炎上時に気を付けたい「謝罪風の謝罪」とは?

本記事では、実際に企業が炎上してしまった際の謝罪でおこなってしまいがちな「謝罪風の謝罪」について解説します。

いざ、企業炎上が発生してしまった際に、早期の謝罪公表をおこなうことは大変重要なポイントですが、早く謝罪を公表することに気をとらわれて行いがちな言い回しに「謝罪風の謝罪」があります。謝罪風の謝罪とは、誤った謝罪をしたばかりに、炎上が収束するどころか、炎上や炎上の長期化を招く恐れもある非常に危険な謝罪方法です。では、謝罪風の謝罪とはいったいどのようなものなのでしょうか?今回は、謝罪風の謝罪の実態と、実際の事例についてご紹介いたします。

謝罪風の謝罪とは?

謝罪風の謝罪とは、一般的に「形だけで中身の伴っていない謝罪」または「期待された・負うべき責任を伴わない謝罪」のことを指します。このほかにも「謝らない謝罪」や「謝罪になっていない謝罪」とも呼ばれます。形だけとは、表面上は謝っているものの責任転嫁をおこしている謝罪。期待された・負うべき責任とは、世論として当事者に処分や処罰を与えられることが期待されていながらも、謝罪する当事者が責任を放棄した場合のことを称します。

タイプ別にみる謝罪風の謝罪パターン

では、実際の謝罪風の謝罪とはどのような言い回しになるのでしょうか?
レピュ研では、謝罪風の謝罪を6つのパターンに分けて分類しました。それぞれどのような特徴があるのか、例文を見ながら解説いたします。

誤解パターン

《例》
我々の説明不足の結果、誤解を招く表現がありましたことを、深くお詫び申し上げます。
誤解を与える表現をおこないまして、誠に申し訳ございません。

このような言い回しは、炎上の際によく目にするのではないでしょうか?謝罪風の謝罪として最も多くあげられるのが「誤解パターン」です。謝罪の言葉を添えていることで一見すると誠心誠意謝っているようにも見えます。しかし、この謝罪で言う「誤解」の本質は受け取り手の理解不足、または理解の失敗を意味します。誤解という単語を用いることによって、自らの表現が誤っていたと認めながらも、その表現を悪く受け取ったのは受け取り手の問題・理解不足である、という謝罪の中での矛盾が生じてしまうのが誤解パターンです。

感情論パターン

《例》
(不適切な表現の結果、)国民の皆様に不快な思いをさせてしまったことを、深く謝罪申し上げます。

上記も月並みな言い回しですが、ポイントは不快な思いをさせてしまったという、ユーザーの感情の動きに対して謝罪をおこなっている点です。謝罪をおこなう当事者が真に謝るべきは、不快な思いをしたことではなく、当事者が不適切な表現・行為をおこなったことです。本当に謝罪すべき内容から話をそらし、目先の感情に論点を移し替えたという点から、責任転嫁をしていると捉えられてしまう可能性があるため、こちらも注意すべき謝罪法となります。

不特定多数パターン

《例》
国民の皆様、世間の皆様に謝罪いたします。本当に申し訳ございませんでした。

こちらは意図せずにおこなわれがちな、不特定多数の人物に謝ってしまうパターンです。よっぽどの差別発言や、日本を排他する発言を行わない限り、国民全員や世間全員を傷つけるような炎上は実際には起こりません。炎上は、指名された特定の人物や団体・人種などが貶められた際に発生するケースがほとんどであり、「国民の皆様」「世間の皆様」に謝罪することは、ほぼありません。当事者の不適切な表現や行為によって侮辱され不快に感じた人など、本来であれば優先して謝罪をすべき人物への謝罪を怠った場合、SNS上のユーザーからは「何が悪かったのか理解していない」「誰を傷つけたのか理解していない」と認識され、かえって炎上の火に油を注ぐことになりかねません。

仮定パターン

《例》
もし、過去の表現や言い回しで不快に感じた人がいらっしゃるようならば、謝罪いたします。

もし~ならば、という仮定法を用いた言い回しは、「不快に感じた人がいないなら、謝りません」と同義となり、不快に感じたかどうかに関わらず、謝罪をおこなう当事者が自身の責任を理解していないと捉えられてしまう恐れがあります。

謝罪の体をなしていないパターン

《例》
悪かったと思っています。
私のせいだと感じています。

上記はよく見かける言い回しですが、「悪かった」という言葉は自身の責任を認識する言葉であり、謝罪文とは言えない点に注意です。

脅迫パターン

《例》
私の不適切な行為により、ご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。
今回の騒動で私に対しての制裁行為や誹謗中傷をおこなった人に対しては、弁護士に相談の上で法的措置をおこなう予定です。

謝罪文にかこつけて、自身を批判したユーザーに対して法的措置をとると脅すパターンです。個人の炎上で法的措置を豪語する分にはダメージはあまりありませんが、企業として謝罪文を公表しながらも脅迫のように法的措置をちらつかせる行為は、企業としての今後のレピュテーションに大きくかかわるので注意が必要です。

実際に謝罪風の謝罪がされた事例

実際の炎上時に謝罪風の謝罪をおこなうと、企業に対してどのような影響を及ぼすのでしょうか?実際の炎上事例から、その影響を読み解いていきましょう。

公式SNSで人種差別的な動画を投稿したため炎上

あるプロスポーツチームの運営団体が、公式Twitterアカウントに人種差別的な動画を投稿し、炎上してしまいました。

  1. スポーツチーム内で撮影された人種差別的な発言が収められた動画が公式Twitterに投稿される
  2. 約4ヵ月後。当該チームの選手が暴力事件を起こしてしまう。
  3. 公式Twitterの過去投稿が再注目された結果、問題の投稿が炎上する
  4. チーム運営は問題の投稿を「誤解を招く」として削除対応したが炎上が長期化した

誤解を招く可能性のある一部ツイートを削除いたしました。

実際の釈明ツイートより引用

このように、再注目されなければ投稿内容の異常性に気づけなかったという、運営団体の倫理観の欠如や、「削除」という対応が組織の隠ぺい体質を如実に表しているとして話題になりました。

この事例にみられる謝罪パターン

今回の事例においては、謝罪風の謝罪における 誤解パターンが当てはまります。
先述したとおり、誤解とは差別的な意識は受け取り側の問題とする表現であるため、 表面上は謝ってはいるものの反省や謝意が感じられない言い回しとなってしまいます。実際に、当該事例においても「誤解」という表現に対して多くの批判コメントがよせられ、結果的に炎上の長期化や、二次炎上を引き起こしてしまう事態となりました。

謝罪風の謝罪を避けるために

炎上時には早急な謝罪文の公表が求められるため、内容のチェック体制や言い回しの添削に不備が出やすく、意図せず謝罪風の謝罪をおこなってしまう場合があります。謝罪風の謝罪を避け、企業としての誠実性を見せるためにはどのようなことに注意すればよいのでしょうか?

ポイントを押さえた謝罪フローを体系化させる

炎上や有事の対応をおこなう担当者には、炎上・SNSに関する知識の他にも、危機管理広報、メディアの特性、謝罪文書作成など幅広い知識が必要とされます。

  1. 記者会見での注意点
  2. 謝罪文公表の注意点
  3. 危機管理広報の基礎知識
  4. 役員・幹部への情報共有
  5. 各ソーシャルメディアの特性情報
  6. SNS上のネガティブなトレンド情報収集

上記のようなポイントを押さえた組織づくりをおこなうことで、謝罪風の謝罪のような誤った対応方法を回避させることが可能になります。

レピュ研を運営するジールコミュニケーションズでは、炎上時に備えた様々なサポートと組織体制づくりといったソリューションをご提供しております。

「いざ、炎上がおきてしまった際の対応方法がわからない…」
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企業の炎上リスクに備える為の9つの項目

・企業の炎上リスクに備える為の9つの項目
・ネット情報の監視と分析方法
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