炎上事例をもとに原因と理由を解説します。
今回は、企業Sが公式サイト上でユーザーを混乱させる表記で、情報を掲載していたとして炎上したケースを紹介します。この事例は、公式サイト上での表記が不適切であるとして炎上した後に、いくつかの問題が表面化し、さらに大きな炎上となったところが特徴的です。
同じような炎上にあわないためにも、原因と対策について知っていきましょう!
公式サイトの表記方法が不適切だと指摘され炎上
2018年10月に、あるユーザーが企業Sの表示方法に関して、問題があるのではないかとSNS上に投稿したことで発覚しました。サイト上では、「○日までに無料体験を受けると入塾料が無料になる」というキャンペーンの案内をしていました。しかし、日にちの設定にはユーザーがサイトにアクセスした日にちによって、キャンペーン終了日が変化するというプログラムがされていたのです。例えば、12月1日にサイトへアクセスした場合はキャンペーンの終了日が12月8日までと表記されますが、12月5日にアクセスするとキャンペーンの終了日は12月12日になるといった仕様です。この事実を知ったユーザーから
「こういうプログラムはダメなんじゃない?」
「一生期間限定が続くということか…マジかよ最低だな」
など、批判的な意見が多くあがりました。また、景品表示法に違反していると指摘されたため、炎上につながりました。
さらに二次炎上へ発展
ユーザーがキャンペーンの表記方法の指摘をSNS上に投稿し話題になったあと、企業Sはコメントや謝罪を公開する前にサイト上の表記だけを変更していたことが明らかになり、二次炎上につながりました。これに対してユーザーは、
「プログラムの仕様について、みんなへの謝罪が先なんじゃないの?」
「何事もなかったかのようにプログラムを変えているなんて、問題を隠蔽しているようにしか思えない」
など、企業Sの対応について不信感を抱いていました。また、この表記問題で炎上したことがきっかけで、さまざまな問題が表面化し、さらなる炎上につながりました。
炎上によって発覚した6つの問題
キャンペーン表記の虚偽で炎上したあと、表面化されていなかった他の問題もユーザーから指摘され、さらに大きな炎上に発展しました。
問題1:企業Sとの契約を解約できないユーザーが一部いた
企業Sとの契約を解除しようと申し出ても、応じてもらえないユーザーがいたため、炎上がおこりました。
企業Sはプログラミングスクールの運営をしている企業であり、そのスクールに入学する契約をユーザーとの間で交わしていました。その契約をユーザーが解約してほしいと主張したところ、「解約できる契約内容ではない」「返金には応じることができない」と企業Sが主張したことにユーザーから批判が多く集まりました。また、一度返金や解約の要望に対応できないと回答したのにも関わらず、再度契約書を確認すると解約が可能だったことも分かり、ユーザーから不審に思われてしまったのです。
問題2:企業Sが掲載した謝罪文に批判が殺到した
企業Sが公開した謝罪文から、反省しているのか読み取れないとしてユーザーから批判が集まったため炎上につながりました。
公式サイト上で長期間にわたり混乱をまねくキャンペーンの表記をしていたのにもかかわらず、掲載前のチェック不足を疑問に思うユーザーが多くいました。また、DMCA申請に関する謝罪文も掲載していますが、
「内部での対応伝達に不備があった」
「本来意図するものとは異なった内容も含まれていた」
という、社内で認識の違いがあったことを主張するような文章がユーザーに言い訳をしていると思われ、炎上につながりました。
問題3:企業Sにとって都合の悪い記事を検索結果から削除しようとした
炎上が起きた経緯や炎上が起きたときの企業Sの対応などがまとめられた記事を、企業Sが検索結果から削除しようとしたため炎上につながりました。
今回、削除依頼に使われたのはDMCA申請といい、本来は著作権の侵害として削除依頼を申請するものです。この申請を本来の使い方ではなく、都合の悪い記事を削除するために使ったと指摘され、ユーザーから批判が集まりました。また、以前に他社が同じような事例で問題になったこともあり、ユーザーからは「前例があるのに学ばないのか」といった否定的な意見が多くあがりました。
問題4:炎上中に無関係な記事を自社サイトに掲載した
虚偽の表記をして炎上している最中に、社員総会で楽しく過ごしている記事を投稿したことが炎上につながりました。これを読んだユーザーは
「反省する気ある?いま掲載する必要あるの?」
「わざわざこのタイミングじゃなくても良いんじゃないの」
など、どうしても投稿するべき記事なのか疑問に思ったためです。また、炎上に真剣に対応してくれるのか不安になったユーザーもいたため、批判が集まりました。
問題5:企業として大切にしている考えとサービスの提供内容が一致していなかった
企業Sの社員は、以前同業他社の経営方法を批判していました。しかし、今回の炎上では他者批判していたことと同じようなことを企業Sがしていたため、炎上につながりました。
以前、同業他社の低品質な記事を多く投稿していたことを批判し、素晴らしい記事を投稿していくことの大切さを主張していたのです。企業Sは今回の炎上で、主張していた意見と異なる記事を公開したり、批判したことと同じようなことを行っていたりするところに、ユーザーは不信感を抱いていました。
問題6:ニーズから離れた記事を掲載していた
ユーザーの求めている内容ではない記事を多数掲載していたため、炎上につながりました。
企業Sがネット上に公開していた記事が、内容が薄かったり初心者が見たら勘違いするような知識の内容ばかりだったのです。企業Sはプログラミング技術について学べる記事を公開していました。しかし、初心者が読んだら勘違いしてしまったり、知識を間違って覚えてしまったりする記事があるとユーザーから指摘されたのです。「プログラミング技術を教える会社が、ユーザーを混乱させるような記事を書いてよいのか」などと批判が殺到しました。
企業として取り組むべき5つの対策方法
方法1:謝罪文の掲載は迅速に行う
謝罪文の掲載は、サイト上の表記を変更する対応より先に行うか、同時に行った方が良いでしょう。表記変更の対応だけが先に行われていると、ユーザーは問題を隠蔽しようとしているのではないかと不信感を抱いてしまうからです。今回は、問題が発覚してから1日でキャンペーン記事の修正が行われ、謝罪文の掲載は問題発覚から3~4日後でした。記事の修正をする前に謝罪文を掲載し、今後の対応について述べた方が良かったでしょう。
方法2:投稿する記事の内容確認を徹底する
炎上中は、企業のSNSやブログ投稿の内容を通常以上に確認すると良いでしょう。炎上している問題とは違う内容を投稿すると、ユーザーは企業が真面目に問題解決に取り組んでくれるのか、疑問に思ってしまうからです。
この事例では、炎上中に社員総会が行われた様子をブログに投稿しています。記事の内容を見たユーザーからは、掲載する時期が適切ではないと考える意見が多くあがりました。投稿しようとしている記事が状況にあった内容なのか確認し、掲載日時を遅らせたり投稿をやめたりする判断が必要でしょう。
方法3:目的にあった方法で問題解決を行う
問題解決をする場合は、目的に応じた方法で対応しましょう。対応方法を悪用することで、企業の信頼を無くしてしまうからです。今回は、著作権を守るために使われる方法を、自社を批判している記事を削除するために使用しているとユーザーから疑われました。本来の目的から逸れたことに使用しないことが大切です。
方法4:ユーザーが必要としているものを発信する
ユーザーが、自社に何を求めているのかを把握することが大切です。ユーザーのニーズに沿っていないサービスを提供すると、満足してもらえず顧客離れにつながるからです。今回は、企業Sが発信している情報に対し
- 内容が薄く本質を理解できないのにも関わらず、検索したときに上位表示している記事が多い
- 重要なところが会員向けになっており、ユーザー登録しないと見られない仕様に
- 質より量を重視して情報発信をおこなっており、ほとんどの記事が参考にならない
という点にユーザーが不満を抱えていたため、さらなる炎上の原因につながりました。アンケートをとったり、良く読まれる情報は何なのか分析したりして、ユーザーに満足してもらえる情報発信をすることが重要でしょう。
方法5:企業の方針からブレたサービス提供はしない
企業としての方針から離れたサービスは提供しないようにしましょう。発信した方針と提供しているサービスが違うものだと、ユーザーは信頼してサービスを利用できなくなってしまうからです。
実は今回の炎上が起こる前に、他社の掲載記事が無断引用やデマばかりの内容で問題になった事例に対して、企業Sの社員が意見を述べています。質より量を重視した低品質な記事ではなく、素晴らしい記事を作成すべきであるというような内容を発信していました。
しかし、企業Sの公開していた記事を読んだユーザーは内容の薄い記事であり、それが多く公開されていることで検索の邪魔になっていると感じていました。企業Sの社員が発信していた内容と、実際に公開されている記事の内容が違うものであったため、ユーザーは企業Sに対し不信感を抱いてしまったのです。一度ユーザーに発信した情報は残るものです。ユーザーに発信した企業方針とサービス内容が一致しているか、意識すると良いでしょう。
ユーザーと真摯に向き合おう
ユーザーに誤解されるような対応をしないことが大切です。炎上後の対応で、企業の信頼回復につながるか左右されるからです。炎上してしまったときに、どのような対応をするべきか、どうすればユーザーに企業の考えを正しく伝えられるかを、日頃から知っておくことが大切です。またユーザーの声に耳をかたむけ、何に不満を抱いているのか、何が必要とされているのか把握することが炎上の予防につながります。アンケートや、SNS投稿をチェックしてユーザーの声を集め分析し、サービスに反映させるのも一つの手でしょう。