炎上事例をもとに、原因と対策について解説します。今回は、学校教師が1生徒にむけてSNSに書き込んだ内容が、思わぬ方向に進み炎上したケースを紹介します。
何気ない投稿が、炎上になってしまうネットの「拡散力」や「影響力」がわかる炎上事例となっています。同じような失敗や炎上にならないためにも、原因と対策について知っていきましょう!
教師が授業をサボった生徒をSNSで晒しあげる
ある学生Aさんが授業をさぼり、友達と遊んでいる様子を、SNSに投稿しました。すると、投稿にコメントがつきました。
「体調不良で授業を休むと連絡があったのに、どうして遊んでいるのかな?」
なんとこのコメントをしたのは、さぼった授業の担当教師からだったのです。学生は授業をさぼる口実として、担当教師に「熱が出た」と嘘をついていたようです。一連のやり取りは、担当教師によって拡散され、生徒Aさんは晒し者になってしまいました。教師は
「嘘をついて授業をさぼった学生へは厳しく対処する」
と自身のツイッターに投稿していることから、学生を晒し者にすることが厳しい対処の1つだと考えていたのかもしれません。教師と生徒Aさんのやり取りは、大きな反響を呼び「嘘をついて授業をさぼった学生に、物事の善悪を教えている」として、担当教師を後押しする声がネット上に飛び交いました。逆に授業をサボった生徒Aさんには、批判の声がよせられ、炎上状態になってしまいました。
「生徒がかわいそう」賛否両論で討論炎上が発生!?
炎上の影響により、生徒Aさんの氏名や学校の情報などがネット上に拡散されてしまう事態になってしまいました。個人情報が広まったことに
「担当教師もやりすぎでは?」
「これは、アカデミック・ハラスメントになるのではないか」
などという声が上がり、担当教師や学校に対しても、悪い印象が広まってしまいました。また「教師を称賛する人たち」と「生徒をかばう人達」の討論炎上が各所で見受けられました。討論炎上は「肯定意見の人」と「反対派意見の人」が一定数いることで言い争いなり、炎上が加速することが多い炎上です。ネット炎上で大学や教師自身のイメージを下げてしまうこも大いにありえます。
アカデミック・ハラスメントとは
アカデミック・ハラスメントとは、教育の現場で優位な立場である教師が、生徒に対し、自身の立場を使い、不当な行為をすることを言います。例えば、教師が気にくわない生徒に、その身勝手な理由だけで不当に単位を与えず卒業や進学をさまたげたり、暴言や態度などで生徒に心を傷つけたりすることです。
今回の場合は、教師の立場を使って、インターネット上で生徒を晒し者にしたことが問題視されています。晒し者にするのではなく、本人に直接事実のみを告げた注意をするのがよかったかもしれませんね。
教師のSNSは細心の注意が必要
教師による炎上は、今回だけではなく2017年の4月にも、ある女性教師がツイッターに愚痴を投稿したことで、テレビメディアにも取り上げられてしまうような大きな炎上になってしまう事件がありました。ある女性教師は、新年度のクラス構成が自分の思うようなメンバーにならずSNSに、
「クラスが思うようにならなった。でも気持ちを新たに頑張ろう」
と落胆した気持ちを投稿しました。この女性教師のなにげないツイートは、偶然にも1人の生徒に発見されてしまい「責任感のない教師だ」として、学校側に告発されてしまいます。さらに、学校生徒を中心に女性教師の投稿はリツイート(共有)され、多くの人に広まってしましました。話題になったことでテレビメディアにも取り上げられ、女性教師によるなにげないツイートは大きな炎上になってしまいました。
テレビメディアでは学校名は明らかになってはいませんが、地域名は明らかにされていました。少ない情報からでもネット上では、学校名が特定されることがあります。もし学校名が特定されると、学校のイメージ低下や、在籍生徒の保護者からクレームがあるかもしれません。特に教師は、生徒・卒業生・保護者など多くの関係者が注目しており、なにげない投稿が炎上になる確率が高いです。どんな投稿をしてしまうと情報漏えいや炎上につながってしまうのか、指導する立場として必ず理解しておく必要があります。
教師の炎上が増えている原因とは?
不満や愚痴が表面化
SNSでの教師の愚痴は、2017年にはいってから目立っています。とくにツイッターでは
「休日の学外イベント参加したくないな」
「保護者との3者面談つかれた」
などとつぶやく人がおり、SNSが教師の弱音や愚痴のはけ口になっているようでした。全教が2012年に行った調査によると、教師の1ヵ月の平均時間外勤務時間は「72時間56分」であり長時間勤務であることが分かります。授業・部活・年間のイベント・保護者のサポートなど多くの仕事を1人でこなしているため、肉体的にも精神的にも追いこまれているようです。(1)
教師の愚痴や不満は、友人・家族に言って共感してもらう時代から、SNSで多くの人に共感してもらう時代へ移り変わったのかもしれません。SNSは多くの人に共感される場であるとともに、生徒や保護者・学校関係者などが見ることのできる場でもあるため、気軽な投稿にも責任を持つことが重要です。追い込まれる職業であればあるほど、その愚痴や不満はネット上で表面化し”炎上しやすい職業”と言い換えられる時代になっているのです。
晒すより注意する
学校名や個人名を明らかにしながらSNSをやっている教師がいたのなら、炎上のリスクを共有して注意喚起することで、ネット炎上を防ぐことができます。日々の愚痴や不満は少なからず出てしまうものですが、どのラインを超えると危ないのか、今までSNSに投稿してきた内容に危険なものはなかったか、知らせることが大切です。この記事を読んで「あの教師、そう言えば危ない書き込みしていなかったかな?」と思ったら、今すぐ知らせてあげることが解決策です。問題のある発言を見つけては、大衆に晒そう・炎上させようという人がいるのも事実です。ふと気づいた注意喚起が、大きな炎上を防いでくれます。
心のケアをする
教育相談員を導入し、教師のメンタルヘルスケアをすることで炎上のリスクを防ぎましょう。教育相談員は、教師への助言や援助のほかにも保護者や、生徒にもカウンセリングすることができます。学校法人ではスクールカウンセラーによって、生徒へのメンタルヘルスケアが進んできていますが、教師へは進んでいないようです。教育相談員が教師の心のケアをすることで、活気的な職場環境になりますし、悩みを聞いてくれる相談員がいるだけで、炎上を未然に防ぐことができるのではないでしょうか。
教育機関が炎上対策できること
生徒や教師にネット炎上の実態を学ばせる
基本的なネットリテラシーの講習をする学校が増えていますが、ネット炎上の実際の事例をまじえた講習は行われていません。炎上事例をしることで炎上を疑似体験し、炎上への危機感が増していきます。レピュ研では、意外性のある炎上や、予想できないような炎上まで、いろいろな炎上事例と対策法を提供しています。例えば、カテゴリー別の炎上事例をピックアップした資料の提供や、炎上事例を学ぶセミナーを開催することもできます。詳しい内容やご相談など、お気軽にご連絡ください。
■炎上が起こるのメカニズムについて詳しく解説しています。
>ネット炎上のメカニズムと2017年炎上事例5パターン
■SNSで炎上してしまった対処とは?
>SNS炎上の流れと炎上したあとの3つの対策方法
■学校いじめ問題の炎上事例をまとめました
>学校いじめによるネット炎上の特徴と対策
(1)全日本教職員組合「勤務実態調査2012」