新卒採用の2021年問題に負けない!採用難を逃れるために企業ができる3つの対策

新卒採用の2021年問題に負けない!採用難を逃れるために企業ができる3つの対策

本記事では懸念されている“2021年問題”の観点から「ネットの情報と採用成功率の関係性」「企業が採用難を逃れるための意外な方法」についてデータをもとに解説します。

「新卒採用の2021年問題」といわれるように人口減少に伴い、企業の採用難は今後さらに深刻化すると言われています。そんな中で重要なのが、見落としがちなネット上の「ネガティブ情報」についてです。レピュ研では「企業への口コミについてあまり深く気にしていない」「少し気になるが採用にそこまで大きな影響があるとは思えない」という声もお聞きします。同じように実際のところ採用活動にどれほどの影響があるのか、ご存知の方は少ないのではないでしょうか。しかし実際は、ネット上の口コミが採用活動に大きく影響しているという調査結果が多数発表されています。

今回は口コミをはじめとするネット上の情報が採用にどのような影響を与えるのかについて、Webリスク専門のレピュ研ならではの観点で解説します。「採用がうまくいっておらず、2021年を前に既に不安を感じている」「2021年問題という逆風に負けない体制を整えておきたい」といった人事・採用担当者は必見です。意外と知られていない、ネガティブ情報の影響力について、一緒に学んでいきましょう!

新卒採用の2021年問題とは

新卒採用の2021年問題とは?

少子化の影響で、大学を卒業し新社会人として働き始める22歳の人口が、2021年を境に減少することが見込まれています。その結果、2021年頃から徐々に採用内定者を確保しにくくなっていくと考えられるという問題を浜銀総合研究所「新卒採用の2021年問題」と定義しました。既に、就職や転職を取り巻く市場は売り手市場で企業側としては採用が難しくなっていると感じているかもしれません。しかし本当に深刻な採用難の時代はこれからやってくると言われているのです。

学生が企業を判断する材料とは

2021年問題という逆風に負けないためには、どうすれば良いのでしょうか。まず学生たちはどのように情報収集を行い、どんなところに重きを置いているのか解説します。

求職者が企業情報について知る方法

エンジャパンの調査によると、求職者が企業に関する情報収集を行う方法として、企業のホームページや採用ページを確認する以外に「口コミ」を確認する人も増加傾向にあります。ホームページや採用ページと違い、企業が公式として発信している情報ではないため情報の管理や制限ができないという危険がありますが、多くの求職者が目にしているのが現状です。また企業のホームページや採用ページを確認している人達も、インターネットで企業名を検索していれば自然に口コミを目にしている可能性があります。

企業に関する情報収集の方法参考:エンジャパン 月刊「人事のミカタ」

企業選びのポイント

では学生たちは上記のような情報収集をした結果、どのようなポイントを知りたい、見たい、と思っているのでしょうか。

就職みらい研究所の就職プロセス調査(2019年卒)によると就職活動において「携わる仕事」よりも「企業そのもの」を重視する大学生が増加している傾向にあることが分かっています。「ワークライフバランス」「働き方改革」などの言葉が注目されるように世相を反映した結果といえるかもしれません。また「企業のどういった点に魅力を感じるか?」という問いについて、「社内の雰囲気が良い」と答えた学生は85.6%で他の項目を比べても多くの票を集めていることがわかります。

就職活動時に重視する項目は何か?参考:就職みらい研究所 就職プロセス調査(2019年卒)

企業のどういった点に魅力を感じるか?参考:株式会社i-plug 就活生意識調査アンケート

「社内の雰囲気」「社風」などの企業そのものを判断する材料として、企業が発信した情報だけでは足りないと感じてしまう学生が多いのかもしれません。

情報収集時に働く心理現象

就活生たちはなぜ、企業が発信した情報ではなく第三者が発信した不確かな「口コミ」を信頼するのでしょうか。口コミに関する人間の行動心理については、多くの学者も論文を発表しています。

情報収集時に働く心理現象

ウィンザー効果

ウィンザー効果とは情報を直接伝えられるより、第三者から間接的に聞いた方が信憑性が高まるという心理現象のことです。つまり就活生は企業が試行錯誤を重ねて発信した情報よりも、元社員や関係者など第三者が発信した口コミなどの情報の方を信じてしまう傾向にあるということが分かります。

バンドワゴン効果

バンドワゴン効果とは簡単に言うと「みんなが言っているから絶対そうだ!」と思ってしまう心理効果です。ある企業に対する良い口コミが多ければ良い会社だと思う、悪い口コミが多ければ悪い企業だと思う、という単純ともいえる心理ですがマーケティング施策や広告文など、ビジネスにおいてもさまざまな場面で働いている効果です。

2021年問題によって想定できること

注目度を上げるための採用方法が広まる

人材獲得のための競争が激化することで、各社は新しい採用方法を模索していくことになるでしょう。その結果生まれるのが、オリジナリティにあふれたユニークな採用方法です。既にさまざまな採用方法を行っている企業があり、SNS上などで話題になることも多くなっています。2021年に向けて次の表のようにユニークな採用方法がもっと増えていけば、人気企業と不人気企業の二極化が進んでしまうかもしれません。

ユニークな採用方法のまとめ

ネット情報の役割はさらに重要になる?

採用難の加速やユニークな採用方法が増えることで、ソーシャルメディアをはじめとするネット上の情報の影響力や必要性はさらに大きくなると考えられます。なぜなら就活ルールが撤廃になったことも含めて採用の方法が多様化するため、就活生は今まで以上にネットからの情報収集が必要になると想定できるためです。

企業側としては第三者が発信した間違った情報ではなく、就活生がどのような情報を求めているのか理解して適切な情報へと導いていくことが採用成功の近道になり得るといえます。

悪い口コミを放置したらどうなるの?

学生たちを適切な情報へと導くために、間違った情報を放置してしまうことはもちろん良くありません。ネガティブな口コミなどの情報に対策を行わず放置した場合の採用への悪影響は大きく2つ挙げられます。

悪い口コミを放置したらどうなるの?

情報の拡散と増加による負の連鎖

MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究者らの「The spread of true and flse news online」という論文では、嘘の情報は正しい情報よりも拡散スピードが速いという研究結果が発表されています。偽のニュースはユーザーにとって、より貴重な情報として扱われる傾向があることから拡散力が強くなるということです。口コミを書かれたとき「事実ではないから気にする必要はない」と放置することの危険性がうかがえる研究結果になっています。

さらに情報の拡散によって悪い情報が増えれば、他のユーザーからも同様の情報が発信されることも少なくありません。このようにして情報は拡散と増加によって負の連鎖が続いてしまう恐れがあります。

採用にかけたコストが無駄になる

懸念されている2021年問題を前に、19年卒の新卒採用にかかった時間、人員、費用は前年と比較して増加しています(就職みらい研究所「就職白書2019」)
今後もさらに採用難が拡大すれば、採用にかかる時間も人員も費用も増加することが想定できます。そのような状況下で悪い口コミを放置し、採用施策の効果が薄れてしまうのは防ぎたいですよね。コストの面から見てもネガティブな情報を放置することはとても危険なのです。

2021年問題に備える3つの対策

2021年問題に備える3つの対策

社名検索時の情報を整理

企業の情報を知りたいと思った学生は、「公式サイト」「口コミなどの非公式サイト」に関わらずほとんどの場合、検索エンジンで「企業名」で検索をしていることは容易に想像できると思います。つまり、企業名の検索結果の状況が学生に正しい情報を届ける上でもっとも重要となるのです。自社名で検索した際の状況はしっかりと把握し、必要があれば対策を行って学生に正しい情報を届ける工夫をする必要があります。

社内環境の改善

どんなに情報の整理を行っても、社内に悪評を書かれてしまうような環境があっては意味がありません。社内環境、ワークライフバランスの見直しを行うこともとても大切なことです。特に次のようなポイントはトラブルの元となりやすく、ネット上に口コミや告発として投稿されやすいので注意しましょう。

・社内のコミュニケーション不足
・産休、育休、有休、各種手当、転勤、給与形態、人事評価制度などの制度が古い
・退職する社員への対応を無碍にしてしまう
・世代、性別、立場の違う社員同士の相互理解ができていない
・不採用となってしまった学生への対応

情報を監視してリアルタイムで知っておく

ネット上の情報は日々変化するため、一時的な観察、その場しのぎの対応では意味がありません。ソーシャルメディア社会の現代では、思ったことを軽い気持ちで投稿するユーザーがとても多いです。そのためネット監視を習慣として、社員や元社員、学生の声を常に知っておくことがリスクヘッジとして重要になります。

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