本記事では「差別表現だと誤解されて批判が殺到した事例」「企業が注意するべきポイント」についてご紹介します。
表現の自由があるとはいえ、差別的な発言や表現は現在もなお問題視されています。ときに情報発信者の意図しない形で受け取る側に届き、「差別的である」と指摘されてしまうことがあるのが事実です。
そのため「どんな表現が差別と誤解されるのかわからない」「どんな媒体で差別と指摘されやすいのかわからない」と不安な方もいるのではないでしょうか。
今回は「注意するべき差別表現」と「企業として取るべき行動」について事例を絡めて解説していきます。 無意識で使っている表現が原因でトラブルを発生させないように是非今後の対策としてご活用ください。
差別的表現に注意するべき3つの媒体
特にどんな媒体で配慮が必要なのかご紹介します。気を付けていても無意識のうちに差別的な表現を使ってしまったり、誤解を招いて差別だと指摘されてしまうことは多いです。まずはどんな媒体で配慮が必要かを知り、リスクを防止しましょう。
メディア(TV・ソーシャルメディア)
メディアは多くの人が目にすることから、不適切な表現をしてしまった際に差別だと批判を受けるリスクが非常に高いです。TVや新聞などにあまり露出していない場合でも、個人や企業が運営するSNSの投稿が原因で誤解されてしまうケースもあるため注意が必要です。
広告・PR
企業や商品を宣伝する広告やPRではインパクトのある表現やキャッチコピーが必要とされているため、場合によっては差別だと指摘されてしまうことがあります。性別や人種などの表現の仕方が原因で批判されることが多く、それぞれの役割を決めるような内容やどちらかに偏った内容を表現してしまうことで差別と指摘されることが多いです。
求人サイト・広告
雇用される権利が不平等であり、性別や国籍などで募集を制限している場合などに差別だと指摘されてしまうことがあります。
法律で定められている条件を除き、女性のみ・外国人不可など性別や国籍を制限した求人を募集することで差別だと指摘されやすいです。また、性別や国籍を問わないことが大前提のため、「性別・国籍不問」と表記してあることで差別であると批判される場合もあります。
企業が注意するべき表現
次にどのような表現が差別だと指摘されることが多いのかをご紹介します。差別的な表現を使わないように意識していても、潜在的な偏見によって無意識のうちに差別に加担していることもあります。リスク防止のために、どのような表現が差別と指摘されやすいのか確認しておきましょう。
ジェンダー差別
役割
性別で役割を分けるような表現は差別だと指摘されやすいです。社会的な役割で言えば、女は家で家事・育児をして男を支え、男は外に出て働き女を養う、などのように性別で役割を分担するかのような表現は問題だとされています。また男女が平等に社会に出た場合でも、女は給料が安く昇格できない・コピーやお茶くみなどが仕事、男は出世してお金を稼がなければいけない・育児休暇を取得できないなど、性別で役割を押し付けることはよくないことです。
見た目や年齢
見た目や年齢についても表現を誤ることで差別だと批判されてしまうことがあります。女性は常に綺麗にしなければならない、男性は身長が高いほうがいいなどの見た目に関しての固定観念を押し付けられることを不快だと感じる人が多い為注意が必要です。また年齢が理由の蔑視・差別は誰にでも該当すると言われており、例えば年齢が若いことを理由にできない・未熟と判断することや、年齢を重ねていることを理由に古い・新しいことに対応できないなどと決めつけることなどが問題だとされています。
心理・思考
「性」に関する固定観念の表現が差別だと指摘されてしまうことも多いです。男性はみんなモテたいと思っている・女性は収入が高い男性を好むなどの固定観念は批判されるリスクが高くなります。また、異性愛者が当たり前だという表現も差別と指摘されることがあるため偏った固定観念で表現しないようにしましょう。
女性だけではなく男性も差別・蔑視を受けてしまうことがありますが、世界的に男性と比べ女性が軽視されやすいことが未だ問題視されています。
人種差別
皮膚の色や世系などに言及されることで不快に感じる人は少なくありません。日本では直接的になじみのない「人種差別」ですが、何世紀もの間世界中で問題視され続けています。
2020年5月に起こった人種差別による事件をきっかけに世界中で抗議デモが多発しており、差別をなくすための動きがとられています。世の中で話題になっている動きによって過去の表現を掘り返されて指摘されることがあるので気を付けましょう。
差別表現だと批判された4つの事例
次に実際に差別だと指摘されてしまった事例を4つご紹介します。
普段から何気なく使ってしまっている表現もトラブルに発展する可能性があるということを忘れないでおきましょう。
性別での役割分担
大手食品メーカーのCMで、性別による役割分担を押し付けるかのような表現をしてしまった事例があります。公開されたのは次のような内容です。
女「私は(ごはんを)作る人」男「僕は(ごはんを)食べる人」
性別で役割が決まってることを肯定的に表現している、家事を女性だけに任せすぎているなどの批判が殺到し、数ヶ月後にCMは中止されました。男女はこうあるべきという固定的な考えを表現してしまったことで批判されてしまった典型的な事例です。
見た目に関する固定観念
大手化粧品メーカーがCM内で、働く女性の不適切な位置づけについて肯定的に表現した内容を公開し批判を受けました。
差別と指摘を受けたCMの内容は、女性の価値は若さと可愛さだけととれる表し方をしたものや、仕事を頑張る女性に対し男性上司が「(頑張っているけど)顔に出ているうちはプロじゃない」と発言したものでした。
これらのCMから、女性は一定の年齢を超えたら価値がなくなる・いかなる時も顔に出さず綺麗にしていなくてはならないなどの批判が殺到しました。
メーカーは差別する意図はなかったと表明していましたが、情報を発信する側と受け取る側で認識のズレが生じてしまうことで差別と指摘され批判されてしまうことがあるため情報発信を行う際は配慮が必要です。
求人差別
大学院特任准教授がTwitterに「中国人は採用しません」などの差別発言を投稿し批判が殺到した事例があります。 この発言に対し「明らかな人種差別である」「国籍で何が変わるのか」などの批判の声が殺到しTwitter上で批判が集まりました。 その結果准教授を懲戒解雇され、大学側は謝罪することになりました。
その教授は大学職員とは別に会社の経営をしていましたが、その経営にも悪影響を及ぼす結果となっています。
このように誤った表現がきっかけで職を失うこともあると理解しておきましょう。
ブランド広告の人種差別
大手ブランドのオンラインショップに次のようにかかれたパーカーを着用させたキッズモデルを掲載したことで問題となった事例があります。
黒人の少年「ジャングルでもっともクールなサル」
白人の少年「ジャングルのサバイバー」
一部店舗では抗議活動が押し寄せる事件が発生し、公式HPで謝罪する騒ぎとなりました。一方でサルを意味する英単語の「monkey」は子どもに対して使った場合「 可愛くて生意気な子 」というニュアンスになり、適切な表現ではないかという声もあります。しかし、悲しい思いをしてしまった人が一人でもいたことは事実なので企業としては配慮するべきだったかもしれません。
企業が注意するべきポイント
意図せぬトラブルに巻き込まれないために企業として注意するべきポイントを2つご紹介します。
差別だと誤解を生みやすい表現の把握
伝えたい情報が思わぬ形で誤解を招き、情報の発信側と受け取り側との間でズレが生じてしまうことがあります。そのためまずはどのような表現が差別だと指摘されるのかを知っておくことで、トラブルを未然に防ぐ効果があります。一般的に差別だと言われている言葉や、差別的な表現であると問題になった事例などを把握し、使用を控えることでリスクを軽減することができるでしょう。情報発信する際には、言葉の言い回し1つで差別だと感じたり、不快だと感じたりする人がいることを忘れないことが大切です。
ソーシャルメディアポリシー作成
注意するべき媒体の1つとしてSNSなどのソーシャルメディアを挙げましたが、その利用にあたっては、「ソーシャルメディアポリシー」を作成することが大切です。
ソーシャルメディアポリシーとは、企業がソーシャルメディアを使用するにあたり予め定めておくべきルールを指し、ルールを作成することで社内の性別・年齢・立場の違う誰がソーシャルメディアで情報発信をしても内容を標準化することができます。またルールを定めておくことで、実際に問題が起きてしまった際に迅速に対応することができます。しかし、ポリシーを作成しても社内に浸透しなければ意味がありません。そのため従業員全員が意識できる効果的なポリシーを作成しましょう。
レピュ研では効果的なポリシー作成のための資料を無料で配布しております。是非お気軽にダウンロードしてみてください。
不快に思われない情報発信のために
差別だと指摘されないために企業として注意するべきことを事例に沿ってご紹介しましたが、ご参考になりましたでしょうか?SNSやPRなど、企業としてプラスになるはずの情報発信がかえってマイナスにならないよう、是非今後の情報発信にお役立ていただけたら幸いです。
レピュ研を運用しているジールコミュニケーションズでは情報発信のリスクなどについて無料相談を承っております。是非お気軽にお問い合わせください。