「メディアトレーニング」は危機管理広報の一環として、企業ブランドやイメージを守るために必要な準備です。しかし実際どんな内容でどのような効果が得られるのか、分からない、想像がしづらいという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、メディアトレーニングを行っていなかったために企業イメージ低下につながってしまった事例をもとに、その必要性について解説していきたいと思います。
メディアトレーニングとは?
メディアトレーニングとは企業の社長や役員、広報担当などに向けたメディア対応スキルを習得するための研修のことです。実際に取材を受けたり、記者会見を開いたりする際、企業の代表として適切な対応が取れるように予行練習や話し方についての講義などを行います。予行練習ではどんな状況を想定した会見・取材なのか、具体的な「シナリオ」や「目的」を決めて実際の会見のシミュレーションをしたあと、講師から講評を受けるスタイルが一般的です。
どんな効果が期待できるのか
特に危機発生時のメディア対応は一歩間違えると世間から多くの批判を集め、取り返しのつかないことになってしまうかもしれません。実際にメディアでの対応方法を誤り、ネットやテレビ、新聞でも批判されたことで世間の信頼を損なってしまった事例は後を絶ちません。
● 消費者離れ
● 取り引きの中止
● 株価下落
● ブランドイメージの失墜
● 売上低迷
● 採用への悪影響
これらの危機的状況に陥らないためにも、メディアトレーニングは有効だと考えられます。
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記者会見がきっかけで炎上してしまった事例
企業としての見解や謝罪を伝え、一般消費者やテレビの視聴者に納得してもらう為に記者会見を開いたにもかかわらず誤った対応で逆効果となってしまった事例を3つご紹介します。
会見中に役員の知識不足が露呈して炎上
ある企業でシステムトラブルが発生して記者会見を開きましたが、炎上してしまった事例をご紹介します。早急に利用者からの信頼回復が必要な状況にもかかわらず、会見では役員の知識不足が露呈することとなり批判が集まりました。記者からどのような質問が飛んでくるか想定できていなかったことが失敗してしまった要因の1つだと考えられます。基本的なメディア対応の対策ができていればこのような状況は防ぐことができたかもしれません。
視聴者の反感を買う言動が多く炎上
ある学校法人で起こった事件の記者会見に対して、世間から多くの非難が集まり大炎上した事例があります。原因となったのは二転三転する言い分や、責任を転嫁するような発言、記者に対する横柄な態度など様々ですが、やはりどれも準備不足や記者会見に対する知識不足が原因と考えられます。
法人としてこれだけは伝えたいという「核」となる部分や、会見に臨むスタンスについては参加するメンバー全員が共通して認識しておく必要があります。もしほんの少しでも話し手の個人的な感情を含んで発言してしまえば、その発言が企業としての意見と捉えられてしまうかもしれません。
長時間かけて記者会見を行うも非難が殺到
ある企業が世間で騒がれている不祥事に対して記者会見を行ったところ、さらに多くの非難が集まった事例もあります。冒頭では司会者から「終了時間は設けず、質問がなくなるまで続ける」というアナウンスがあり、社長自らが5時間半にわたって会見を行いました。しかし「質問にはっきりと答えていない」「言い回しが回りくどい」といった点に多くの批判が集まり大炎上してしまっています。会見までにたくさん時間があったにもかかわらず、正しい準備をしていなかったことが、騒動自体の収束を長引かせる要因の1つとなってしまった事例です。
メディアトレーニングを行う際に重要なこと
受講する人は誰なのか?
一般的にメディアトレーニングを受けるべきとされているのは以下のような人です。
● 社長や役員など企業を代表して話す機会がある人
● 広報など日ごろからメディア対応を行う人
● 総務や法務など危機管理に関わったりサポートをする部署の人
これらはあくまで一般的に推奨されているものであるため、自社で発生し得る状況を想定し、上記にプラスしてトレーニングを受けておく必要がある部署や役職を考えましょう。
想定シナリオを作成する
発生し得る危機的状況を想定して、細かいシナリオを作成することはメディアトレーニングの基本としてとても重要なステップです。このステップはそれぞれの部署の専門知識が必要になるため、社内の協力体制が不可欠となります。世間にはどのようなメッセージを伝えたいか、企業としてどのような姿勢で臨むのか、なども含めてとにかく細かく作成することが成功のカギとなります。
メディアの特性を知っておく
メディア対応は言葉がすべてではありません。例えばテレビで記者会見が放送される場合、視聴者は目線や服装、表情にも注目します。さらに会見の内容すべてを放送することは難しいため制作側が面白いと思うところをかいつまんで編集されてしまい、企業側の意図しないメッセージとして届いてしまうことも少なくありません。このようなリスクを防ぐためにも、メディアの特性を細かく理解した上で記者会見を行う必要があるのです。
危機発生時に落ち着いて対応をするために
メディア対応のスキルはトレーニングを行うことで身につけることが可能です。危機管理広報という言葉も注目される今、企業として必要不可欠な対策の1つとなっています。また身につけたスキルは危機発生時の会見だけではなく、新商品の発表や取材時、プレゼンなどでも応用することが可能です。
ジールコミュニケーションズのメディアトレーニングでは、炎上を鎮火するための適切なメディア対応を学ぶことができるプログラムをご用意しております。また実際に記者会見を行った場合、ネット上の声をリアルタイムで監視することも可能です。「危機発生時の社内体制を整えたい」「万が一に備えて準備をしておきたい」という方はぜひお気軽にお問い合わせください。