今回は、「国内のスイーツ店が海外のスイーツ店からの告発を受けて批判が殺到した」ケースを紹介します。
海外のスイーツ店Tが「自社のロゴが日本でコピーされたため使用できなくなってしまった」と発表しました。その後、2019年1月にキャラクターやコンセプトなどがよく似た別のスイーツ店Hが国内に出店したことでスイーツ店Hを運営する株式会社Gに批判が殺到してしまいました。
今回はスイーツ店の商標登録をめぐる炎上から、オープンしたスイーツ店のイメージキャラクターを務めた俳優にまで飛び火してしまったという珍しいケースをご紹介します。炎上の原因や店側への影響など、シーンにあった対応策をくわしくみていきましょう。
炎上から飛び火、そして二次炎上
炎上1:日本で商標登録をおこなった企業が酷似したスイーツ店Hを出店
海外のスイーツ店Tとよく似たロゴを商標登録した株式会社Gは、スイーツ店Tとよく似たロゴ・キャラクター・コンセプトをもちいたスイーツ店Hをオープンさせました。
スイーツ店Hのオープンを知ったユーザーからは、
「元祖の店を法的に封じ込めたうえでの出店は悪質すぎる」
「コンセプトも名前もキャラクターもすべてパクリ。恥ずかしくないのか」
「同じ日本人として恥ずかしい」
など酷似している部分に対し批判が殺到していました。
炎上2:企業にとどまらず、イメージキャラクターを務めた俳優にまで飛び火
スイーツ店Hのオープン初日、イメージキャラクターを務めた俳優Mはインスタグラムに
スイーツ店H本日オープンです
と投稿しました。ユーザーからは、
「結婚したから仕事頑張るって、どんな仕事でも受けちゃうの?」
「なんでこのイメージキャラクター受けちゃったんだ」
「イメージキャラクターやめてください」
といったコメントが寄せられ、俳優Mのインスタグラムまで炎上してしまいました。
炎上3:株式会社Gはロゴの使用権を譲渡すると発表したことで二次炎上へ
炎上の火消しをはかろうとした株式会社Gは、
ロゴの使用権をお渡しする所存でございます。
みなさまお騒がせして誠に申し訳ありませんでした。
と公式サイトで発表しましたが、これに対しユーザーからは、
「譲渡ってなにさまだよ」
「商標登録の取り下げまではしないところが図太い」
「日本国民がもっとも不快に感じることをよくもやったな」
と批判的な意見が殺到し、二次炎上へつながってしまいました。
炎上した2つの原因
原因1:商標登録を取ったあとに、よく似たサービスを展開したため
よく似たロゴと同じ名称を国内で商標登録しただけでなく、登録後によく似たコンセプトやサービスのお店を出店したことが第1の原因といえます。海外のスイーツとはいえ、国内でもインターネット販売や百貨店で売られていたこともあり、国内にもファンは多くいたのです。新規事業を立ち上げる際には、企画案の段階で全く同じサービスやロゴ、コンセプトがないかどうか調べておかなければなりません。
原因2:事態の収拾を急ぎ、謝罪方法などその後の対応が十分にできていなかったため
事態の収拾を急ぐことに気を取られ、きちんとした謝罪や原因などを追究しないまま公式サイトに発表してしまったことが第2の原因といえます。株式会社Gは公式サイトでロゴの使用権を譲渡すると発表し、世間を騒がせたことにたいして謝罪しています。しかし元をたどれば、ロゴのオリジナルは海外のスイーツ店Tなので、
譲渡ではなく返却が正解じゃないの
と思うユーザーが多数いたことで二次炎上につながってしまいました。
企業がすべき3つの炎上対策とは
対策1:新規事業など企画するときは下調べを念入りにしよう
同じサービスの提供や同じコンセプトというのは、多数企業が存在している中でどうしても出てくることではありますが、よく似たロゴ・よく似た外観・よく似たメニューなど意図していないと酷似しないことは、世間からみても怪しく思われます。たとえ偶然同じようなロゴだったといっても世間はそうは思わないでしょう。そうならないためにも、企画案の段階で下調べをすることが大切です。
対策2:正しい謝罪と対応を把握しておく
炎上が起きてしまうと、一秒でも早く鎮火させたいと思うのは誰でもあります。しかし今回の炎上は炎上した企業があせった結果、以下の2点に対しユーザーからさらなるバッシングをうける結果となってしまいました。
・だれがみてもそっくりなロゴなのに商標登録を取り下げず、使用権を譲渡する結論に至った点
・世間を騒がせたことに対しては謝罪したが、オリジナルである海外スイーツ店Tへの謝罪はなかった点
対策3:炎上の飛び火を回避する
今回の炎上では、イメージキャラクターを務めた俳優Mにまで飛び火していました。仕事をする上で、クライアントがどんな企業なのかを調べておく必要があります。世間をざわつかせている相手だとしたら、
もしかしたら、自分にも飛び火するかもしれない
とリスクヘッジを考え、炎上対策をおこなっておくのもいいでしょう。また、炎上事例を読むことで炎上を身近に感じ、万が一自分に火の粉が降りかかっても慌てないようにしておきましょう。
炎上についての知識をつけよう
2018年に起きた法人による炎上は226件ありました。法人の場合、個人よりも知名度が高い分、問題が起きたときに一瞬で拡散されてしまいます。問題が起きてから炎上について調べたり対応策を練っていては、いざ対応するときに世間から「対応が遅い」などと指摘され、二次炎上につながりかねません。「炎上は起きないほうがいい」それはだれもが思っていることですが、炎上させる気がなくても些細なことから炎上してしまうのが現状です。他人事ではなく明日は我が身と思えば、炎上についての知識付けや、社内で共有することの優先度が増していくのではないでしょうか。