ネット炎上事例として判別したものを毎月リサーチ後分析し、レポートとして配信していきます。
弊社が独自に設定した条件にて情報を算出し、カテゴリー別の件数推移と、特徴的な炎上について解説を行います。
8月炎上リサーチレポート
2018年7月のネット炎上件数は85件でした。2018年7月で一番多かった炎上は一般個人関係であり、29件もの炎上が起きていました。
今月の一般個人関係の炎上では、動物飼育方法について賛否両論になり炎上するケースが多かったです。夏場、ペットを暑い場所へ放置したり適切な食べ物を与えなかったりしたことが炎上につながる原因となっています。
法人関係は11件と、過去5ヶ月中もっとも少ない件数となりました。
今月のピックアップ炎上は、数少ない法人炎上の中からご紹介します。大企業2社が発表した人工知能を使ったシステムが、非生産的だとして話題となり炎上してしまいました。
人工知能の使い方が非生産的だとして炎上!
2018年7月某日、ニュースメディアで報じられた内容が、ユーザーから批判を受けて炎上してしまいました。
炎上したのは、大手メーカー2社が共同開発した人工知能を使ったシステムです。システムは「人間のまぶたの動きを検知して、眠気を分析。眠気を察知したらAI(人工知能)が部屋の設定温度を変えて、眠気を飛ばしてくれる」といったものでした。PCのカメラから顔認証システムを使い、仕事中の表情を分析できる高度な技術が使われていました。
しかしニュースメディアの内容を見たユーザーからは、
「AIに仕事をさせて人間が楽するんじゃなくて、AIに監視されて人間がもっと働く未来とか意味が分からない」
「われわれはAIのもとで働く奴隷だったの?」
「そのシステムにお金かけるくらいなら30分の昼寝休憩作ればいいのに…」
などと、人工知能の使い方やシステムに批判的な意見が殺到して炎上してしまったのです。
大手メーカー2社は炎上すると思っていなかった
大手メーカー2社もニュースメディアと同じく「居眠りしていたらAIが冷気で起こすシステムを開発中」とツイッター上で発表していました。大手メーカーがツイッターに書き込んだ内容には、あまり批判の声は多くなかったのです。
拡散した大元は、情報発信力の高い人に、ニュースメディアで報じられた情報を批判的に叩かれたためでした。共感する人が多く拡散されて炎上になってしまいました。
ニュースメディアの取り上げ方に問題があったとも
今回の炎上は少し特殊で、ニュースメディアの言葉の言い回しがユーザーに誤解を与え、炎上になったのではないかとも考えられます。なお、今回の炎上が特殊な理由は3点あります。
「実は2016年10月に今回のシステムを発表している」
「2018年7月某日、ニュースメディアに大々的に取り上げられて初めて炎上した」
「過去に発表したときと、内容に大きな違いはない」
システムを開発しているメーカーの公式サイトと、システムを報じるニュースメディア両社を見ると、システムに対する説明は次の通りでした。
システムを開発しているメーカー
「AIとIoT技術で空調を始めとした設備を高度に制御することで、知的生産性の高い空気・空間を実現する」ニュースメディアの報じた内容
「眠気を自動で感知して、働き手に刺激を与える」
「まぶたを人工知能に監視・分析して、働き方を変える」
メーカーが伝えたかった内容と、ニュースメディアが報じた内容にはニュアンスの違いがあることがわかります。
ニュースメディアでは話題性が重要で、ポジティブに拡散されればよいですが、今回のようにニュアンスの違いで批判的な拡散をされてしまうとイメージが下がってしまいます。メディアを介した情報発信には、細心の注意が必要ですね。