ソーシャルメディアポリシー作成前に!重要な2つの目的と参考雛形5選

ソーシャルメディアポリシー作成前に!重要な2つの目的と参考雛形5選

ソーシャルメディアポリシーの重要な2つの目的と、うまく機能させるための5つのポイントについて紹介します。ソーシャルメディアポリシーを作成するとき、「他社がどのようなソーシャルメディアポリシーを作成しているのか」「どんな雛形を使ってソーシャルメディアポリシーを作成しようか」を悩む担当者は多いです。
他社のポリシーを真似して作成したり、目的が明確でないまま作られたりしたソーシャルメディアポリシーは、社内外ともにうまく浸透せずに本来果たすべき機能を得られない場合があります。実際にソーシャルメディアポリシーを導入していたにもかかわらずSNSで問題が発生してしまった企業も多数あるのです
本記事ではうまく機能しないソーシャルメディアポリシーをなくすため、「知っておきたい重要な2つの目的」「作成するときに参考にしたい他社事例5選」「本来の機能を果たすための5つの活用方法」についてくわしくご紹介します。一緒にソーシャルメディアポリシーの作り方から活用方法まで学んでいきましょう!

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ソーシャルメディアポリシーにおける重要な2つの目的

ソーシャルメディアポリシーにおける重要な2つの目的

ソーシャルメディアポリシーは社内に落とし込み、さらに社外にも公開することが効果的でそれぞれに異なる目的があります。
社内と社外の両方に向けてソーシャルメディアポリシーを提示することには、それぞれどんな目的があるのかを解説します。

社内に向けたソーシャルメディアポリシー作成の目的

社内向けソーシャルメディアポリシーの目的はソーシャルメディアへの投稿の質を担保し、トラブルを未然に防ぐことです。
「企業が公式として運用しているソーシャルメディア」と「従業員がプライベートで利用しているソーシャルメディア」のどちらにおいても、細かい規定や注意点を決め、投稿に一定のクオリティ・基準値を設けることでトラブルは防ぐことができます。
国籍、人種、性別、年齢の異なるすべての人が、不適切と感じないソーシャルメディア利用のためのポリシーを定める必要があります。

社外に向けたソーシャルメディアポリシー作成の目的

社外向けソーシャルメディアポリシーの目的は、企業として最低限の管理責任の遂行を証明することです。
作成したソーシャルメディアポリシーを公式サイトなどで外部向けに公開することで、万が一ソーシャルメディア上でトラブルが発生したとき「企業として最低限のソーシャルメディア利用についてのリスクヘッジ、教育をしていた」という証明をすることができます。また、ソーシャルメディアのリスクが問題視されている中ソーシャルメディアポリシーを公表することは、優良企業としてのイメージ向上にもつながります。

目的に応じて表現方法を工夫する

目的に応じて表現方法を工夫する

ソーシャルメディアポリシーは「社内向け」か「社外向け」かという目的に応じて、表現方法共有方法を工夫する必要があります。

社内向けソーシャルメディアポリシーの工夫方法

社内向けに共有するソーシャルメディアポリシーは何よりもまず、わかりやすく具体的であることが重要です。

ソーシャルメディアポリシーは知識のある担当者から新入社員、アルバイトなどの若手まで、共通認識として社内すべての人に落とし込まれていないと意味がありません。しかし、企業が公開しているソーシャルメディアポリシーの多くは表現が抽象的で具体的なイメージをしづらいものが多いです。その抽象的なソーシャルメディアポリシーを真似て作成したものを社内に共有したところで、機能するとは到底考えられません。
具体的に、何の投稿をしたらどんな処罰の対象となるのかを明確に記載することで、社内に共有したときより効果を発揮するものとなります。

社外向けソーシャルメディアポリシーの工夫方法

社外に向けて公開するソーシャルメディアポリシーの場合、多少抽象的な表現でも幅広いリスクに対応できるものにしなければなりません。

言い回しが限定的で、ソーシャルメディア上のトラブルとして想定される内容を網羅出来ていなかったら、たとえ企業側に非がなかった場合でも責任を問われてしまう可能性があります。人に伝わりやすい文章ではなく、責任の所在や対応方法を広く提示する意味合いが強いため抜け目なく想定されるリスクや常識的な内容を記載する必要があります。この部分は雛形の利用や他社を参考にすることも効果的です。

社内向けソーシャルメディアポリシー活用のための重要点2つ

社内向けソーシャルメディアポリシー活用における2つの重要点

社内に共有するソーシャルメディアポリシーとして重要な点は2つあります。
1つ目は内容に具体性を持たせてわかりやすくすること、2つ目はそのポリシーの重要性を社内の関係者全員に理解させ浸透、遵守させることです。それぞれのポイントについて有効な方法についてご紹介します。

重要点1:抽象的な言葉を使わず具体的な決まりを記載する

雛形をそのまま使いソーシャルメディアポリシーを作成した場合、抽象的でわかりづらい危険性があります。実際そのようなソーシャルメディアポリシーを作成し、うまく活用できていなかったためにトラブルが発生してしまった事例も多いです。
例えば「自覚と責任を持った行動をしてください」「仕事に関わる投稿には配慮してください」といった文章ではイメージしづらくなってしまいます。
自覚と責任を持った行動とは何なのか、その行動に反した場合どんな罰則が科されるのかなどを補足することで、当事者意識が生まれて社内に浸透します。

×仕事に関わる投稿をしないでください。

以下のような仕事に関わる投稿をした場合、解雇または50万円の損害賠償もしくはその両方が科されます。
・社員や取引先など関係者の個人情報
・契約内容や経営情報など、関係者以外は知りえない情報
・社内の人事に関わる情報

×自覚と責任を持ったソーシャルメディアの利用を心がけてください。

社会人としての自覚に欠けるソーシャルメディアの利用をした場合、
雇用形態(正社員、契約社員、派遣社員、アルバイト)に関わらず責任を取ってもらいます。
以下のような投稿は全て解雇又は罰則の対象となります。
・会社の不利益となるような投稿(機密情報の公開、悪評の書き込み)
・社員の名誉を傷つけるような投稿(特定の人物に向けた誹謗中傷など)
・各種法令、モラルに反する投稿(未成年飲酒や喫煙、公共の場での不適切な行動など)

さらに作成の際には機密情報とは何なのか不適切な行動とは何なのか企業それぞれで想定されるリスクを鑑みてさらに詳しく記載することが好ましいです。
その場合、罰則対象となる範囲が限定的となってしまい対象とするべき内容を記載しきれない恐れがあるので注意が必要です。

重要点2:事例・データなどの資料を一緒に共有する

分かりやすいソーシャルメディアポリシーを作成しても、社内の関係者すべてにしっかりと落とし込まれなければ意味がありません。その為には当事者意識を持たせることが大切です。
ソーシャルメディアポリシーの共有時に研修を開催、また入社時の研修などで以下のような事例やデータを見せることで危機の意識を持たせ、より効果的に活用することができます。

・バイトテロを起こした従業員の末路
・ソーシャルメディア上で個人情報が特定されて拡散された事例
・一人の社員が発信した情報が原因で、経営危機や倒産に追い込まれた事例

資料をソーシャルメディアポリシーの内容に含む必要はありませんが、特に若手、アルバイトなどは自分と近い立場にある人が実際に問題を起こしていると知ることで行動の抑制力となります。
研修の開催が難しい場合、社内メールや社内報などで配布して共有することも効果的です。

社外向けソーシャルメディアポリシー活用のための重要点3つ

社外向けソーシャルメディアポリシー活用における3つの重要点

社外向けのソーシャルメディアポリシーに含むべき3つのポイントについて解説します。
ソーシャルメディアに関する社内教育がきちんと行われていること、規定を設けていることをソーシャルメディアポリシー内で証明しなければなりません法的責任賠償責任に関わる内容となるため、顧問弁護士がいれば相談することも大切です。

重要点1:ソーシャルメディアポリシー作成の意図と方針を記載する

ソーシャルメディアポリシー作成の意図や方針などを明確に記述することが大切です。
なぜこのポリシーを導入したのか、どのようにソーシャルメディア利用していく方針なのかを明確に記述することで外部から「ソーシャルメディアの特性を理解し、正しく活用・教育していくことができる企業」という信頼を得ることができます

方針や目的をわかりやすく記載している3社のソーシャルメディアポリシーを紹介します。

SNSに代表されるソーシャルメディアは日常生活において欠かすことのできない情報伝達手段となりつつあります。
他方、社員個人の発信する情報が会社の業績に大きな影響を及ぼしたり、当社の利害関係者や第三者に悪影響を与えるなどのリスクも防止しなければなりません。
今般、従業員各位にソーシャルメディアの特性や自らのモラル・社会規範を十分に理解いただき、適切かつ有用的に活用できるよう基本的な考え方や留意点を明示する「ソーシャルメディアにおける情報発信に関するガイドライン」を策定することとしました。

引用:株式会社D2C ソーシャルメディアポリシー

株式会社D2Cのソーシャルメディアポリシーでは時代的背景からリスクを想定し、策定に至るまでどのような経緯がありこのポリシーでは何を明示しているのか冒頭に記載してあります。そのため企業としてソーシャルメディアの特性を理解した上で利用しているという信頼を得ることができます。

Glicoグループ及びGlicoグループの役職員(以下、役職員)は、ソーシャルメディアを利用するにあたって遵守すべき姿勢や行動、基本原則を「Glicoグループ ソーシャルメディアポリシー」として、以下の通り定めます。
本ポリシーは、Glicoグループの有する様々なブランド価値やそのポジティブなイメージについて、ソーシャルメディアを活用して積極的に広めていただくためのものであり、Glicoグループの定める公式アカウント、役職員が個人で所有するアカウント、このほか役職員がソーシャルメディア内で行う全ての情報発信において適用されます。Glicoグループおよび役職員はそれらを遵守致します。

引用:江崎グリコ株式会社 ソーシャルメディアポリシー

江崎グリコ株式会社のソーシャルメディアポリシーではソーシャルメディアを利用する目的を明確に記述しているため、ソーシャルメディア利用のリスクを最低限に抑えようとする姿勢が分かります。

ソーシャルメディアとは、FacebookやTwitter等のインターネットを利用してユーザーが情報を発信したり、あるいは相互に情報をやりとりするWebサービスの一種で、広く社会に普及し、今では無くてはならないコミュニケーションツールとなっていることは言うまでもありません。しかし、誤った使い方をすると、社会的に大きな問題に発展する恐れがあるため、西部病院に勤務する教職員に、適切に利用いただくためのルールとして、本ポリシーを制定いたします。

引用:聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院 ソーシャルメディアポリシー

横浜市西部病院のソーシャルメディアポリシーでは、ソーシャルメディアで想定されるリスクについてわかりやすく記述した後、何のためのポリシーなのか提示しています。その内容から教職員に対して適切な利用を喚起していることが分かるため信頼に繋がります。

重要点2:責任の所在を記載する

免責事項を記載し、責任の所在を明記することで従業員個人がトラブルを起こしたとき、また企業が運用するソーシャルメディアで何らかの問題が発生したときの企業が負うべき責任を明確にすることができます。責任の所在が明確になることで有事の際の対応も統一化され、より迅速に正しい対応がしやすい環境を整えることができます。
免責事項を記載している例として、2社のソーシャルメディアポリシーを紹介します。

免責事項について
(1) 当社は、当社のソーシャルメディアにおける情報の正確性や完全性を保証する義務を負いません。ソーシャルメディアにおける情報は、発信時点のものであり、その後変更されることがあります。
(2) 当社は、お客さまが当社のソーシャルメディアを利用したこと、若しくは利用することができなかったことによって生じるいかなる損害についても一切責任を負いません。
(3) 当社は、当社のソーシャルメディアに関連して、お客さままたはお客さまと第三者間でトラブルや紛争が発生した場合であっても、一切責任を負いません。
(4) 当社は、お客さまが投稿したコンテンツについて一切責任を負いません。
(5) 当社の公式発表や見解の発信は、当社ウェブサイトおよび、ニュースリリース等で行っています。当社および当社従業員がソーシャルメディアより発信する情報は、必ずしも当社の公式発表や見解を表すものではありません。また、お客さまにより投稿されたコンテンツは当社とその従業員や関係者の意見や理想を反映しているものではありません。

引用:株式会社LIXIL ソーシャルメディアポリシー

ソーシャルメディア公式アカウントにおける免責事項
当社のソーシャルメディア公式アカウントにおいては、次に定める事項について一切の責任を負わないものとします。
・ユーザーがソーシャルメディア公式アカウントを利用、もしくは利用することができなかったことによって生じるいかなる損害
・ユーザーにより投稿(コメント・写真・動画等)されたコンテンツに基づきトラブル等が発生した場合
・ソーシャルメディア公式アカウントに関連して、ユーザー間又はユーザーと第三者間でトラブル等が発生した場合
なお、ソーシャルメディア公式アカウントは各ソーシャルメディアによって運用されております。各ソーシャルメディアの運用状況に関しては一切お答えすることができません。
また、各ソーシャルメディアのウェブサイト、第三者から提供されているソフトウェアやアプリの機能、ご利用方法、技術的なご質問などに関しても一切お答えすることができません。

引用:株式会社コックス ソーシャルメディアポリシー

重要点3:各種法令やモラルの遵守に関する記載をする

個人情報や著作権、肖像権などの常識的な範囲の各種法令、モラルについても抜け目なく記載する必要があります。この部分については特に、顧問弁護士がいる場合は相談して作成することが好ましいです。
一般的に含むべきと考えられる項目の一部を紹介します。

・公序良俗に反するもの
・個人情報、機密情報などプライバシーや人権を侵害するもの
・著作権、肖像権、商標権、その他知的財産権の侵害を侵害するもの
・各ソーシャルメディアが禁止と定めるもの
・犯罪行為や違法行為、その行為に結びつくもの
・誹謗中傷、差別的なもの
・わいせつ的なもの

ソーシャルメディアポリシーを0から作るときにはこちらの記事も参考にしてください。「ソーシャルメディアポリシー作りに大切な10の項目」「ソーシャルメディアポリシー作りで参考にしたい11の企業事例」について紹介しています。

ソーシャルメディアポリシーを意味あるものにするために

ソーシャルメディアポリシーを意味あるものにするために

目的を明確に

ソーシャルメディアポリシーは実際に機能して初めて意味を持ちます。導入したけど社内に浸透していない、守られていない、有事の際も役に立たなければ何の意味もありません。
担当者がソーシャルメディアポリシーの導入を任されたのであれば、作成、共有をして社内全員が意識できるように落とし込むまでが「ソーシャルメディアポリシーを導入すること」です。
導入した労力が無駄にならないように、意味のあるソーシャルメディアポリシーの活用をしましょう。

 

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