本記事では「DMCAの意味」「DMCAに抵触するコンテンツの削除申請方法」「申請時の注意点」について解説します。
コピーサイトをはじめとする著作物の転載はネット上のあちこちで起こっています。実際に転載・盗用されて困っているけど、どう対処して良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。そんなときに有効となり得るのがDMCA侵害による削除申請です。ただこのDMCAについては悪用されやすいことも問題視されているため、正しい知識を持っておく必要があります。
今回はそんなDMCAの意味と実際の申請方法について詳しくご紹介します。自社コンテンツの権利やそこからの利益を守るために、一緒に正しい知識を身につけていきましょう!
DMCA(デジタルミレニアム著作権法)とは?
DMCAとはデジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act)の略称で、デジタルコンテンツ上の著作権保護に関するアメリカの法律です。DMCA侵害と認められたコンテンツはGoogleなどに対する削除の申し立てが可能になります。
DMCA侵害と認められるとどうなるの?
コピーコンテンツや無断転載サイトはDMCA侵害としてGoogleに対して削除申請を行うことができます。申請が承認されると対象URLのインデックスが削除され、検索結果上から非表示になります。YouTubeやTwitter、その他運営(管理)者がわかる媒体についてはそれぞれの基準に基づいて削除申請を行うことが可能ですが、その場合検索結果のインデックスは残ってしまっている状態です。検索エンジンの検索結果から非表示にしたい場合はGoogleに対して削除の申し立てを行いましょう。
DMCA侵害と認められるコンテンツ
Googleの著作権ヘルプセンターにはどんなものがどんなものがDMCA侵害に該当するのかについての記載があります。この内容をを理解した上で削除の申し立てが可能かどうかの判断が必要です。またアメリカには「フェアユース」という概念があり、著作権で保護されているコンテンツを合法的に利用できる場合があります。フェアユースについても合わせて確認しておくようにしましょう。
またCopyContentDetectorのようなツールを使えば自社サイトがコピーされていないか、自分が書いた記事がコピーサイトではないかをチェックすることができます。簡易的ではありますが、念のためにチェックしておくこともリスク対策には有効かもしれません。
DMCAによって解決できる問題
DMCAについては、情報の隠蔽や嫌がらせなどの「悪用」も問題視されていますが、悪質なコンテンツに対しては有効な手段といえます。実際にどんな問題が解決できるのかご紹介します。
管理者不明のサイトへの削除申請も可能になった
DMCAが成立するまでは、サイトの管理者が分からない情報に対して削除申請をすることが難しいという問題がありました。また管理者が分かっても一般のユーザーからコンタクトは取ることは難しい状況も多かったです。しかしDMCAの成立によって、サイト管理者とコンタクトが取れない場合でも直接Googleに削除の申し立てができるようになりました。それまで泣き寝入りするしかなかったような状況が改善されたことが大きなポイントです。
自社の利益を守ることができる
コピーコンテンツや無断転載サイトが、オリジナルのサイトよりも検索結果上位に表示されてしまうことも珍しくありません。更にもし自社がオリジナルだったとしても、逆にコピーサイトだとGoogle側に誤った認識をされてしまえばペナルティを受けることになるかもしれません。そのようなWebからの流入という機会損失を防ぐためにもDMCAは有効な対処方法となっています。
DMCA侵害コンテンツの削除申請方法(Google)
削除申請の準備
GoogleへのDMCA侵害による削除申請は専用のフォームから行いますが申請にはGoogleサーチコンソールへのログインが必要です。サーチコンソールとはGoogleにまつわるさまざまな分析ができるツールです。ログインにはGoogleのアカウントが必要になるため、もしアカウントがない場合はGoogleアカウントを作成しておきましょう。
専用フォームに入力して申請
Googleサーチコンソールにログインしたら「著作権侵害による削除」のページから必要事項の入力を行います。入力が必要な項目は以下の通りです。
1.申請する人の情報を入力
申請者の個人情報を入力します。「自分が代理を務める著作権保有者」は自社のコンテンツが盗用された場合「本人」を選択してください。もし法的に委託された代理人の場合は青字の部分をクリックして入力します。
2.DMCA侵害についての概要を説明する
「著作権対象物を特定する情報とその著作物の説明」はDMCA侵害の概要について説明する項目です。盗用に対して憤りをを感じていても感情的な文章での申請は逆効果です。下記例文のようにどの部分がどのように盗用されてしまっているのか、誰が読んでもわかるように「完結に」「端的に」説明しましょう。
3.DMCA侵害についての概要を説明する
「当該著作物が許可を受けて掲載されている場所」には自社(自身)が著作権を持っているサイトの場所(URL)を入力します。
4.実際に消したいコンテンツのURLを入力
「権利を侵害している著作物の場所」削除したいサイトのURLを入力します。
5.宣誓供述書のチェックと署名を入力して送信
宣誓供述書の内容を確認してボックス内にチェックを入れ、署名を入力すれば完了です。
申請するときの3つの注意点
DMCAは法律に関わる規定なので申請時には注意すべき点があります。宣誓供述書の内容をよく読んでから申し立てを行うことももちろんですが、以下のような注意点もしっかり把握しておきましょう。
虚偽の申請は罰則の対象となる
「著作権は侵害されていないが都合が悪いから削除申請しよう」といった申し出は絶対にやめましょう。そのコンテンツの削除によって相手が不利益を被った場合、偽計業務妨害罪または威力業務妨害罪に問われる可能性があります。また、著作権侵害について理解していなかったために不当な申請となってしまった場合でも同様の罪に問われることもあるようです。さらには相手サイトの管理者から民事で訴訟を起こされてしまうかもしれません。
申請が受理されると申請者の情報が公開される
GoogleへのDMCA侵害による削除申請が承認された場合、「Lumen」で申請者の情報が公開されてしまいます。名前や申請内容が全世界のユーザーから見られる可能性があるということを理解した上で削除申請を行いましょう。
申請による炎上の可能性がある
申請した内容や申請者の名前が公開されてしまうため、削除されたサイトの管理人が不服に感じた場合炎上する可能性があります。特に法人として申請した場合は情報の隠蔽を疑われやすいです。実際に削除したことにより批判が集まり炎上し、謝罪に追い込まれた企業もあるので注意が必要です。
DMCAを正しく理解する
DMCAは悪用などネガティブな面が問題視されているのが現状ですが、悪質な著作権侵害に対しては有効な手段です。規定にのっとって正しい申請を行いましょう。
合わせて自社のサイトを守る対策も
DMCA侵害に関連するリスクは「自社のコンテンツをコピーされること」だけではありません。ライバル企業や自社を良く思わない立場の人から「著作権を侵害された」と言いがかりのような削除申請をされてしまうかもしれません。そのような本来のDMCAの目的と違う「悪用」のよって自社に損失が生まれることを防ぐためにも、ネット上には常にアンテナを張り対策を行うことが必要です。