企業炎上分析レポート【2023.10】

本レポートはレピュ研を運営する株式会社ジールコミュニケーションズが、独自の調査からデジタルリスクに値すると判断した事例を分析したレポートとなっております。2023年、毎月にわたって特に目立っていた。または特徴的な炎上事例とその発生要因等を解説し、どのような傾向・トレンドがみられるのかを追っていきます。企業または学校におけるデジタルリスクの管理やトレンドの情報収集に活用していただくことを目的として毎月発表しております。

2023年10月までの炎上発生件数推移

ジールコミュニケーションズの独自調査・判定より、2023年10月の炎上件数は20件となりました。炎上タイプの内訳は下グラフの通りです。

先月の落ち着いた炎上件数と比較すると増加傾向にはありますが、トータルでの炎上件数自体は平均並みとなりました。特徴としては「エンタメ」発祥の炎上割合が増加傾向にあることです。具体的には、芸能人や著名人による失言や不適切発言、または動画配信中の不備などが炎上に繋がる結果となりました。

ここで注意したいポイントとしては、炎上の火種となる要因はSNSでの発信のみとは限らないということです。オフライン・オンライン問わず不適切な情報はSNSでの拡散対象となります。オフラインでの発言も、いつSNSで拡散されるか分からないという心構えが必要です。

公式アカウントでの発信内容が不適切であるとして炎上

ある企業SNSアカウントによる情報発信が、倫理的に不適切であるとして炎上しました。

問題視されたのは、子ども向けの防犯グッズを販売する企業が、SNSやネットで流行した音楽に便乗して投稿したPRでした。

巷で流行のあの曲とは、少女性愛いわゆるロリコンを面白おかしく歌っている、インターネット発祥のコミックソングです。この曲は、2023年9月にミュージック・ビデオが公開された途端たちまち広まり、2023年10月には再生回数3000万回を達成するなど驚異的な人気となりました。

今回は、当該企業はこの曲に対して好意的な反応をみせたことで「児童への犯罪に対して最も否定的な立場であるべき防犯グッズの企業が、ロリコン楽曲を肯定している。」として炎上する事態となってしまいました。

炎上をうけた企業は3日後に公式SNSとHPで謝罪文を掲載します。謝罪文の中では「今後は細心の注意を払ってアカウント運営をしていく」と述べていますが、反発が大きかったためか、その後公式アカウントは削除されることとなりました。

何のための情報発信かを深堀して考える

昨今ではBtoC・BtoBに関わらず、公式SNSアカウントを運用する企業が増えています。その理由は、社名の認知拡大や採用など多岐にわたると思いますが、根本には企業の経営継続があり、その経営には「企業理念」と呼ばれる理想が掲げられています。従業員や経営陣はこの企業理念に則って様々な施策に取り組むべきとされています。それは公式SNSアカウントの運営も例外ではありません。

しかし公式SNSアカウントの運用は、ノルマとしてのKPI(重要業績評価指標)が設定されることが往々にしてあります。これにより、インプレッション数などの目標値を日々追いかけなければならず、そういった目先の目標を追いかけることが、根底としてあるべき企業理念を希薄にさせてしまう恐れがあります。

今回炎上してしまった企業の経営理念は「子どもたちに楽しさをきっかけに学びを大好きになってもらいたい」です。(当該企業は児童向け防犯グッズの他にも、教材や教育支援商材を取り扱っています。)そのため、健全で実りある成長を願った子ども主体の企業理念をベースとして、当該企業の公式SNSアカウントも運用する必要がありました。ところが、目先のフォロワー数やインプレッション数を追い求めるばかりに本来のスタンスとは真逆の性質を持つコンテンツに便乗してしまったことが、今回問題視されたと推測されます。

公式SNSアカウントを運用する直近の目標は、確かに認知拡大かもしれません。しかし、認知拡大をもってどのような経営を成し遂げたいかという軸のブレない一貫性のある運用が、安定したSNS運用に繋がることを忘れてはなりません。

表紙に掲載した表現が不適切だとして雑誌編集部が炎上

ウクライナに対するロシア侵攻を「猫のケンカ」に例えた雑誌編集部が炎上しました。

問題とされたのは、当編集部が10月に発売した雑誌の表紙文言です。

プーチンの侵略に断じて屈しないウクライナの人びと。

がんばれ、がんばれ、がんばれ、守れ、守れ、守れ。

殺せ、殺せ、殺せ.

殺されろ、殺されろ、殺されろ。

人間のケンカは「守れ」が「殺し合い」になってしまうのか。

ボクたち(猫)のケンカはせいぜい怪我くらいで停戦するけど。

見習ってください、

停戦してください。

実際に掲載された雑誌より引用

この表紙画像はX(旧Twitter)のユーザーによって拡散され、疑問の声を多く呼びました。

また、この表紙文言に対して、在日ウクライナ大使館も公式SNSアカウントで抗議の意を表明しました。

在日ウクライナ大使館はこのような呼びかけ及び例えを、日本国民及び日本政府の立場に矛盾するものとして強く非難します。ロシアは侵略国家であり、ウクライナから直ちに撤退すべきです。主権国家に対する侵略戦争はケンカではありません。侵略者を宥めることは終戦に導きません。

在日ウクライナ大使館、Xアカウントの投稿より引用

X(旧Twitter)での拡散や在日ウクライナ大使館の抗議を受けた編集部は謝罪文を公表します。

先日刊行した弊社雑誌の表紙について、10月27日夜、ウクライナ大使館がSNS上で非難の声明を公表されました。
 それに対し本日、駐日ウクライナ特命全権大使のセルギー・コルスンスキー様宛に、ウクライナの皆様の祖国防衛の戦いを「ケンカ」という不適切な言葉で表現したことをお詫びする書面をウクライナ大使館にお渡ししました。
 また、読者の皆様から、表紙にある「殺せ」「殺されろ」は、「ウクライナの人びと」への言葉なのかというお問合せも多くいただいています。「殺せ」「殺されろ」の主語は決して「ウクライナの人びと」ではなく、戦争の本質を表現したつもりです。どちらの側に理があるにせよ、「殺せ」は「殺されろ」の同義語になってしまうから、勃発した戦争は一日も早く終結させなくてはいけない。そんな思いを託して、このように表現しました。
 つたない表現で誤解を招いてしまったことをお詫びします。理がウクライナ側にあることは、巻頭特集を読んでいただければおわかりいただけると思います。
 申し上げるまでもなく、私たちはロシアの侵攻は許されるものではないと考えています。ウクライナ、そしてパレスチナ・ガザ地区において一日も早い平和が訪れることを願い、これからも非戦の特集に取り組んでまいります。

実際の謝罪文より引用・一部改変

しかし、この謝罪文に対して「誠意が感じられない。」「誤解を招いてしまったという本当の意味を分かっているのか?」と、SNS上ではさらに批判の声が高まり、二次炎上してしまう結果となりました。

センシティブなテーマを取り扱う際の注意点

当雑誌の運営会社は日常品を取り扱う通販会社ではありますが、公式ウェブサイトに戦争をテーマとした特集記事やウクライナへのロシア侵攻のトピックスを掲載しています。このことから、当社は社会情勢や世論に対する感度の高い企業だと言えるでしょう。

2022年3月の炎上分析レポートでもお伝えしたように、戦争や社会情勢的なテーマは取り扱うリスクと取り扱わないリスクの両側面があります。もしも企業として戦争について触れる場合は、その非道さと重さを十分に受け止めた情報発信を行う必要があります。今回の炎上において、当企業は戦争を「猫のケンカ」に例えました。ウクライナへのロシア侵攻について、事の重大さを真摯に受け止めていれば出てこないであろう表現です。

法人炎上の本質は企業と消費者ユーザー感のギャップにあるということは様々な記事の中で触れていますが、このように戦争を軽々しく扱うスタンスが、SNS上の消費者ユーザーとの価値観にギャップを生み出し炎上してしまったと推測されます。

戦争や社会情勢などセンシティブなテーマを取り扱う時には、そのテーマに対する感覚値がSNS上の消費者ユーザーと乖離していないかどうかを見極め、慎重な情報発信をすることが求められます。

謝罪風の謝罪は避けるべし

謝罪風の謝罪とは、「形だけで中身の伴っていない謝罪」または「期待された・負うべき責任を伴わない謝罪」のことを指します。形だけとは、表面上は謝っているものの責任転嫁をおこしている謝罪。期待された・負うべき責任とは、世論として当事者に処分や処罰を与えられることが期待されていながらも、謝罪する当事者が責任を放棄した場合のことを称します。

今回の謝罪文において、どのあたりが謝罪風の謝罪にあたるのかというと「つたない表現で誤解を招いてしまったことをお詫びします。」の部分です。あくまで編集部側のつたない表現のせいだとは釈明してはいますが、「誤解」の本質とは受け取り手の理解不足、または理解の失敗です。「表現が悪かったのは私たちのせいかもしれないけれど、読者の方々の勘違いだよね。」と言っていることとかわりません。

謝罪文を公表する際に気を付けたいのが、このようなリスペクトに欠けた文章を書いてしまうことです。2023年8月の炎上分析レポート内でも解説いたしましたが、謝罪風の謝罪や責任転嫁のような謝罪内容はかえって悪手になります。言葉尻や文脈をしっかりと確認して、各方面へのリスペクトを欠かないよう、注意しましょう。

事例の分析で、炎上リスクのノウハウを蓄積

ジールコミュニケーションズが開催している無料のウェビナーでは、今回ご紹介した炎上事例の他にも、様々な事例をさらに深掘りする形で解説しております。ウェビナー中の炎上事例解説では、データに基づいた炎上トレンドや、具体的に注意すべき投稿内容についてお伝えしております。

ぜひ、弊社ウェビナーにご参加の上、今後のSNSリスク対策にお役立ていただければ幸いです。

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