企業炎上分析レポート【2023.03】

本レポートはレピュ研を運営する株式会社ジールコミュニケーションズが、独自の調査からデジタルリスクに値すると判断した事例を分析したレポートとなっております。2023年毎月にわたって、特に目立っていたまたは特徴的な炎上事例とその発生要因等を解説し、どのような傾向・トレンドがみられるのかを追っていきます。企業または学校におけるデジタルリスクの管理やトレンドの情報収集に活用していただくことを目的として毎月発表しております。

2023年3月までの炎上発生件数推移

ジールコミュニケーションズの独自調査・判定より、2023年3月の炎上件数は33件となりました。炎上タイプの内訳は下グラフの通りです。

2023年3月の炎上件数は、2022年を含めた直近半年間で最多の33件となりました。5か月前の2022年10月と比べると10件もの増加が見られます。内訳をみると、これまで過半数を占めていた「個人」由来の炎上件数が減少し、政治関連の炎上件数が増加傾向にあります。これは3月から4月にかけて統一地方選挙といった政治的イベントが多く開催された影響があります。SNS上でもユーザーは政治に関して強い関心を抱き、Twitterでは連日のように政治に関するトレンドがあがりました。

SNSでの発言が「差別的だ」「問題がある」と炎上

企業の公式Twitterアカウントが、不適切なリプライをしたとして炎上しました。

問題となったのは、あるホームセンターの公式Twitterアカウントです。当アカウントはTwitter上でおこなった商品のプレゼントキャンペーンに関する引用リツイートを積極的におこなっており、その日も当選ユーザーのTwitter投稿に対して「ご当選おめでとうございます」という言葉を添えて引用リツイートをおこなっていました。ところが、その引用リツイートをみた別のユーザーが、自分が当選したと勘違いして公式アカウント宛に「ありがとうございます。早く送ってください!」とリプライすると態度が一変。「文章読めてますか?当たったのは別の方ですよ。」とまるでユーザーを煽るかのような投稿をおこないました。当公式アカウントはこのようなやり取りを複数回おこなったため、批判が殺到。炎上状態となりました。

当企業は、問題の投稿の翌日にTwitterと公式HPに謝罪文を掲載。当アカウントは炎上時から現在(2023年4月現在)まで休止状態となっています。

SNS全般に関する情報収集の必要性

そもそも当炎上の発端は、企業の公式アカウントがプレゼントキャンペーン当選者の投稿に対して「当選おめでとうございます。」と引用リツイートしたことにあります。現在のTwitter仕様では引用リツイートと一緒に文章を投稿してしまうと、通知をONにしているスマートフォンのフォロワーにも投稿の通知がされてしまいます。一般的に通知は文章の冒頭のみ表示される場合が多いため「当選おめでとうございます。」と通知のきたユーザーは自身が当選したと勘違いしてしまったものと考えられます。

このようにSNSの利用方法や仕様は流動的に変わりつつあります。特に、イーロン・マスク氏に買収されたTwitterではAPIの終了や度重なる仕様変更など絶賛過渡期を迎えています。昨日は使えていたはずの機能が今日になったら使えなくなってしまったという事例も大いにあり得ます。このような事態を防ぐためにも、SNSにおける情報収集はポジティブ・ネガティブにかかわらずコンスタントに行うことをお勧めします。

公式アカウントは承認欲求を満たすためのツールではない

本騒動の最大の原因は、SNS担当者が公式SNSアカウントを私物化して自らの承認欲求を満たすためのツールとしていたことにあります。本アカウントは過去に以下のような投稿もおこなっていました。

ちょっとお願いなんですけどね。
何も理由は聞かずにこのツイートに「いいね」しまくってもらっていいですか?

今日、中の人は誕生日です❤

当該企業公式アカウントより引用

「企業公式アカウント」の定義は厳密には決まってはいませんが、多くのユーザーがTwitterの公式アカウントに求める情報は専ら「サービスや商品の新情報やセール情報」です。

アライドアーキテクツ株式会社調べのデータによると、約50%近くのユーザーが「サービスや商品の新情報やセール情報」をTwitter公式アカウントに求めていると回答しています。それに対して、「企業の人となりが分かる日々の何気ない投稿」は8%ほどで、Twitter公式アカウントの運用には何かしらのメリットに繋がる情報の提供が必要不可欠だということが歴然としています。

アライドアーキテクツ株式会社調べ『Twitter企業アカウント利用に関する意識調査』より引用

公式SNSアカウントの運用は基本的に無料ではありますが、運用する人件費などを加味すると全く費用が掛からないというわけではありません。そのため、企業としてSNSを運用するからには、期間ごとの目標を設定し、フォロワー数などでKPIを設定したうえでアカウントを解説することが一般的です。そして、公式アカウントとして価値のある情報をユーザーに提供し、それと引き換えにアカウントのフォローないしは投稿の拡散をする均衡のとれた関係を構築することが公式アカウントの健全なあり方と言えるでしょう。上記のように公式アカウントとして求められているものがある程度明確にも関わらず、SNS担当者の個人的な情報を発信したり、意味もなく「いいね」を稼ぐ行為を公式アカウントでおこなうことは、一般ユーザーにとって健全なアカウントとは言えなくなります。

このような、いわゆる「中の人」の個人的な情報を発信してしまう根源には、人間の持つ承認欲求が強く紐づいています。SNS運用としてのノルマや、情報における価値提供のセオリーを理解していればそもそも個人的な情報発信は控えるはずです。しかし、SNS運用におけるノルマやルールが定まっていないと、SNS担当者によって運用が属人化・私物化されてしまい、結果として公式SNSの道理に悖る運用方法がまかり通ってしまうのです。

高校生がSNSに投稿した動画の内容が大炎上

ある高校生がInstagramのストーリーに投稿した動画に批判が殺到しています。

問題となったのは東日本大震災が発生した2023年3月11日に、高校生によって投稿された動画です。

上記のようなショート動画がInstagramのストーリーに掲載されました。本人は仲間内だけの悪ふざけのつもりだったのかもしれませんが、当該投稿がSNS上の炎上を取り扱っているインフルエンサーによって取り上げられたため、爆発的に拡散することとなりました。

ショート動画を投稿した高校生は通っている高校などの個人情報が特定されてしまい、学校にはクレームが殺到。炎上の翌日には、学校側が謝罪文を公表する事態となりました。

記念日・事件/事故/災害発生日などは炎上リスクが高まる傾向にある

2023年2月に引き続き「迷惑動画」による炎上が目立った3月ですが、当該炎上で最も特徴的なのは「災害の発生日」に際して炎上が発生したという点です。

そもそも、災害の発生日にかこつけて犠牲者や遺族を不快にさせるような発言は、人としてするべきではありません。しかし、それとは別に記念日や事件/事故/災害の発生日はSNSユーザーの注目度も高まっているため、目につきやすく炎上が発生しやすいというSNSの傾向も把握しておく必要があります。この傾向はSNSを個人利用しているユーザーだけでなく、公式のSNSアカウントを運用している企業も特に留意する必要があります。企業の公式SNSアカウントを運用する際に、課題点としてよくあげられるのは「ネタ探し」です。公式アカウントは企業としてコンスタントに情報発信をおこない、ユーザーの関心を引き付ける必要があります。そのため、発信する情報のネタが切れやすく、記念日や日付に関した投稿が多くなる傾向があります。2022年10月の炎上レポートでもお伝えいたしましたが、記念日に際した投稿は、記念日に対する解像度が高くないと、かえって発信した情報に対する無理解や知識不足が露呈してしまい、当事者にとって不快な表現になりかねません。不適切な投稿とならないためには、取り扱う記念日に対する理解を深め、その記念日がユーザーにとってどのように受け入れられているかということを認識したうえで情報を発信する必要があります。

3月の炎上【傾向と分析】

2023年3月は近年まれにみる炎上発生件数となりました。レポートの冒頭でもお伝えいたしましたが、地方統一選の影響から、各活動家による政治的パフォーマンスや発言に対して注目が集まっています。昨年2022年の傾向と照らし合わせても、ウクライナの戦争や7月に発生した政治的な事件を含め、政治的な事件や炎上は、発生時の注目度が爆発的に上昇している印象を受けます。若者の政治離れとはよく言われますが、若者が大多数を占めるSNSというプラットフォームで政治に注目が集まることによって、新しい意見や勢力が生まれつつあることが見て取れます。

このように新しい勢力や、これまでになかった考え方が生まれつつある今、流れに飲まれずに冷静な状況判断を下しネット上の善悪を見極めるために必要なことととは一体何なのでしょうか?

最もおすすめするのは「コンスタントな情報収集」です。以前からSNSは流動的なプラットフォームであることをお伝えしてまいりましたが、現在はその流れが最も激しくなっているため、少し目を離した隙にSNSの仕様もユーザーの反応も全く変わってしまったというケースは往々にしてあります。SNS、特にTwitterが体制変更がなされたばかりのため大変不安定な状況にあり、今後もしばらくは仕様の変更やユーザーの出入りが激しくなることが予想されます。そのため、コンスタントに情報収集をおこない、時流や状況・対象のユーザーに合わせた柔軟な対応が求められます。何かが「変わりつつある」という情報だけでなく、「変わった結果、他社のSNS運用はどのように変化したか」という部分まで情報の分析を進められると更に良いでしょう。

事例の分析で、炎上リスクのノウハウを蓄積

ジールコミュニケーションズが開催している無料のウェビナーでは、今回ご紹介した炎上事例の他にも、様々な事例をさらに深掘りする形で解説しております。ウェビナー中の炎上事例解説では、データに基づいた炎上トレンドや、具体的に注意すべき投稿内容についてお伝えしております。

ぜひ、弊社ウェビナーにご参加の上、今後のSNSリスク対策にお役立ていただければ幸いです。

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