炎上事例をもとに、原因と対策を解説します。
今回は、2018年4月某日に、バスケットボールチームLがエイプリルフールネタとして差別的投稿をし、炎上したケースをご紹介します。SNSに自虐ネタを投稿し、ネットユーザーを楽しませようとした結果、差別的内容ではないかと批判され、炎上してしまいました。同じような炎上にあわないためにも、原因と対策について知っていきましょう。
性的指向を笑いや冗談の対象にしていると批判殺到!
バスケットボールチームLは2018年4月1日に、エイプリルフールにちなんでチームの自虐ネタを公式SNSへ投稿しました。
この度、当バスケットチーム所属のT選手とS選手が一部週刊誌に報道されました件につきまして、両選手から「相手は仲の良い友人の一人」と聞いておりますことをご報告いたします
T選手とS選手はどちらも男性で、熱愛発覚と書かれた週刊誌風の画像が載っていました。この投稿は、実際の週刊誌に載ったわけではなく、エイプリルフールネタだったのです。
ネタ投稿を見ていたネットユーザーの中には面白いと共感する人がいた一方で「性的指向をネタにするなんて」「言っていいことと悪いことがある」などと、差別的な表現をネタにしている点に怒りをあらわにする人もいて、炎上となってしまいました。
いくつか投稿した中で炎上したのは一つだけ
バスケットボールチームLは他にもいろいろな週刊誌風のネタを投稿していましたが、炎上の対象となってしまったのは1つだけでした。唯一炎上の対象となってしまった理由に、デリケートな問題でもある性的指向をネタにするような内容だったことがあげられます。
エイプリルフールにちなんだネタ投稿は他にもありましたが、性的指向などデリケートな問題に触れるような内容はありませんでした。デリケートな問題のネタ投稿をみたネットユーザーは
「センス良すぎ!」
「この週刊誌どこで買えますか!笑」
「このネタ好きです」
と、楽しんでみている人がいる一方で
「無自覚な無差別意識や偏見だろ」
「ゲイをネタにして面白いと思っている感覚がわかんない」
「どうしてこれがエイプリルフールのネタになるのだろう」
などと、LGBTに対する差別的投稿との批判が殺到し、炎上してしまいました。
LGBTに対する差別表現とは?
LGBTとは、性的少数者をあらわしています。LGBTは、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(生まれたときの性別にとらわれない人)の頭文字をとってできた言葉です。差別的な表現ではなく、限定的かつ肯定的な表現とされています。
今回の事例では、ゲイやレズビアンなどの、直接的な表現は使われていませんでした。しかし、画像自体がゲイを容易に想像させるようなものだったとネット上で話題となりました。そのため結果的に「差別表現なのでは?」などと批判が殺到し、炎上してしまいました。
チームが炎上した2つの原因
原因1:ファンに向けた投稿だったため
バスケットボールチームLのファンのみが、楽しめる内容だったことが1つ目の原因です。
ファンの人たちは、バスケットボールチームLのことをよく知っているので、性的指向をネタにした内容でも面白いと共感してもらえるかもしれません。しかし、バスケットボールチームLの投稿を見ているのは、ファン以外にも何気なく見る人や、ネタ投稿がシェアされて見る人もいるため危険です。バスケットボールチームLがユーザーに伝えたかったことと、ユーザーが感じる伝わり方に大きく違いが起きてしまう場合があるためです。
原因2:バスケットボールチームLからのアクションがなかったため
差別的と批判された投稿については触れずに、SNSへの投稿を続けていたことが2つ目の原因です。そのため、SNS上ではしばらく賛否両論の意見が飛び交う事態となり、ネットユーザーの間でヒートアップしてしまいました。ネットユーザーの中にはLGBTの方もいて、
「自分はゲイだが、すごく好印象だ」
「どこに差別的要素があるの」
「自分のようなゲイは、エイプリルフールのネタにされるのか」
など、当事者からも賛否両論の意見があがりました。
同じような内容で炎上にならなかった事例も?
今回炎上してしまった投稿と似た内容で、炎上にならなかった事例が過去にありました。
当時人気バンドだったLは新曲のプロモーションとしてメンバー同士の熱愛発覚といった記事を週刊誌に載せました。人気バンドLのメンバーもまた、男性同士でしたが、今回のような炎上は起きませんでした。同じような内容なのに、なぜ炎上につながらなかったのでしょうか。
炎上が起きなかった2つの理由
1つ目の理由は、ネットではなく本物の週刊誌に記事を載せたためです。今回の炎上してしまった投稿は、SNSのみに投稿されたものでした。SNSに投稿すれば、大勢の人に見てもらえるというメリットがありますが、同時に、見る人が多ければ多いほど賛否両論の意見が飛び交い炎上になる可能性が高いというデメリットもあります。
2つ目の理由は、新曲のプロモーションという明確な目的があったことです。今回炎上してしまった投稿は、ユーザーがバスケットボールチームLの投稿目的をしっかり理解できないまま事態が進んだため、結果的に差別ではないかと批判が殺到してしまいました。
法人ができる3つの炎上対策
対策1:目的を明確に伝える
ネット上での情報発信は、目的や意図がユーザーにしっかり伝わっているか確認し続ける必要があります。
発信した情報がユーザー同士の伝言ゲームによってゆがんでしまったり、一部異なる内容になってしまったりするためです。本来伝えたかった目的や意図から大幅にそれてしまうと、修正するのは難しくなってしまうため、早め早めの情報確認・修正がとても重要になります。
対策2:ネット監視を行う
SNSや口コミ・掲示板サイトの書き込みを監視し、自社に対する情報を確認し続ける必要があります。
監視する目的は対策1でお伝えした、企業の目的・意図から外れた情報がないか確認したり、問題性や危険性のある書き込みがないか調べたりするためです。ネット監視をおこなうことで、事態の把握が早くなり、炎上に対する予防策を考える時間も生まれます。
対策3:ときには謝罪も手段と考える
企業の情報がユーザーに伝わったとき、ユーザーが嫌な思いや気分を害してしまったときは、謝罪することも1つの手です。
レピュ研が行った年間1,000件以上の分析データから、炎上原因を調べると、伝える側の意図や目的が、伝わる側の考えとマッチングしなかったときに生まれやすいことが分かっています。そんなときは、ユーザーに申し訳ないことをした旨を直接感情的に伝えられる謝罪といった手段が重要になります。ただし、単純に謝罪をすると二次炎上やさらなる誤解を生んでしまう可能性もあるため、時と場合やユーザーに合わせた謝罪がとても大切です。
炎上対策・予防はプロへ相談しよう
レピュ研では、2017年度において1,000件以上の炎上分析の結果から、炎上予防方法・万が一炎上時の対策法をサービスとしてご提供しています。企業として情報発信するときは、いつも応援してくれているファンやSNSを見てくれているユーザーが嫌な思いをしないよう、ネット上でのトラブルに、いつでも対応できる環境を作りましょう。