炎上事例をもとに、原因と対策について紹介します。今回は不祥事を起こした企業が、謝罪文を隠ぺいしようとした疑いで炎上したケースを解説します。ネットでは、該当企業の誹謗中傷が書き込まれ、イメージの低下につながっています。
同じような炎上にあわないためにも、原因と対策について知っていきましょう!
目次
謝罪文を検索結果に表示させないようにして炎上
某IT企業の役員が不祥事をおこしてしまい、謝罪文を自社サイトに載せました。内容に不備はなく、問題のない謝罪文でした。しかし、謝罪文を掲載していたWebページは、GoogleやYahoo!の検索結果画面に表示されないよう、工夫されていたのです。この工夫はWeb知識がある人でも、なかなか気づくことができないような部分でした。工夫に気づいた人は、Twitter上で「都合が悪い情報開示ページを検索非表示にする企業はだめ」などと投稿します。知識のある人によって指摘された点は、Twitter上で拡散し「全然反省していない!」「謝罪文を検索にひっかからないようにするなんて隠ぺいだ!」などと、某IT企業に批難が殺到し炎上状態になってしまいました。
検索非表示(noindex)とは?
検索非表示とは、Yahoo!やGoogleなどで検索したときに「検索結果に表示されないようにWebサイトを工夫する」ことです。noindexとは、Webサイトを作るときの構文(タグ)であり、特定のWebページを検索エンジンにインデックス(表示)させないようにすることができます。今回のように、noindexをHTMLに記述したWebページは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索をしても、検索結果に表示されることはありません。
今回の例で言うと「謝罪文が載っているWebページ」はネットに公開されているため、誰でも見ることができます。ただし、Yahoo!やGoogleで検索しても表示されないのです。一般ユーザーが「某IT企業 謝罪文」などと検索をしても、謝罪文が書かれたWebページが検索結果に出ない工夫をしていたことになります。
本来のnoindexの使い方とは
本来noindexとは、作成途中のWebページやテストページなど、完成していないサイトが検索結果に表示されないように使うものです。※使い方一例
例えば、文字入力途中のサイトや、画像・ボタンの配置が決まっていないサイトなどがnoindexの対象となります。「noindexを使う」ということは「ユーザーへ意図的に情報を公開しない行為」とも言えるのです。今回のような企業の公式Webサイトやページは、本番環境であるため「noindexを使うことは通常ない」と言えるでしょう。
なぜここまで炎上してしまったのか
反省している態度や様子が見られないため
謝罪文といった「デリケートな内容」のWebページを、意図的に隠そうとした疑いから、多くの人に「反省の色がまったくない」と思われてしまったことが原因です。さらに、Webの知識がある人にしか分からない手法を使ったのも問題でした。「ばれなければいい」といった無責任さを疑われた点も、批判の対象となっていました。
ITの知識がある会社の行動だったため
noindexの使い方や意味を理解している企業が、本来の使い方ではない使い方をしたことです。noindexを本番環境のWebページに使うことはほぼありません。「都合の悪い情報をネット上に表示しないよう、noindexを意図的に使ったことは明らか」などと、批判する意見が殺到しました。
謝罪文を検索結果に表示させないメリットとは
不祥事を知らない人に見つけにくくするメリット
noindexを使うと、ネガティブ情報の広がりを抑えることができます。
例えば、事件のことを知らないユーザーは、某IT企業名をGoogleやYahoo!などで検索したとき、謝罪文のWebページが検索結果に表示されません。検索非表示によって「事件をおこして謝罪した」ことを知られにくくする効果があるのです。
検索キャッシュに残らない
noindexを使うと、検索エンジンのキャッシュに残りません。
検索エンジンのキャッシュとは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンが、Webページの情報を記録する機能のことです。キャッシュ機能は、検索結果を記録し素早く表示するためなどに役立っていますが、問題点として「すでに削除したWebページのキャッシュが検索結果に残ってしまう」ことがあります。例えば、過去に公開した記事を削除しても、検索結果には見出しや記事内容が残り続けてしまうことがあるのです。
noindexのWebページは、キャッシュ機能が働かないため、該当のWebページを削除したあとにも、検索結果に残り続けてしまう問題を防ぐことができるのです。今回の「noindex対策」は、謝罪文のようなネガティブな情報が、検索結果にずっと残り続けないようにするための施策だったと考えられます。
隠ぺい工作の疑いが目立ってしまった
noindex対策が隠ぺい工作と疑われたことで、SNSで話題となり、まとめサイトやニュースサイトで取り上げられてしまいました。不祥事よりも隠ぺい工作したことが目立ってしまった結果です。また、noindexをよく理解しているIT関連のブロガーたちが今回の事件の詳細をまとめ、批判する記事を書いています。noindex対策が、謝罪文や不祥事の内容などを、さらに情報拡散させることとなってしまったのです。
別の事例では、違った視点でネットの脆弱性を使い、都合の悪いコンテンツを削除したことで炎上した記事をまとめています。あわせてご覧ください。
企業が炎上の被害にあわないために
不祥事がおきたときは誠心誠意謝罪しよう
企業が起こした不祥事や事件は、情報の拡散をコントロールすることはできません。信用をいち早く回復するためにも、事実を隠そうとしたり、情報を改変したりするのはやめましょう。疑惑をかけられ、人々の怒りや反感を買い、2次被害となる危険があります。
また、2次被害が起きたあとの「知りませんでした」「悪いこととは思っていませんでした」などといった弁解も、受け入れてもらえないことが多いです。不祥事がおきたときは、誠心誠意の謝罪と対応をしていくのがイメージ回復の近道となるでしょう。
なにが炎上の原因となるのか知っておく
noindexによる検索非表示の施策は、世間一般で禁止されているわけではありません。Web業界に携わる人たちであれば「かしこい」と思った方もいるでしょう。
ただ、多くの人が倫理に反していると感じたため、炎上したのではないでしょうか。こういった倫理的問題の炎上は、いつどこで炎上してしまうのか判断が難しいのが現状です。最新の炎上事例から、何が原因で炎上が起こるか事例を多く知ることが、炎上を防ぐための一歩と言えるでしょう。
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