レピュ研を運営する株式会社ジールコミュニケーションズが、独自の調査により「ネット炎上」として判別したデータをもとに作成したレポートです。先月特に目立っていた炎上事例とその発生要因を解説し、月間を通してどのような傾向、トレンドが見られるのか分析しています。
企業におけるWeb・SNS、及びレピュテーショナルリスクの管理、評価、対策等に活用していただくことを目的として毎月発表している調査レポートです。
目次
アルバイトによる防犯カメラ映像の投稿により炎上
大手コンビニエンスストアの従業員が、店舗の防犯カメラ映像をTiktokに投稿し炎上しました。
投稿された映像には次のような様子が映っていました。
・バックヤードでタバコを吸っている
・密集した空間にもかかわらず、マスクを外していた
・来店した女性客の胸元を覗き込んでいる様子
悪質な投稿に対して批判の声が高まり、炎上してしまいました。
情報拡散・炎上の要因
問題の投稿がされたTiktokアカウントは、いわゆる『鍵アカウント』であり投稿を閲覧できる範囲も限定されていました。
炎上のきっかけとなったのは、人気YouTuberによる生配信告発です。
問題の投稿を閲覧した第三者が人気YouTuberに内容をリークし、YouTuberがリーク内容をもとに告発動画を配信しました。
このように、視聴回数を増やす目的で悪質な投稿を告発、炎上させるYouTuberは増えてきているように見えます。
実際、6月はこの投稿を含めた3件がYouTuberの告発をきっかけに炎上しており、告発動画は人気コンテンツとして動画再生回数を伸ばしています。
こういった動画の再生数が伸びているために、面白半分で悪質な動画投稿が増えることも今後懸念されます。
問題となる内容を投稿すること自体が良くないことですが、それと同時に鍵アカウントにしていても、情報流出の可能性があるという事実をしっかりと理解してSNSを利用する必要があります。
某企業の従業員と見られるユーザーの投稿が炎上
自称、大手自動車メーカーの営業者が個人アカウントで投稿した内容に非難声が集まりました。
投稿されたのは次のような内容です。
”ちなみにこのTwitterを含めネットで自分の車のナンバーを晒している方がたくさんいらっしゃいますが、警察でなくてもディーラーの顧客システムで名前住所年齢職場の場所などほぼ把握できます。
一度でもディーラーに入庫したことがあるならすぐに消すべきです。”
この投稿で企業のコンプライアンス意識の欠如が問題視され、炎上に発展しました。
企業としての情報管理の必要性
この内容が投稿されるとユーザーからは
「この企業のコンプライアンスってどうなっているの?」
「自社を貶める投稿はイメージダウンにつながるのでは?」
というように、個人情報の開示や社外秘のシステムについて投稿したことに関して言及されており、従業員のSNSリスクに対する危機意識が欠けていることが伺えます。
企業として、 SNS 上での個人情報や社外秘情報の取り扱い方といったリスク対策をとれていなかったことが、炎上要因の1つとなりました。
一方で、SNS上で発信されている情報に関して企業が把握出来てなかったことも問題点の一つです。
このアカウントは問題の内容が投稿される15日前に作成されました。この時点で「企業名を公開しているアカウント」または「炎上の可能性があるアカウント」として企業がアカウント情報を把握・監視しなかったことも、炎上要因として挙げられます。
企業アカウントが特定の人物を貶める投稿をリツイートし炎上
大手出版社の企業SNS公式Twitterアカウントが、とある作家を貶めた投稿をリツイートしたことにより炎上しました。
炎上の詳しい経緯は次のようなものです。
①ある医療従事者が、医師であり作家のA氏について
「コロナウイルスワクチンについて分かっていない」と非難するような内容を投稿
↓
②この投稿を大手出版社の公式アカウントがリツイートしたところ、
企業公式アカウントとして不適切だと炎上
↓
③A氏は出版社に対しリツイートという行為について説明を求める
↓
④約10時間後にリツイートを取り消し、「誤爆であった」とアカウント上で釈明
さらにA氏がこの出版社から過去にも不当な扱いを受けたことなどを暴露したため、この企業アカウントには非難が殺到しました。
誠意のない対応により二次炎上
企業側は、問題の投稿は誤爆として、リツイートから約9時間後に取り消しました。その後Twitter上には「リツイートはあくまで誤操作であり今後はルールを見直す」という内容の謝罪文が掲載されました。
しかし、「誤操作=企業のSNS担当者が個人アカウントで被害者を貶める投稿を拡散しようとした」と捉えられた企業は再び非難の対象となり、二次炎上を引き起こす事態となりました。
企業側の杜撰なアカウントの管理が原因となり炎上した事例です。デバイスやアカウント管理を怠ったことで炎上する事例は過去にも多く発生しています。
このような炎上は、企業内でアカウント管理のルールをしっかり定めることで防ぐことが可能です。
また、炎上後の対応で大切な点は、迅速に誠意ある姿勢をみせることです。
もし、企業の謝罪で誤爆による主張は企業の主張とは全く異なるものである、ということをより明確に主張していれば、二次炎上は防ぐことができたかもしれません。
6月の炎上【傾向と分析】
6月の傾向として、発生件数は他月と比べて変わらないものの、バイトテロによる炎上が目立ちました。
今回のバイトテロに共通しているのは、「20代前半」かつ「鍵付きのアカウントを利用している」という点です。「鍵アカウントであれば何をしてもかまわない」「鍵付きアカウントだから情報が流出しない」という誤った認識が、若い世代に広まっていることが伺えます。
また、これまでバイトテロは何度も社会問題となってきましたが、特徴として「YouTuberを介した情報拡散」という点があるため新たなリスクとして知っておく必要があります。
こういった課題の解決策としてSNS利用のルール策定があげられますが、ルールを策定するのみでは不十分です。研修などを通して全社員に内容を落とし込むことで、SNSリスクに対する当事者意識を持たせることが重要となります。
SNSリスクに対しての危機意識が欠けている若年層の従業員には、「将来的に自身の不利益となる」という事実を知ってもらうことが効果的です。
バイトテロや情報漏洩で炎上した人たちの末路がどのようなものだったか、事例を含めて紹介することで、より危機意識をもったSNSの利用につながっていきます。
効果的なSNSリスク教育を行うために
ここまでの内容からSNSアカウントの運用有無にかかわらず、SNSリスク教育はどのような企業でも必要不可欠であることがお分かりいただけたかと思います。
上記に挙げた事例を自社に当てはめてみることで、企業として行うべきSNSリスク対策も見えてくるのではないかと思います。
これを機に、自社の行うSNSリスク対策を改めて見直してみるのはいかがでしょうか?
「なにを話せばよいかわからない」「そもそも自社はネットSNSに関するルールを定めていない」など、SNSリスク対策全般に対して不安な点があれば、ぜひ、レピュ研を運営するジールコミュニケーションズまでお問い合わせください。