【2021年12月】企業炎上動向調査レポート

レピュ研を運営する株式会社ジールコミュニケーションズが、独自の調査により「ネット炎上」として判別したデータをもとに作成したレポートです。先月特に目立っていた炎上事例とその発生要因を解説し、月間を通してどのような傾向、トレンドが見られるのか分析しています。企業におけるWeb・SNS、及びレピュテーショナルリスクの管理、評価、対策等に活用していただくことを目的として毎月発表している調査レポートです。

性別で役割分担をしているかのようなCMで炎上

公式Twitterに投稿されたあるインテリアメーカーの商品PRCMが、まるで性別で役割を決めつけているかのようだと問題視され炎上しました。当該CMでは、ある家族が映画を観ながら団らんをしている様子が描かれています。一見するとほほえましい映像ですが、

  • 母親だけがドリンクや食べ物のサーブをおこなっている
  • 母親だけがソファに座っていない

という描写に対して

「どうして母親が召使いのように跪いてサーブしているの?」
「ジェンダー・バイアスがひどすぎるCM」
「女性を召使いのように扱うCMをすぐやめてほしい!」

といった非難の声が上がり、炎上状態となりました。大規模な炎上とはなりませんでしたが、年明けも当該企業に対するネガティブなツイートがつぶやかれるなど、炎上が燻っている状態にあります。

ジェンダー・ロールの認知と意識の向上

11月の炎上レポート「地域活性化プロジェクトが女性蔑視だとして炎上」でも取り上げたように、SNS上のユーザーにおけるジェンダーへの意識が向上していることが、傾向として挙げられます。特に今回は、以前取り上げたアンコンシャス・バイアスの中でも「ジェンダー・ロール(性役割)」にフォーカスが絞られる形で炎上しました。

ジェンダー・ロール(性役割)とは、社会生活において、性別によって役割を押し付けられる、または期待されることを指します。例えば、今回の事例でみられるように「食事の用意は母親の役割」や、男性ならば「男なら出世するべきだろう」というような社会的な風潮がジェンダー・ロールにあたります。

SDGsやオリンピック・パラリンピックの影響から、ジェンダーや人権に対するユーザーの関心が高まっていることは以前から指摘されてきましたが、今回の炎上では拡散経路という形でその傾向が顕著に表れています。これまでの炎上は、拡散のきっかけとしてインフルエンサーや影響力を持った第3者による告発がオーソドックスなパターンとしてありました。しかし、当該炎上ではフォロワーの少ない、いわゆる影響力を持たないユーザーの呟きや意見に対して”いいね”が集中するなど、これまでの炎上パターンとは違った傾向が見受けられます。この傾向から、SNS上のユーザーはジェンダーに対する意識が非常に高まっており、ユーザー自らがジェンダーに関する情報収集を積極的におこなっていることが背景として考えられます。また、当該企業の公式SNSアカウントが、あまり活発なSNS運用をおこなっていないにも関わらず多くのユーザーの目に止まったことや、炎上が燻っていることからも、ジェンダー関連の炎上は今後も多発・長期化する傾向にあるとも推察できます。

ブランドイメージとの相違が招く炎上

今回の炎上で特にブランドイメージを損なった理由として、当該企業が北欧のライフスタイルをセールスポイントとしていたことがあげられます。当該企業は、世界のジェンダー・ギャップ指数第5位である北欧地域の国を発祥に持ちます。企業の公式HPにも「イクオリティ(平等性)」「ダイバーシティ(多様性)」「インクルージョン(多様性の受け入れ)」を大切にした職場の環境づくりに努めることを表明するなど、ことさらジェンダーや多様性に対しての理解のある企業として、他企業と一線を画す存在感がありました。しかし、今回のCMにおいてジェンダーに対する企業担当者の意識の低さが露呈したことや、炎上後に謝罪や釈明といったアクションを起こさなかったことから、結果としてこれまで培ってきた「北欧のように多様性に理解のある誠実な企業」というイメージを損なうこととなってしまいました。

店員の接客態度が問題視され炎上

ある有名化粧品ブランドの接客態度がSNSで批判され、炎上する事態となりました。これまで当該化粧品ブランドへの悪評やネガティブな口コミは、断続的に投稿されてはいましたが”いいね”の数が5,000未満といったように、大規模な炎上とまでは至りませんでした。しかし、Twitter上のインフルエンサーが、当該ブランドへの悪評をまとめたスクリーンショットを投稿して問題提起したことにより、爆発的に拡散し炎上に発展。その後は当該ブランドの接客態度に対する意見の論争に発展し、炎上はさらに盛り上がりを見せることとなりました。

「自分語り」によって引き起こされる巻き込まれ炎上

従来の巻き込まれ炎上とは、炎上した企業が業界という単位で注目された結果、過去の投稿内容が掘り起こされ立て続けに炎上する、という一連の流れを指しました。しかし、今回の事例で見られる巻き込まれ炎上では、炎上投稿を受けたユーザーが便乗する形で各々の自分語りをおこなったことにより、炎上企業と比較される形で競合他社への好感度向上または低下といった影響を出すこととなりました。

炎上加速のきっかけとなった投稿は、あくまで問題点のある1社に絞られていましたが、それに便乗して以下のようなユーザー個人の体験談が数多く投稿されています。

  • 確かに、このブランドに比べたら〇〇ブランドの店員さんの対応は良かったよね
  • このブランドと同じような対応を△△のブランド店員にもされたことあります
  • 私の体験談では□□のブランドの接客が優秀なのでぜひ行ってみてほしい!
  • この業界全体的にお客さんの足元をみて値踏みする店員さん多いよね

いずれも、ユーザー自身の意見や体験談を主張した内容であり、炎上したブランドの問題点とは関係がありません。しかし、インフルエンサーの問題提起投稿に触発される形で多くのユーザーが自身の体験談、いわゆる自分語りをおこなった結果、図らずも競合他社への口コミ投稿率が増加し、企業のレピュテーションに影響することとなりました。

飲食店スタッフの不衛生動画が拡散され炎上

とある飲食店のバックヤードで撮影された不衛生動画に批判が殺到し、炎上しました。当該飲食店に勤める男性が店内にて素手で飲食物を持ちながらマスクを外すなどの不衛生な動画が投稿されると、第三者によってTiktok内で拡散され、その後Twitterでも拡散され炎上することとなりました。いわゆる「バイトテロ」です。衛生観念に対して人一倍厳しくなった昨今において、不衛生な動画は炎上の加速度も大変高い傾向にあります。実際、当該炎上で拡散の発端となった第3者のアカウントは、フォロワーも多くなく影響力も少ないように思われますが、新型ウィルスの影響もあり、動画はあっという間に拡散されることとなってしまいました。

この炎上に対し、飲食店の経営企業は炎上当日に公式HPで謝罪文を公表し、動画の削除対応と店内消毒を行うなど迅速な対応が話題となりました。炎上は早々に収束することとなりましたが、当該企業の経営店舗でバイトテロが発生するのは2度目となります。そのため、企業や店舗に対するイメージダウンは必至の事態となってしまいました。

迅速な炎上収束のための社内体制構築

今回のバイトテロで最も特徴的なことは、炎上・拡散した当日に企業が謝罪文を公表し、炎上の収束と特定が沈静化したという点です。炎上の発端となった第3者のTiktokアカウントはフォロワーも少なく、炎上初期段階では水面下で拡散されていた事案となります。そのため、炎上当日での謝罪文強表・店内消毒・動画削除対応を行うために、当該企業は事前のSNSモニタリングや炎上時の対応フローの作成といった社内体制構築を事前におこなっていたと推測することができます。社内体制構築とは、WebやSNSを安全に運用・利用するために、社内で事前に整えておくべき施策を指します。

社内体制構築には3つのフェーズが存在します。

  1. リスクの抑制
  2. リスクの把握
  3. 有事の際の対応フロー整備

の3つとなります。

この3つのステップには、前後の施策が連動・反映されるために、施策を循環させる必要があるという大きな特徴があります。リスクの把握で得た情報や想定されるトラブルをガイドラインと教育に反映させなければ、目まぐるしく移り変わる昨今のSNS時代に太刀打ちできる施策とはなり得ません。

今回、当該企業は②リスクの把握におけるSNSモニタリングと、③有事の際の対応フロー整備で危機対応マニュアルを正確に策定していたため、炎上を長期化させることなく、早期の収束をおこなうことが出来たと推測されます。しかし、モニタリングで得られた情報や、2021年に同業他社で多発したバイトテロを分析し、自社のガイドラインやSNS教育に落とし込み切れなかったことが、今回のバイトテロを招いた背景にあるとも考えられます。特にアルバイトは、ユーザーと関わる機会が最も多いうえに社員の出入りも激しい職務形態となります。そのため、なおさら繰り返しのSNS教育やソーシャルメディアガイドラインへの落とし込みが重要となるので、社内でSNSリスクを抑制する体制を整えようとする際には、複数回の教育が必要な職務形態と言えるでしょう。

12月の炎上【傾向と分析】

炎上件数の増加した11月と比較すると、12月は件数も落ち着き、SNS炎上の話題も少なく感じられた月でした。しかし、ジェンダー関連の炎上に関しては回数が多く、また11月のジェンダーに関する続報が報じられるなど、引き続き注目度が高い傾向にあります。

12月の特筆すべき炎上傾向として、影響力のある第3者を介さない炎上が発生したという点があげられます。これは、昨年2021年の東京オリンピック・パラリンピックや、SDGs促進の影響力を受けて、SNSユーザー全体の人権やサステナビリティ・ダイバーシティに関する意識が向上していることが背景にあると推測されます。そのため、ユーザーはインフルエンサーなど強力な第3者による告発や問題提起的な投稿を受けずとも、自らで人権に関する話題を検索し、情報収集をおこなうといった傾向が見受けられるようになりました。特に、ジェンダーに対する意識の向上が顕著なため、今後もジェンダーやダイバーシティに関するリスクは増えていくでしょう。

企業のSNS運用においてジェンダーや人権に関する炎上を防ぐためには、コンスタントな炎上事例の分析をすることをおすすめします。元来、SNS運用とは生身の人間(SNS担当者)が投稿をおこなうため、担当者の経験値や人間性によって投稿内容の質に差が出てしまうという性質がありました。そのため、ガイドラインなど炎上しやすい投稿を制限するルールを策定される企業様は多くありますが、トレンドの移り変わりが激しいSNSにおいては常にトレンドや炎上傾向を反映したリアルタイムで活用できるルールを用いなければ意味がありません。炎上事例の分析をおこない過去の炎上を学び、ガイドラインに落とし込むことは、炎上しやすい投稿を制限し、一定の質を保ったSNS運用を担保出来るという効果が期待できます。

リアルなトレンド把握で質の高い社内体制構築を

企業のレピュテーションを維持・向上させるためにも、SNS炎上は必ず避けたい事案です。 そのため、トレンドや炎上傾向を把握し、質の高いSNS運用を実現させることは、SNS担当者にとって重要なタスクであると言えるでしょう。

レピュ研を運営している株式会社ジールコミュニケーションズでは、直近の炎上事例や傾向を解説する無料オンラインセミナーを定期的に開催しております。

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企業の炎上リスクに備える為の9つの項目

・炎上発生に備える基本体制の構築
・ネット情報の監視と分析方法
・炎上発生時の準備

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