炎上事例をもとに、原因と対策について紹介します。
今回は、缶詰に異物が混入していたときのメーカー対応が不適切だと批判が殺到し炎上したケースを解説します。曖昧で、ユーザーの信頼をなくすような対応をしたことが炎上につながりました。この炎上により、企業の印象が悪くなったり、商品を買わないと宣言するユーザーが現れたりしました。
同じような炎上にあわないためにも、原因と対策について知っていきましょう!
メーカー対応がユーザーに不安を与え炎上
2018年9月、あるユーザーが缶詰の中に金属部品が混入していたことを、写真付きでSNS上に投稿しました。ユーザーはメーカーに問い合わせをしましたが、対応が二転三転したりスピード性がなかったりしたため、炎上につながりました。また事実を隠そうとしていると、とらえられるような行動にも批判が集まりました。この投稿を見た他のユーザーからは、
「異物混入だけでも信頼落ちるのに、対応が悪くて更に追い打ち」
「もうここの商品は使わないと思います」
「誠意がない企業ですね」
など、批判的な声が多くあがっていました。
炎上となった2つの原因
原因1:対応が迅速ではなかった
迅速な対応ではなかったため、炎上につながりました。
- ユーザーがSNS上に投稿してからメーカー担当者と連絡がとれるまで2日かかったこと
- メーカーは、ユーザーから報告を受ける前に事態を把握していたのにも関わらず、対応を始めなかったこと
- ユーザーがSNS上に投稿してからメーカーが謝罪文を公開するまで約9日かかっていたこと
上記3点がユーザーに「対応が遅い」という印象を与えたからです。これを見たユーザーは、
「非常事態なんだから至急動くべき」
「業者の初期対応悪すぎ」
など、対応の動き出しが遅い点を指摘していました。
原因2:対応に一貫性がなかったため
メーカー側の対応にブレがあったため、炎上につながりました。対応に関するメーカーからの情報に一貫性がなく、ユーザーが混乱してしまったからです。
- 調査結果は当初3週間かかると言っていたが、2日後には結果が判明していた
- 調査報告は電話で行うと言っていたが、後日くわしい社員を連れて直接ユーザーに説明した
- 最初、商品の回収や返品・交換は行わないとしていたが、批判が多かったため希望に応じて受け付けることにした
このような対応を受け、ユーザーからは「適当すぎる」といった意見があがりました。
企業ができる2つの対策方法
方法1:迅速な対応を心がける
ユーザーから意見が出たら、できる限りはやい対応をすることが大切です。なかなか対応してくれないことに対し、ユーザーは不信に思ってしまうからです。今回でいうと、
- ユーザーが投稿してから、メーカーが謝罪文と対応方法を掲載するまでに約9日かかっていること
- ユーザーが直接メーカーと連絡が取れるまでに約2日かかっているところ
上記2点が、遅い対応だとユーザーが感じたところです。さらに、ユーザーがSNSに投稿した時点で気付いていたとメーカーは話していました。そうであれば、問い合わせを受ける前にメーカー側からユーザーに謝罪を行ったり話を聞いたりするなど、事態に気付いた時点での対応が必要です。今回であれば、2日かかっていることに不満を感じているため、24時間以内にはユーザーと直接連絡が取れると良かったでしょう。
方法2:社内で対応方法を統一する
非常事態の際に、どのような対応をするか社内で統一し、共有することが大切です。担当者によって異なった対応をすると、ユーザーが混乱してしまうからです。また、メーカーとユーザーとの直接の対応方法だけではなく、SNS上に公式アカウントがある場合は、それに関する対応マニュアルも必要となります。今回であれば、下記の5点を特に意識して対応方法を考えていくと良かったでしょう。
- 問題となった商品の回収方法はどうするか
- 原因調査の結果報告は誰が、どのように行うのか
- 問題となった商品と同じ商品は回収するのか
- SNSの公式アカウントに異物混入に関する反応があった場合の対応方法
- ユーザー個人への謝罪方法は、どのように対応するのか
SNS上での対応マニュアルを作成する際は、ソーシャルメディアポリシーを定めることが効果的でしょう。ソーシャルメディアポリシーとは、社員や関係者がSNSを利用する際に守るべきルールや決まりのことです。ソーシャルメディアポリシーを定めることによって、炎上が起きた際の対応方法が一貫性のあるものになります。
作り方や運用方法に関する詳細は、ぜひ下記の記事をご覧ください。ソーシャルメディアポリシーの正しい作り方から、役割、導入している企業などを紹介しています。
ユーザーからの信頼を第一に考える
信頼をなくすような対応をしないことが大切です。SNSが普及し、個人でも簡単に情報発信ができるからです。誠意の見られない対応をユーザーに投稿されてしまった場合、当事者以外の多くの目に触れることになります。その結果、不買運動が起きたり、企業イメージが悪くなったりします。炎上しないような対応方法や、炎上後のユーザーへのフォローを社内全体で考えていくことが重要でしょう。