【2022年10月】企業炎上調査分析レポート

本レポートはレピュ研を運営する株式会社ジールコミュニケーションズが、独自の調査から「企業の炎上」として判別した事例の分析内容です。先月特に目立っていた炎上事例とその発生要因を解説し、月間を通してどのような傾向、トレンドが見られるのか解説しています。企業におけるWeb・SNS及び、レピュテーショナルリスクの管理・評価・対策等に活用していただくことを目的として毎月発表しております。

2022年10月の炎上件数の推移

ジールコミュニケーションズの独自調査・判定より、2022年10月の炎上件数は23件となりました。炎上タイプの内訳は下グラフの通りです。

過去3ヵ月の上昇傾向から一転して、10月は比較的落ち着いた月となりました。これまで常に渦中にあった政治関連の炎上も占める割合が減っていることが特徴としてあげられます。法人による炎上は依然として大きな割合を占めており、企業としてのSNSリスクの高さを如実に表していると言えるでしょう。

記念日にかこつけた情報発信が非難され炎上

ある、企業の公式Twitterで発信された情報内容が、企業・公式として不適切であるとして炎上する事態となりました。

問題となったのは、全国展開をしている著名な飲食チェーン店の公式Twitterアカウントです。10月11日の「国際カミングアウトデー」にちなんで、以下のような投稿を「告白する」という体でおこなったことが発端でした。

投稿後まもなく、公式アカウントのリプライ欄は、LGBTQのユーザーを中心に、国際カミングアウトデー本来の趣旨や背景への理解が足りないという非難の声が集中することとなり、翌日、当該アカウントは問題となった投稿を削除し、画像添付による謝罪文公表をおこないました。

公式SNSの「ネタ探し」に潜むリスク

今回の炎上で注目すべきは「記念日」というネタにとらわれるあまり、自らが発信する情報の重みにまで目が向かなかったという点です。

企業の公式SNS運用は、まだまだ「SNS運用のみの専任担当者」が少ないことが実情です。多くのSNS担当者は、別の業務と兼務していることが多く、結果としてSNS運用が片手間になってしまい、なかなか注力出来ないというケースも少なくありません。このような状態となった場合、多くのSNS運用担当の頭を悩ませる問題として挙げられるのが「投稿ネタの不足」です。株式会社IDEATECHがおこなった調査によると、公式SNS運用を行っている企業の44.4%が投稿ネタの不足を課題に感じていると回答しており、多くのSNS担当者が投稿のネタを欲していることが見て取れます。

株式会社IDEATECH『BtoB企業のSNS運用に関する実態調査』より一部引用

企業SNSを運用する際のネタとしてオーソドックスな物には下記のような物があげられます。

上記の中でも「記念日にちなんだ話題」

  • コンスタントに新しい情報を発信する必要性がある
  • 記念日自体の数が多い
  • 比較的かんたんに情報が手に入る

という観点において「記念日にちなんだ情報発信」はSNS運用で最もネタが作りやすいカテゴリだと言っても過言ではありません。Twitter社の公式HPでは、月ごとの記念日や予想トレンドを記載した「モーメントカレンダー」をダウンロードすることが出来るため、わざわざ検索して探す必要すらありません。

このような片手間なSNS運用とネタ探しの課題が掛け合わさった結果として起こる事象が、「情報の未精査」です。SNSで情報発信をおこなうにあたって、情報内容に不備がないか、批判されるリスクがないかを精査することは、もはや当たり前のフローになります。しかし、兼任のSNS担当者にとってはネタ探しをしてSNSに投稿する、という業務自体がゴールと化してしまうため、片手間のSNS運用をおこなっていると情報の精査が蔑ろになってしまう可能性が高くなります。

さらに、記念日や企業の裏話といったネタにはセンシティブな内容に関わるものや、時代を経たことによりコンプライアンス的に問題視されてしまうような内容も多々あります。そういったネタに潜むリスクを加味しないまま情報発信をおこなった結果、批判を受けてしまったのが今回の炎上事例となります。

ハッシュタグに対する感覚の違いとは?

SNS運用をおこなうにあたって積極的に活用していきたいSNSの機能として「ハッシュタグ」があげられます。ハッシュタグとは、SNS上のキーワードやトピックスを分類するための機能の1つです。ハッシュタグを使って発信した情報をカテゴリ分けすることで、そのカテゴリに興味のあるユーザーの検索結果に表示されやすくなります。さらに、ハッシュタグのついた言葉で特に人気のあるものはトレンドトピックに表示されるなど、自社がトレンド入り出来る可能性も秘めています。

このように、企業の公式SNSアカウントにとってハッシュタグを活用しない手はないのですが、ハッシュタグの持つもう一つの特徴として 「政治やセンシティブな話題との親和性が高い」という点があげられます。
このような投稿をSNS上でみたことはありませんか?

このように信念を持って自らの活動に力を入れているユーザーにとって、ハッシュタグの活用は活動を認知してもらう活路になります。今回の事例で取り上げられた「国際カミングアウトデー」に関するハッシュタグの活用としては、「#国際カミングアウトデー」をつけたSNS投稿にのせて、勇気を振り絞りつつも自らの性的指向をカミングアウトしたり、カミングアウトした人の勇気を尊ぶ、というような投稿をおこないます。

公式SNSとしてのKPIを達成するためにハッシュタグを活用している企業・法人。己の信念を守るため、または勇気を出して前進するためにハッシュタグを使用する、活動家や社会的マイノリティといったユーザー達。このように、ハッシュタグは利用するユーザーの目線によって価値観や重みが変わってくる変容的な機能だと言っても過言ではありません。

「トレンドに乗るためにハッシュタグを使用する」「認知度をあげるためにハッシュタグを入れてみる」。もちろん企業の公式SNSとして重要なことです。しかし、トレンド化するためというビジネスライクな視点のみでハッシュタグを使用すると、同じハッシュタグに信念を懸けているユーザーの気持ちを逆なでしかねません。公式SNSでハッシュタグを使用する場合には、そのテーマにどのような背景があって、どのようなユーザーが情報を検索・認知するのかという点に留意する必要があると言えるでしょう。

代表取締役がSNSでお気持ち表明をして炎上

とある飲食チェーン店の代表取締役が、SNS上で不適切な投稿をおこなったことで話題となりました。問題となったのは、現在破竹の勢いで成長している飲食チェーン店の代表取締役が運用するTwitterアカウントです。

このように、わざわざ一部の批判コメントをピックアップして反論し、なおかつ論点の定まらない支離滅裂な投稿に対して、SNS上では、

「どの立場からものを言っているんだろう?
「こんなお気持ち表明をする店舗には行きたくないな」
「代表のクセに小さいことを気にするんだな」

といった批判コメントが集まりました。この結果をうけた代表取締役は、翌日にTwitterの引退宣言をおこない、特に謝罪などをすることなく、ひっそりとSNSから姿を消していきました。

お気持ち表明とSNSの双方向性

今回の炎上において最も特徴的なのは、問題の投稿をおこなった代表取締役の認識として「SNSは双方向のコミュニティである」という特性が抜けていたことです。

従来からあった企業の公式HPやブログとSNSとの決定的な違いは、コミュニケーションを相互にとることが出来るという点です。SNSの台頭によって、企業は一方的な情報発信だけではなく、消費者の意見をダイレクトに受け取ることが出来るようになりました。その結果、企業や著名人に対するファンコミュニティが形成され、企業のブランド価値向上に繋がる、というフローが理想的なSNSの活用方法が形成されました。そのため、まれにある「企業からの一方的な情報発信のみをおこない、コメント欄は封鎖している」「ユーザーのニーズと全く違う情報を発信している」公式アカウントは、ある意味SNSを活用しきれていないと言えるでしょう。

この前提を踏まえた上で、公式SNSにおいて炎上しやすい嫌いがあるとされているのが、ネットスラングにおける(悪い意味での)「お気持ち表明」です。ネットスラングにおけるお気持ち表明とはその名の通り、SNS担当者や著名人の気持ちを綴った投稿のことを指します。このお気持ち表明の何が批判されるかというと、「一方的な意見(情報)の発信をおこなうばかりで、反対意見やユーザーの声を想定していない。」という、感情を発散するだけするという受容性に欠けた姿勢です。この姿勢は、SNSが双方向のコミュニケーションであるという前提を加味していないため、消費者ユーザーは一方的な感情論を押し付けられ、不満を覚えます。結果として批判が集中して炎上する事態となり、ブランド価値を上げるどころかブランドイメージの低下を招いてしまう可能性すらあります。

10月の炎上【傾向と分析】

炎上グラフの内訳をみても分かるとおり、法人による炎上が目立った月となりました。特にジェンダー・国際カミングアウトデーに関連した法人炎上は、判明しているだけでも3件に上り、いかに未精査での情報発信が横行しているかが見て取れます。

今回の炎上レポートでも取り上げたように、ハッシュタグに関連した炎上が多発しています。ハッシュタグ自体は有用性の高い機能のため、企業の公式アカウントとしては積極的に活用していきたいところではあります。しかし、炎上事例の紹介でもお伝えした通り、ハッシュタグを安易に使用すると、同じテーマで精力的に活動しているユーザーの神経を逆なでし、炎上を起こしかねません。ハッシュタグを使用する場合は、そのキーワードが本来持っている意味や趣旨、背景を理解し、どのようなユーザーが見ても不快に感じない情報発信を心がける必要があります。

例えば、今回の国際カミングアウトデーというハッシュタグに関しては、そもそも「カミングアウト」という言葉自体の意味が単なる「打ち明ける」という意味ではなく、「性的指向を告白するセンシティブな用語」です。こういった本来の意味と背景を認識さえあれば、今回のようにセクシャル・マイノリティの気持ちを蔑ろにするような情報発信は防げたかもしれません。

こういった一つ一つの情報を精査せずに発信することは、企業の公式アカウントとして大変リスキーな状態になります。今後の傾向として、公式アカウントを運用するご担当者の方には現状の情報発信を再確認するとともに、どのように情報を精査していくのかという体制を構築していく必要があると言えるでしょう。

事例の分析で、炎上リスクのノウハウを蓄積

ジールコミュニケーションズが開催している無料のオンラインセミナーでは、今回ご紹介した炎上事例の他にも、様々な事例をさらに深掘りする形で解説しております。セミナー中の炎上事例解説では、データに基づいた炎上トレンドや、具体的に注意すべき投稿内容についてお伝えしております。

ぜひ、弊社セミナーにご参加の上、今後のSNSリスク対策にお役立ていただければ幸いです。

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