするなら権利元のデザイナーにも”誠実に対応”したら?

このように、良かれと思って行なっていた社会貢献活動によって、炎上による悪影響を増加させてしまう結果となってしまいました。

アルバイトの不衛生行為が告発され炎上

ある飲食店での不衛生行為が告発され、炎上する事態となりました。問題が公になるきっかけとなったのは、ゴシップ系YouTuberの告発生配信でした。告発された内容としては、インスタグラムのストーリーにて飲食店内の調味料に口をつける写真が投稿されているという、いわゆる「バイトテロ」にあたるものでした。

この炎上に関しては、告発された時点では炎上や特定といったユーザー行動は見られませんでした。しかし、いくつかの問題点によって大炎上に発展し、被害が拡大する事態となってしまいました。

「バイトテロ」を知らない世代の台頭

アルバイトによる悪さ自慢=バイトテロは2013年から頻発している社会問題です。炎上してしまったアルバイト従業員はもれなく店舗や個人情報の特定が行われ、店舗や本人の将来に大きな傷痕を残す結果となっています。バイトテロに関しては近年になって発生が落ち着いてきたと見られてきましたが、今年に入ってからバイトテロが頻発するようになりました。また、2013年と比較してSNSの利用者数やアプリケーション自体が増えたことから、特定の速度がさらに早くなり、一度バイトテロが明るみに出ようものなら最後、個人情報は余さず特定されてしまうようにもなりました。

将来に影響が出ることがわかってなお、どうして若者たちはバイトテロをおこなってしまうのか?それは、「バイトテロ」の影響力を知らない世代の台頭があげられます。バイトテロの全盛期である2013年から8年が経ちました。当時未就学児・小学生児童であった子供たちも、10年近くの年月を経てSNS中心の生活へと変化しました。それにより、SNSを最も活用しているばずの若年層が、バイトテロの影響力やSNS上の注意事項に関して無知または無関心であるという状況に陥っている現実があります。

バイトテロに対してメディアが注目した

今回の炎上における最大の特徴は、当該店舗が著名人も利用する高級店だったためにメディアが大きく注目したという点です。

当該店舗は著名人、特にユーザーからの反感を受けやすい芸能人が数名ほど来店していた飲食店でした。バイトテロが公になった時点では、メディアの動きは特に見られませんでしたが、著名人が通う飲食店であると判明した結果ネット上の公式ニュース記事が乱立し、メディアがユーザーを煽る形で炎上の規模が大きくなりました。メディアの記事タイトルには一様に「あの〇〇・△△も通う飲食店でバイトテロ!」の文字が並ぶなど、著名人が持つネームバリューの強さを感じさせます。このように、今回の炎上はメディアによる話題作りの一環として、著名人のネームバリューが利用される形で炎上に発展した、珍しい炎上事例と言えるでしょう。

関係者の保護者企業のSNSアカウントが炎上

今回の炎上ではバイトテロをおこなった当人や当該店舗がそれぞれ炎上の影響を受けましたが、最も思わぬ形で被害を被ることとなったのは、「関係者の保護者が経営する企業の公式SNSアカウント」です。バイトテロの関係者は本人・投稿者関係なく個人情報が露見してしまうこととなりましたが、その中に「保護者の経営する企業」の情報がありました。企業が特定された結果、企業の公式SNSアカウントでの過去の問題投稿が掘り起こされることとなり、連動式に炎上する事態となってしまいました。

この現象で推察されることとして、どんなにフォロワー数の少ない影響力の少ないアカウントであっても何をきっかけに炎上するか分からないという点が挙げられます。これまでの事例は影響力を持つ第三者やインフルエンサーにアカウントが晒される形で炎上するケースが大半でしたが、今回のように全く別の炎上から飛び火する形で企業に風評被害が及ぶケースも十分ありえます。どのようなタイミングでアカウントに注目が集まるかわかりませんので、過去の投稿も含めて批判される隙を与えないアカウント運用が求められます。

限定品フィギュアのクオリティが低かったため炎上

限定発売された商品のクオリティが低かったためSNS上で炎上し、そして署名活動まで発展した炎上事例です。

当該商品は限定250名で発売された大人気アニメキャラクターのフィギュアとなります。今年3月末に抽選が終了し、10月上旬に発送されましたが、発送されたとたんに出荷や梱包不良の報告がSNS上で相次ぐこととなりました。さらに、事前に告知の商品のイメージ画像と実際の商品のクオリティ差が歴然だったため、SNS上で批判の声が高まり炎上に発展することとなりました。炎上はバッシングのみにとどまらず、その日のうちに商品販売の企業に対して 返金を求める署名活動が立ち上がるなど、ますます盛り上がりをみせます。結果として炎上から3日後に販売元の企業は公式Twitterにて謝罪を行い、追って返金対応をおこなうこととなりました。

批判者の数は炎上の規模に比例しない

1つ目の事例でもお伝えした通り、SNS上でも特にTwitterにおける各クラスターのつながりは強固です。また、自身の得意分野における考察や意見・批判を積極的にSNS上で発信し議論を深める傾向にあります。今回の炎上事例では、商品を手に入れられたユーザー数は250名であり炎上の火種となる母数は一見少ないように思えますが、商品数250に対して署名活動への賛同者が最終的に2,500名近く集まったことから、SNS上における当該キャラクターのクラスターは相当数存在し、強固な結びつきにあると推測されます。この事例から、炎上において批判やバッシングをおこなうユーザー数と炎上の規模や結果は関連性が薄いということが伺えます。炎上において批判をおこなうユーザーは、全体ユーザーにおいてほんの一握り、という理論は弊社セミナーでもお伝えしている内容になりますが、今回の事例ではその事実がより顕著に現れています。

10月の炎上【傾向と分析】

2021年10月は、過去毎月の発生件数と比較して非常に落ち着いた月となりました。しかしながら、相次ぐデザイン盗用の告発やバイトテロの発生など、一つ一つの炎上規模が大きかったため、かえってユーザーの印象に深く刻まれることとなりました。加えて、月末の衆議院選挙などの時事的イベントに関連した炎上も多く見受けられました。

10月の炎上傾向に見られる特徴として、バッシングや相手を否定する手段は言葉による誹謗中傷だけでは無い、という点があげられます。先述した事例にもあったように、企業へ抗議する手段として「署名運動」が立ち上がり多くの賛同者が集まっています。署名運動は2021年下半期から数件見られ始めた特徴で、最も大きな事例だと9月のVtuber動画の炎上が記憶に新しいでしょう。こちらの炎上事例は10月の弊社最新事例セミナーでも詳しく掘り下げて解説いたしました。

また、企業の社会貢献活動がかえって仇となったケースも見られました。不正が公になる、SNSでの不適切な投稿等、企業SNSアカウントの炎上理由は多くありますが、そのどれもが企業や組織としての体制気質へと批判の矛先が向けられます。そのため、たとえ謝罪を発表したとしても

  • 炎上するような企業の社会貢献なんて偽善に違いない
  • 金儲けのために社会貢献なんて理念を掲げているに違いない

というように、社会貢献活動と絡めて批判されてしまうケースが想定されます。このような批判を回避するために、そもそも炎上を防止することも大切ですが、炎上後の対応として「批判を受けている内容と、企業の意向・気質は異なる」ことを明確に示す必要があると言えるでしょう。

SNSの傾向やトレンド把握で炎上を回避できる体制づくりを

企業・組織としてのブランド認知拡大もさることながら、炎上を回避し守ることもブランドイメージ戦略の一つにとなります。そして、公式SNSアカウントの有無にかかわらず炎上発生のリスクはどのよう法人にもあり得る、ということをご認識いただければと思います。

そのためにも、SNSモニタリングや炎上事例分析によって日々移り変わるSNSのトレンドと炎上の傾向を把握し、「今」出来る最適の炎上対策が出来る体制づくりをすることが重要となります。

「炎上事例の分析をおこなうノウハウがない…」
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